レベル1 神の偉大な人々 アーカイブ

デイヴィッド・リヴィングストン物語

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第1部

オルガン・ロフトの 青年

ある 冬の 日の 夜のことです。アフリカから もどってきた 有名な 宣教師 ロバート・モファット博士が、説教するために 小さな スコットランドの 教会に 到着しました。

牧師:こんばんは、モファット博士! おいでいただけて、本当に うれしいです。みなさんが お待ちですよ。博士の アフリカみやげ話を 聞けば、ご婦人方は 大喜びするでしょう。

モファット博士:ご婦人方ですと? 牧師様。わたしが ここに 来たのは、宣教師として アフリカに 行くように、男性方に 呼びかけるためなのですが!

牧師:それは 誠に お気の毒ですが、今夜 お見えに なっているのは、ご婦人方だけなのですよ。一人だけ、ロフトで オルガンに 空気を 送る 係を している 青年なら、いますがね。

牧師:ご婦人の みな様方! ロンドン宣教協会の 有名な モファット博士を ご紹介します。

モファット博士:エヘン、箴言8章4節には、こう 書かれています。「人々よ、わたしは あなたがたに 呼ばわり、声を あげて 人の 子らを 呼ぶ。」(口語訳聖書、箴言 8:4) (これは バカげている! もっと ふさわしい 内容の 説教に 変えないと。待てよ。なぜか、予定通りの 話を する ことを、神が 望んでおられるような 気が するぞ。)

モファット博士:友の 方々よ、わたしは つい 最近、暗黒大陸の アフリカから もどって来ました。アフリカが 暗黒なのは、だれも 福音という 光を 見たことが ないためです。

オルガン・ロフトに いた 青年 デイヴィッド・リヴィングストンは、モファット博士の アフリカへの 宣教活動の 呼びかけに、熱心に 聞き入っていました。

「全世界に 出て行って、すべての 造られたものに 福音を 宣べ伝えよ。」(口語訳聖書、マルコによる 福音書 16:15)

それまでの デイヴィッド・リヴィングストンの 生い立ち:

デイヴィッド・リヴィングストンは、1813年3月19日、スコットランドの 小さな 村 ブランタイアで 生まれました。家庭が 貧しかったため、デイヴィッドは 10才の 時に 学校を やめて、紡織工場(綿花から 糸を 作る 工場)で 働き始めました。

トム:デイヴィッド、こんなに 少ない 賃金で 毎日 14時間も 働かなくちゃ いけないなんて、不公平だよな。

デイヴィッド:でも、せめて ぼくたちは、うえてる わけじゃ ないからね、トム。

トム:一生、紡績工場で どれいみたいに 働きたいってのか、デイヴィッド?

デイヴィッド:いいや。大学に 行って、弁護士か お医者さんに なりたいんだ。

トム:ハハ! お前、夢でも 見てんのか。こんな 工場で 働きながら 勉強する 時間なんて、ないだろ?

デイヴィッド:神様が 助けてくだされば できるよ、トム! 試してみるまでは、自分に 何が できるかなんて、分からないだろ。

最初の 週に もらった 賃金で、デイヴィッド・リヴィングストンは 教科書を 買いました。

店長:「ラテン語の 基礎」だね。6ペンスだよ。

何年もの間、デイヴィッドは 夜の 8時に 仕事を 終えた 後、10時まで 夜間学校に 通いました。

そして、家に 帰った 後も、深夜の 12時まで 勉強しました。時には、もっと おそくまで 勉強していることさえ ありました・・・。そして、お母さんに 注意されたものです。

お母さん:デイヴィッド、もう ねなさい。明日も、6時から 工場で 仕事なのよ。

デイヴィッド:はい、お母さん。

デイヴィッド・リヴィングストンの 両親は 信心深い クリスチャンだったので、デイヴィッドが 勉強ばかりで 聖書を おろそかに することが ないように、気を 配りました。

牧師:デイヴィッドと トム。そろそろ 君たちも、救い主として、イエス様を 知るべき 時だと 思う。

デイヴィッド:はい、ぼくは 救い主として、イエス様を 受け入れたいです。

トム:デイヴィッド、本や 宗教で 時間を 無駄に するなよ!

デイヴィッド:実を 言うと、ぼく、牧師さんのような 説教師に なりたいんです!

トム:ぼくには 関係ないな! 自分の 人生を、もっと いい事に 使うよ。

デイヴィッド:トム!

トム:おまえは 自分の 道を 行けば いいさ。ぼくは ぼくの 道を 行くよ、デイヴィッド!

というわけで、デイヴィッド・リヴィングストンは 説教師に なる 決心を しました。けれども、最初の 試みは 失敗に 終わりました。

デイヴィッド:友の みな様方! 今日の 説教で お話ししたい ことは・・・えっと・・・みなさん・・・お話ししようと していた ことを 忘れてしまいました! あ~・・・ありがとうございました!

デイヴィッド:ぼくは、もう 二度と 説教なんか しません! 絶対に!

牧師:そう がっかりしなくても いいさ、デイヴィッド。あきらめちゃ いかん! もしかしたら、説教師では なくて、医者に なったら いいのかも しれん。あるいは、宣教師は どうだろう?

その後 リヴィングストンは、異国の 地で 福音を 宣べ伝える ことに 人生を ささげようと 決心します。

そして、宣教活動の 一部として 病気の 人たちの 世話が できるように、医学を 勉強し始めたのでした。

10才の 時から 紡績工場で 17年も 働き続けた後・・・

デイヴィッド:(毎年 何か月間かは 医学大学に 通えるように、お金を 貯めていこう。)

・・・27才で、デイヴィッド・リヴィングストンは 医師としての 資格を 取りました。

デイヴィッド:(神よ、感謝します。ついに わたしは、神様のために 生涯の 仕事を 始める 準備が 整ったようです。)

(続く)

* * *

第2部

アフリカへの 使徒

1840年、イギリスの ドーバーでは・・・

牧師:神の 祝福を、デイヴィッド! 安全な 旅を 祈っているよ!

友人1:人食い人種やら 首狩り族やら、危険には、くれぐれも 気を つけろよ。

友人2:悪いことは 言わん。お願いだから、行くのは やめて、イギリスに 留まってくれ。

デイヴィッド:みなさん、気に かけてくれて、ありがとう。だが、マタイの書に イエスが 最後に 言われた 言葉が あるのに、どうして おそれていられましょうか。

デイヴィッド:「わたしは 世の 終わりまで、いつも あなたがたと 共に いるのである。」(口語訳聖書、マタイによる 福音書 28:20) みなさん、それは 神の 言葉です。決して、破られることの あり得ない 約束なのです。ですから、おそれる ものなど ありましょうか? さあ、行こう。

かくして、デイヴィッド・リヴィングストンは 出航したのです。

3ヵ月の 航海中、リヴィングストンは、船員たちに 神様について 話しながら 多くの 時間を 過ごしました。そして ついに、南アフリカに 着きました。

水兵:陸が 見えるぞ!

デイヴィッド:ついに、アフリカだ! イエスよ、この地を あなたのために 要求します。

リヴィングストンは ケープタウンに 上陸し、その後、モファット博士の 運営している 宣教拠点の クルマンまで、牛車で 1,000キロ以上もの 距離を 旅したのでした。

クルマンで、リヴィングストンは 福音を 宣べ伝え、病人の 治療を し、現地の 言語を 学びました。

現地人:ブワナ(先生)、いい 医者。まじない師より いい!

デイヴィッド:君たちの 言葉で、「イエスは 最高の 医者」は、どう 言うんだい?

まもなく リヴィングストンは、今までに 1度も イエスのことを 聞いたことが ない 原住民の いる、もっと 北の 奥地へ 行くように 神が 召しておられると 感じるように なりました。

仲間の宣教師1:デイヴィッド、ここから 先は、白人が 1度も 足を ふみ入れたことの ない 土地だ。マタベレ族や バクウェナ族なんかの、荒々しい 野蛮な 部族が 住んでいる。

仲間の宣教師2:神の 祝福が あるように、デイヴィッド。君が 足を ふみ入れる 土地は、すべて 君のものに なると 神が 約束されたことを、忘れては いけないよ。( ヨシュア記 1:3)

リヴィングストンは、旅を しながら 熱心に 地図を 作り、岩や 丘や 木々や 動物など、自分の 見た あらゆるものを 記録しました。

デイヴィッド:イエスよ、あなたの 創造物の 不思議を 感謝します!

ところが、とつ然・・・

バクウェナ族:うわー!

ガイド:バクウェナ族! わたしたちを 殺す!

デイヴィッド:信じなさい。わたしたちは 神の メッセンジャーなのだ。神の 天使が 守ってくれる!(詩篇 34:7)

デイヴィッド:こんにちは、みなさん。わたしの 名前は、リヴィングストン博士です。わたしは、平和をもって やって来ました。あなたがたの 酋長に、良い 知らせを 持ってきました。

ガイド:先生が アフリカの 言葉を 話すので、みんな、おどろいています。

バクウェナ族:来い!

マボツァの バクウェナ族の 村に 着いて・・・

デイヴィッド:どうして、酋長は わたしを こんなに じろじろ 見てるんだい?

ガイド:今までに、一度も 白人を 見たことが ないからですよ。

酋長:わたしは、バクウェナ族の 酋長、セクレだ。おまえは 神か?

デイヴィッド:いいえ、神から 送られてきた 者です。あなたや 部族の みなさんに、神からの メッセージを 持って来ました。それは、ここに 書かれています。わたしが 読んで差し上げましょう。

やがて・・・

デイヴィッド:神は あなたがたを 愛しておられ、あなたがたが 天国に 行けるように、ご自分の 息子を 送って、あなたがたの 代わりに 死なせられたのです。それを 伝えるために、神は わたしを ここに 送られたのです!

酋長:それを 信じない 人、どうなる?

デイヴィッド:そうですね、天国へ 行けませんね。

酋長:では なぜ、今まで この話を 教えに 来なかった? それは よくない!

デイヴィッド:(愛する イエスよ、酋長に 分かってもらうためには、言葉以上の ものが 必要です。あなたの 愛と 力の 現れを 見る 必要が あります。)

その夜・・・

バクウェナ族:おい! 酋長に 会いに 来い!

デイヴィッド:な、何の ためかな?

酋長:娘が 重い 病気だ! まじない師は、娘が 死ぬと 言っている。おまえの 神は、娘を いやせるか?

デイヴィッド:ええ、わたしの 神は、娘さんを いやせます。わたしの 神は、娘さんの 神でも ありますから。(愛する イエスよ、どうか、わたしを 助けてください。あなたの 出番です!)

あくる日・・・

酋長の娘:お父さん!

酋長:娘よ! 元気に なったか。

酋長:今 わたしは、この 偉大な 神や、わたしたちのために 死んだ 神の 息子についての 話を、全部 聞きたい。

そして、バクウェナ族の 大酋長セクレは、イエスを 自分の 救い主として 受け入れたのでした。

酋長:イエス、いい! 部族 みんな クリスチャンに なる、いいこと。

デイヴィッド:よかった!

酋長:頭たちに、むちを 持って来させろ!

デイヴィッド:むち? 何の ためですか?

酋長:わたしの 部族民、むち打たなければ、何も しない。

デイヴィッド:待ってください、セクレ! 平和の 福音は、暴力で 教える ものでは ありません。まず、わたしに 話させてください。

かつては、もう 2度と 人前では 説教するまいと 思っていた デイヴィッド・リヴィングストンでしたが、聖霊の 力に 塗油されて、バクウェナ族 全員の 前で、イエスを 信じることについて 話したのです。

デイヴィッド:イエスについて、もっと 知りたい 人は?

バクウェナ族1:はい!

バクウェナ族2:知りたい!

バクウェナ族3:わたしもだ!

バクウェナ族4:はい!

酋長:むちを 使わないで わたしの 部族民に 興味を 持たせるなんて・・・何て 強い 神なんだ!

1842年、デイヴィッド・リヴィングストンは、白人の いる 町から 遠く はなれ、荒々しく 野蛮な 部族に 囲まれた、マボツァの バクウェナ族の 村に、最初の 宣教拠点を 開きました。リヴィングストンは 彼らを 愛し、思いやっていたので、彼らも リヴィングストンを 愛し、信頼するように なりました。

宣教師として アフリカで 過ごした 30年間に、リヴィングストンは 何千人もの 人々に イエスのことを 教えたのでした。

マボツァで 2年 暮らした後、デイヴィッド・リヴィングストンは、メアリー・モファットと 結婚しました。メアリーは、最初に リヴィングストンを アフリカへ 行くことを 奮い立たせた 有名な 宣教師、モファット博士の 娘です。

1847年、二人は、マボツァから 120キロほど 北に 行った コロベングという 所に、新しい 宣教拠点を 築きました。

リヴィングストンと メアリーの 間には、6人の 子供が いました。子供達は、父親と いっしょに 宣教の 旅に 出かけることも ありました。

二人は 幸せな 結婚生活を 送りました。リヴィングストンには 生真面目な 面が ある 一方、すぐれた ユーモアの センスも 持ち合わせていて、いつでも、彼の 言うところの 「歓楽と 遊び」を 楽しむことが できたからです。

子ども:パパ、もっと 速く 走って!

リヴィングストンは、数多くの 旅の 間も、自分が アフリカにいる 最大の 理由は、福音を 宣べ伝え、また ほかの 人たちが 彼の 後に 続けるように するためだと いうことを、決して 忘れませんでした。ある時、彼は 自分の 気持ちを、短期間 アフリカ横断旅行に 同行した ハンターに、こう 話しました。

ハンター:アフリカ人だけを 連れて、単身 徒歩で アフリカを 横断するなんて、むちゃくちゃだな! おい、何を 見ているんだ?

デイヴィッド:ああ、ただの 石っころですよ。

何日も たって、白人の ハンターは、そのことを 思い出して たずねました。

ハンター:あの日、君が 見ていた めずらしい 石の ことだが。あれは、何だったのかい?

デイヴィッド:ダイヤモンドでした。

ハンター:ダイヤモンドだって! あの 場所を、また 見つけることは できるかい?

デイヴィッド:ええ。でも、あなたには 無理ですよ。わたしの 探検の 目的は、どん欲で 利己的な 人たちに アフリカの 扉を 開いて 不公平に 利用され 荒れ果てさせることでは ありません。わたしは、アフリカ全土に 福音を 伝えられるように、宣教師たちのための 道を 開拓したいのです! わたしの 求めているのは、ダイヤモンドでは なく、人間の 永遠の 魂なのです!

* * *

第3部

神の 探検家

1856年、16年間 アフリカの ジャングルで 暮らした デイヴィッド・リヴィングストンは、イギリスに 短期間 もどって来ました。そして 彼の おどろいたことに、彼は 国家の 英雄として もてなされたのです。

記者:お帰りなさい、リヴィングストン博士! イギリス一の 有名人と なった お気持ちは、いかがでしょうか?

デイヴィッド:そんな、やめてくださいよ! 武具を 脱ぐ 者は 誇ると 言いますが、わたしは まだ、武具を 付けたばかりですから!*

* ここで デイヴィッド・リヴィングストンが 引用しているのは、聖書の 列王記上の 20:11に 書かれている イスラエル王の 言った 言葉で、「武具を 帯びる 者は、それを 脱ぐ 者のように 誇っては ならない。」というものです。つまり、彼は まだ、イエスのために アフリカを 勝ち取る 戦いを 始めたばかりだと 言っているのです。

デイヴィッド:わたしは、単なる 神の しもべに 過ぎません。神の み手の 導きに 従っているだけなのです。

リヴィングストンは、イギリス中から 数々の 勲章や メダルを 授与されました。

司会者:リヴィングストン博士、アフリカに おける 宣教師としての あなたの 大いなる 働きに 敬意を 表し、また あなたが はらった 大きな 犠牲を たたえて、これを 授与します!

デイヴィッド:犠牲ですって? ハハ!

紳士淑女の みな様方、わたしは 今までに 犠牲を はらったことは ありません! わたしが どんなに 多くの ものを 手放しても、神は いつも はるかに 多くの ものを 返してくださるからです。

わたしたちには、神に 対して 決して 返すことの できない 大きな 借りが あるのに、その ほんの 一部を 返したからと いって、それを 犠牲と 呼べるでしょうか?

犠牲ですって? そのような ものは、ありません! それは むしろ、特権なのです!

思いわずらいや 病気、難儀や 危険は、わたしたちの 気持ちを 動揺させ、しずませることも ありますが、それは つかの間の ことだけに しましょう! こういった ことは すべて、やがて わたしたちの 内に、また わたしたちのために 現されようとしている 栄光に 比べるなら、全く 無きに 等しいからです!(ローマ人への手紙 8:18)

犠牲ですか? わたしたちのために 命を 捨てるため、天にある ご自分の 父の み座を 去られた 時に イエスが はらってくださった 大きな 犠牲を 思い出すなら、そのような 言葉は 口に 出すべきでは ありません!

紳士淑女の みなさん、わたしは、今までに 犠牲を はらったことなど、ないのです!

イギリス滞在中に リヴィングストンが した 演説や 書いた ものは、ほかの 大勢の 宣教師たちを、宣教の 畑へ 行くようにと かり立てました。

1858年に、リヴィングストンは 再び アフリカへ もどりました。次の 11年間、彼は 探検しながら 福音を 宣べ伝え続けました。1871年までの 4年間は、イギリスで 彼から 便りを 受け取った 人は だれも いませんでした。

新聞の記事:リヴィングストンの 行方、未だ わからず

イギリスの読者1:彼は おそらく、マラリアで 死んだのだろう。

イギリスの読者2:それとも、野蛮人に 殺されたのかもな。

彼に 何が 起こったのかを 調べるため、ウェールズの ヘンリー・モートン・スタンリーという 記者が、アメリカの 新聞社によって 送られました。

スタンリーは、アフリカの 東海岸の ザンジバルから 捜索を 始めました。

司令官:主が あなたと 共に 行かれるように、スタンリー!

スタンリー:ありがとうございます。ですが、わたしは リヴィングストン博士とは ちがって、クリスチャンでは ありません。

何ヶ月も たったころ、スタンリーは アフリカ原住民から、年配の 病気の ヨーロッパ人が ウジジに いるという うわさを 耳に しました。

スタンリーは、ついに リヴィングストンを 見つけたのです。

スタンリーは、原住民の 中に 年配の 白人の 顔を 見つけました。その 人は、金色の バンドが 巻いてある ぼうしを かぶり、赤い 毛布用の 布で できた 短い 上着を 着ていました。

スタンリーは、リヴィングストンに あいさつしました。

スタンリー:リヴィングストン博士で いらっしゃいますね?

デイヴィッド:はい。

それは、歴史上でも 有名な、アフリカ大陸での 出会いでした。

●4頁目

スタンリーは、4ヶ月 滞在しました。

デイヴィッド:わたしの 最も 忠実な しもべ、スシと チュマです。

スタンリー:(一体 彼は、どうやって こんな 所で 生きていけるのだろう? 気は 確かなんだろうか?)

スタンリーの手記:わたしは、「すべてを 捨てて、わたしに 従ってきなさい」と 書かれている 聖書の 言葉を ことごとく 実行している この 孤独な 老人に、自分が 驚嘆していることに 気が ついた。彼の 愛、やさしさ、熱意、良い ユーモア、そして 仕事に 取りかかる 時の 真剣さには、ただただ 驚くばかりであった。彼の 愛と あわれみは、すぐに 周りの 人にも 広がってしまうことを、わたしは 認めざるを 得ない。

そして、ある夜のこと・・・

スタンリー:先生、アフリカに 来た 時、わたしは 無神論者でした。ですが、先生の 生き方を 見て、わたしは 変わりました。

スタンリーが イギリスに 帰る 時が 来ました。

スタンリー:ご自身の 健康のためです、先生。お願いですから、わたしと いっしょに、イギリスへ もどってください!

デイヴィッド:もどる? わたしは、どこへでも 行くよ。前進するためならね!

スタンリーは、アフリカを さらに 探検するために、数年後には もどって来ています。

スタンリーが 去った 数日後に、リヴィングストンは 日記に こう 記しました。

3月19日。わたしの 誕生日だ! わたしの 王で あり、わたしの 命で あり、わたしの すべてで あるイエスよ! わたしは 再び、わたし自身の すべてを あなたに ささげます! 恵み深き 父よ、この 1年が 過ぎ去る 前に、あなたのための 仕事を 終えられますように! イエスの み名で 祈ります。アァメン!

リヴィングストンは、その わずか1年後に、イエスの 元へ 行ったのでした。

最後の 1年間に、リヴィングストンは 今一度、最後の 旅に 出ました。病気で 絶えず 痛みに 悩まされながら、しばしば すわることさえ できない 状態でも、彼は 前進したのでした。

デイヴィッド:神よ、あなたを ほめたたえます!

そして、ついに チタンポに 着いて まもなくの 1873年、5月1日のこと・・・

チュマ:シーッ! スシ! 先生は 祈っておられる!

スシ:いや、チュマ。先生は 亡くなられたのだ。

神は、リヴィングストンが ひざまずいて 祈っている 時に 取り去られたのでした。

二人の 忠実な しもべたちは、原住民の 死についての 迷信の せいで、自分たちの 命を 危険に さらしながらも、リヴィングストンの 体に 防腐処理を し、彼の 日記や 医療品と いっしょに、海まで 2,500キロもの 道のりを 運びました。そして、彼の なきがらは 船で イギリスに 送り返されたのでした。

そういうわけで、19世紀で 最も 偉大だった 人物の 一人、デイヴィッド・リヴィングストンは、ロンドンの 有名な 教会 ウェストミンスター寺院に ほうむられました。彼の お葬式は、ロンドンで 執り行われた 中でも 最も 盛大な お葬式の 一つと なりました。

リヴィングストンの 墓石には、こう 刻まれています--

「彼は 30年間、不屈の 努力によって、アフリカ原住民に 福音を 説き、中央アフリカの 秘境地を 探検調査した。」

けれども、何より 大切な ことは、彼が 何千人もの 人々に イエスについて 教えたこと、また、宣教師として 人生を ささげるようにと、大勢の 若者たちの 心を 奮い立たせたことです。

宣教師に なるという ことには、特別な 何かが ある! 最初の 宣教師が 畑に 足を ふみ入れるのを 見た 時、明けの 星々は いっせいに 歌い、神の 息子たちは 喜びの 声を あげた。その方の 前では、天使たちが ベールで 顔を おおう。偉大で おそれ多き 神には、一人の み子しか おられなかった。そして その み子は、地上に 宣教師の 医師として つかわされた。彼は、人間の 中に かつて 姿を 現された 偉大な 教師、また ただ 一人の 模範宣教師だったが、今 この方は すべての ものの 頭で あり、王の 中の 王で あり、主の 中の 主で あられる。たとえ 弱くとも、そのような 方に ならって その 従者と なるのは、特別な ことである。宣教師が この方から 与えられている 任務に 匹敵する ものが あるだろうか? 私が 考える限り、神が 私に そのような 職務を 任命されたことを 思うと、私の 喜びは 決して つきることが ない。(新聞に 掲載された、デイヴィッド・リヴィングストンによる 「宣教師の 犠牲」より)

リヴィングストンが 来る 前は、クルマンより 北の 中央アフリカは 未開の 地でした。リヴィングストンが アフリカで 費やした 30年の 間、彼は 46,671キロを 旅しました。また、1,609,344キロの 道のりを アフリカ大陸の 地図に 記しました。彼は 6つの 湖と 多くの 大きな 川を 発見しました。それには、世界最大の 滝の 一つ、ビクトリア滝も 含まれます。また 彼は、アフリカ大陸の 片方の 海岸から 反対側の 海岸まで アフリカ横断を した 最初の ヨーロッパ人です。

マルティン・ルター物語

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マルティン・ルター物語

第1部

 マルティン・ルターは、1483年11月10日、ドイツの アイスレーベンで、鉱山労働者の 家族の もとに 長男として 生まれました。両親は 彼を 神様に ささげ、トゥールの 聖マルティヌスに ちなんで、マルティンと 名付けました。聖マルティヌスは、4世紀の フランスで キリスト教に 改宗した 兵隊です。聖マルティヌスは、人々に イエスの 愛を 伝え、古い 異教徒の 寺院を 破壊しました。

マルティンの父:主よ、わたしたちは この子を あなたに ささげます!

マルティンの母:アァメン!

 マルティンは、5才で 学校に 通い始めました。先生は みんな、ローマカトリックの 修道院で 暮らす 修道士でした。

 マルティンの 母親には、食べさせなくては ならない たくさんの 子どもが いました。

マルティンの母:(子どもが 大勢だから、食べ物が 十分 なくて 大変だわ。) これを 学校に 持って行きなさい、マルティン。あなたの お昼よ。

 自分の 食事代と 教科書代を かせぐために、マルティンは しばしば 通りで 歌を 歌ったりも しました。

 マルティンは 優秀な 生徒で、じきに ラテン語も 学びました。当時、聖書も 含めて、大切な 本は すべて ラテン語で 書かれていたからです。(聖書は まだ ドイツ語に 訳されては いませんでした。)

マルティン:(ディオ・グラツィアスは、ラテン語で 「神に 感謝します」っていう 意味なんだね。)

 修道士は 子どもたちに、死んだ 時に 天国に 行きたいなら、罪を つぐなうために 良い 行いを し、聖徒たちに 祈らなければ ならないと 教えました。

修道士:神の お裁きを 受けたくなかったら、罪を 犯しては いけないよ。

 マルティン・ルターは いつも、神様に おこられているように 感じました。神様について 勉強は しましたが、神様が 愛だとは 知らなかったのです。(ヨハネの 第一の 手紙 4:8)

マルティン:(神様って、すごく 遠い 存在なんだなあ。)

 神様に 近く 感じたのは、一人で 森の 中を 歩いている 時だけでした。

マルティン:(すべてが きれいだな。まるで、神様が そこらじゅうに いるみたいだ!)

 マルティンは、歩きながら よく 歌を 歌っていました。ある日、教会の そばを 通りかかると・・・

マルティン:(歌を 歌っていれば、悲しくない。)

神父:おい、そこの お若いの。君は、だれに 歌を 教わったのかね?

マルティン:だれにも 教わったことは ありません。ただ、歌うのが 大好きなんです! 通りで 歌って、よく 小銭を もらったりも します。

神父:わたしの 合唱団で 歌う 気は ないかね?

マルティン:はい、喜んで!

 そこで マルティンは、歌うための 最初の 訓練を 受けました。後々に なって、神様は それを すばらしい 方法で 用いられることに なります。マルティンは、フルートや リュートの 演奏の 仕方も 学びました。リュートは、ギターに 似た 弦楽器です。

 マルティンは、とても 優秀な 生徒でした。エアフルト大学に 行って、弁護士に なるための 勉強も しました。

教授:マルティン、君は 物覚えが 速いから、じきに 法律の すべてを 知りつくすように なるだろうよ。

マルティン:ありがとうございます、教授。

 ある日の こと、大学で、マルティンの 人生を 変えてしまう 大きな 出来事が ありました。

マルティン:(ふ~ん。聖書か。きっと、興味深い 本なんだろうなあ。読んでみるか。)

 「神が み子を 世に つかわされたのは、世を さばくためでは なく、み子によって、この世が 救われるためで ある。」(口語訳聖書、ヨハネによる 福音書 3:17)

マルティン:(すごいぞ! つまり、ぼくが こんなに 悪くても、救われるっていう ことなんだろうか。だけど、どうして 今まで、聖書に そう 書かれていることを だれも 教えてくれなかったんだろう?)

 それ以来 マルティンは、聖書を 読んで、神様のことや、どうしたら 神様を 喜ばすことが できるのかを、もっと 知りたいと 深く 願うように なりました。

 さらに 進んだ 勉強を 続ける 前に、マルティン・ルターは、家族や 友人と 短い 休暇を 過ごしていました。

バーの男性:君は 法律の 本にも 長けているが、リュートの 演奏も それと 同じぐらい すばらしいよ!

マルティンの父:息子は、りっぱな 学者に なったよ! わしでさえ、息子を 「先生」と 呼ぶくらいだ。

バーの男性:ハッハッハ!

マルティン:光栄な ことですよ。

マルティンの父:マルティンに 乾杯! ドイツ一の 弁護士に なれるように!

男性たち:乾杯! 乾杯!

マルティン:ありがとう、みなさん。

 けれども、神様には、マルティンのために 別の ご計画が あったのです。大学に もどる 旅の とちゅうの ことです。

フランツ:心配するな、マルティン。ただの 夏嵐さ。無事に 帰れるよ。

マルティン:どこか、雨宿りできる 場所を 見つけないと!

 その時、雷が 落ちたのです!

ドカーン

マルティン:ああ・・・

マルティン:フランツ? フランツ! 何てことだ! 死んでいる! 神が おいかりなのに ちがいない! 善を 行って 神に おゆるしを いただかないと。神よ、わたしは 修道士に なることを 約束いたします。

 というわけで、マルティンは 死を おそれ、自分の 家族も 生涯の 仕事も 捨てて、エアフルトの 聖アウグスチノ修道会に 入ろうと 決心しました。

神父:何の ご用かな?

マルティン:神父様、あなたの あわれみと 神の あわれみを いただきとうございます。わたしは、修道士に なりたいのです。

神父:修道院での 生活は、とても きびしいものだ。食べる物は 少なく、睡眠時間も 短い。何時間も 祈り続け、たくさんの 重労働を しなければ ならないのだよ。そのような 生活をする 覚悟は あるのかね?

マルティン:はい、神父様。できる限りの ことを するつもりで ございます!

 マルティンは、良い 行いを すれば 神様の あわれみを いただけると 思っていました。そして、どんなに 一生けん命 働いたことでしょうか! 言われた ことは もちろんの こと、それ以上の ことを たくさん したのです。

 マルティンは 一度に 何日もの間 断食を して、冷たい 石の 床に 横たわり、何時間も 祈りを となえました。

マルティン:全能の 神よ、どうか お聞きください!

 来る日も 来る日も、ほどこしを 求めて 歩き回ることも ありました。

マルティン:どうか、ほどこし*を お願いいたします!

* 貧しい 人たちに あげるための お金

 マルティンは、ほかの 修道士たちに、いつも 自分の 罪について 話してばかり いるので、みんな、うんざりしてしまいました。

マルティン:兄弟よ、わたしは 全く ひどい 罪人なんだ! 告白しなくては。

修道士:マルティン、お願いだから、もう そのことは 話さないでくれ。

 何年も たってから、マルティンは こう 語っています。「もし 修行することで 天国に 行けるものなら、わたしこそ、その 修道士だった。」 けれども、マルティンが 完ぺきに なろうと すれば するほど、自分が どれほど 望みの ない 罪人かが 分かりました。どんなに がんばっても、自分を 救うことは 不可能だったのです!

 ある日、マルティンは 修道院の 院長さんに 自分の 心を 打ち明けました。

マルティン:神父様。わたしは どうしても 心の 安らぎを 見つけることが できません。神は、わたしに おいかりなのです!

ヨハン神父:ばかなことを 言っては いけない、マルティン修道士。神は、君を 愛しておられる! 聖書には、こう 書いてあるんだ。「もし わたしたちが 自分の 罪を 告白するならば、神は 真実で 正しい 方であるから、その 罪を ゆるしてくださる」とね。(口語訳聖書、ヨハネの 第一の 手紙 1:9)

マルティン:そうなんですか?!

ヨハン神父:そろそろ、君も 自分の 聖書を 持つ 時が 来たようだね。これは、君への おくり物だよ。君自身の 聖なる み言葉だ!

マルティン:ありがとうございます、ヨハン神父!

 真理に うえた マルティンは、ラテン語の 聖書を 読むのに 没頭しました。そんな ある日、まるで 光が パッと かがやいたかのごとく、ある節が 目に 入ってきました。

 「義人は 信仰によって 生きる。」(新改訳聖書、ローマ人への 手紙 1:17)

マルティン:(ふ~む。つまり、信仰だけが わたしを 救えるという ことだろうか?)

続く

* * *

第2部

 マルティンは、ザクセン州の フリードリヒ公爵によって 建てられた ヴィッテンベルク大学に、大学教授として 送られました。生徒たちは、マルティンが 教える 聖書の 講義に 深い 興味を 示しました。そのころ、聖書は 祭司にしか 読まれていなかったからです。

マルティン:これは、実に 大きな 特権です!

1510年に、ルターは ある 任務で ローマへ 派遣されました。6週間の 徒歩旅行の 後、ついに ローマに たどり着きました。

マルティン:聖なる ローマよ、万歳! 永遠の 都だぞ。

 当時、ローマは 神聖な 場所であると 考えられていました。教会の 頭である 法王が 住んでいたからです。ローマは、記念物や 聖像で 満ちていました。人々は 神様を 喜ばせようとして、そういった ものに ひれふしていたのです。

神父:これは、十字架から 取られたものである。

マルティン:(わたしが これを 見に来たことを、神は 喜んでくださるだろう。)

 このような 記念物を 見るために お金を はらって やって来た 人たちは、自分の 罪のために 煉獄で あまり 長く 苦しまなくて すむと 信じられていました。煉獄とは、天国と 地獄の 間の 「待合室」みたいな もので、そこで 自分の 罪を つぐなえると 信じられていたのです。

修道士:マルティン、ここ ローマには、イエスが お生まれになった 時に ねていた 飼い葉おけの わらが 1本 あるそうだよ。それから、モーセが 見たという 燃える 柴の 枝も あるそうだ。それだけじゃ ない。イエスが 天に 召された 時に 立っていた 石も 1個 あるという 話だ!

マルティン:ローマにある 教会を すべて 訪ねなくては。神が わたしたちに あわれみを ほどこし、祝福してくださるようにね。

 けれども、ローマは 「聖なる」 都とは 全く かけはなれた 場所でした。マルティンは いろいろと 見たり 耳に したりしているうちに、とても 悲しく、そして 腹立たしい 気持ちに なってきました。

マルティン:(どうして 祭司たちは、あんなに 金持ちなんだろう? 人々は、とても 貧しいと いうのに。)

神父:早く しろ! わたしは この 祭だんの 前で 主の 祈りを 50回 となえるために、金を もらっているんだからな。

修道士:きっと、サン・ピエトロ大聖堂が 世界一 壮大な 教会に なるだろうね!

マルティン:だけど、それを 建てる お金は どこから 来るんだ?

修道士:ヨーロッパ中の 人たちの ふところからさ。彼らは、法王が 神のような 存在だと 信じているんだ。

マルティン:あれは、だれだろう? どこかの 甘やかされた 王子かい?

修道士:ひざまずくんだ、おろか者! あの方こそ、教会の 頭である 法王、ローマ教皇だぞ。

マルティン:(ローマ教皇だったなんて! 主よ、おゆるしください。)7

修道士:さて、今度は ローマで 最も 聖なる 場所、神聖な 階段に 行かなくては。

 この 階段は、ピラトの 宮殿の 外で イエス様が 立った 階段であると 伝えられており、それが ローマに 運ばれてきたのでした。巡礼者たちは、煉獄にいる 友人や 親せきが 早く 出られるように 祈りながら、ひざを ついて この 階段を 上るのです。

修道士:わたしたちの 日ごとの 食物を・・・

マルティン:わたしたちの 負債をも おゆるしください。

他の修道士:天に います われらの 父よ。

 けれども、マルティンが その 階段を 上っていると、何度も 何度も、こういう 声が しました。

声:義人は 信仰によって 生きる!

マルティン:兄弟、これは ばかばかしいよ! もう、うんざりだ! 「義人は 信仰によって 生きる」のだから。(ローマ人への 手紙 1:17) ドイツに 帰ろう。

修道士:マ、マルティン修道士?

 ドイツに もどった マルティン・ルターは、引き続き 大学で 教え、神学の 博士号を 授けられました。

 それなのに、マルティンは まだ、神様の 最も 大切で かつ 単純な 真理について、はっきりと 分かっていなかったのです。

教授:おめでとう、ルター博士。

マルティン:ありがとうございます。

 けれども ある日、トイレに すわっていると・・・

 「あなたがたの 救われたのは、実に、恵みに より、信仰に よるので ある。それは、あなたがた自身から 出たものでは なく、神の 賜物である。決して 行いに よるのでは ない。それは、だれも 誇ることが ないためなので ある。」(口語訳聖書、エペソ人への手紙 2:8-9)

マルティン:(恵みだって? それなら、救いは 賜物なのか! 良い 行いや 聖徒たちに 向かって 祈ることでは 得られないんだ。ただ 神の 恵みに よってのみ、救われるんだ。) すごいぞ!

マルティン:まるで 霊が 新しく 生まれ変わったみたいに 感じるぞ!*

* ヨハネによる 福音書、3:3-8

マルティン:この 聖句が、わたしのために パラダイスへの 門を 開けてくれたんだ! 主イエスよ、愛しています!

 翌日、大学では・・・

マルティン:聖書を、大きな 木だと しよう。一つ一つの 節は、小さな 枝だ。わたしは、その 枝を 1本1本、すべて ゆさぶった。そして、すばらしいことを 発見したのだ。つまり、わたしたちは 信仰によって 救われるのであり、それ以外の 何物でも ないということだ。救いは 神からの おくり物であり、自分たちの 行いによって 得られるものでは ないということだ。

 それからと いうもの、マルティンは 罪からの 救いが 神の 恵みによる おくり物で あることを 教え始め、大勢の 生徒が それを 信じました。マルティンは、まず 聖書を 読み、その後 彼らの 母国語である ドイツ語で その 意味を 説明したのです。

マルティン:神は わたしたちを とても 愛しておられるので、わたしたちの 代わりに 死ぬために、ご自身の み子である イエスを つかわしてくださった。だから、イエスが わたしたちの 罪の つぐないを すべて してくださったのだ!

生徒:今まで わたしたちは、自分の 罪からの 救いを 得て 天国に 行くためには、善人でないと いけないと 教わってきたのですが。

マルティン:聖書に、救いは おくり物であると 書かれているのだよ。「罪の 支払う 報酬は 死である。しかし 神の 賜物は、わたしたちの 主キリスト・イエスにおける 永遠の 命である。」(口語訳聖書、ローマ人への 手紙 6:23) 君たちの 一人一人が、個人的に 神を 知り、愛することが できるんだ。

生徒:わあ、それは すばらしい!

マルティン:長くて 暗い 夜の 後、ついに 新しい 日が 来たんだ! わたしたちは 神の 愛について、みんなに 伝えなくては ならない!

 そういうわけで、マルティン・ルターは、まさに それを したのでした!

(続く)

* * *

第3部

 ローマの サン・ピエトロ大聖堂を 建てるのに 必要な ばく大な 費用を まかなうため、ローマ法王レオ10世は、ヨハン・テッツェルという 修道士に、ドイツ中を 行きめぐって 人々に 罪の ゆるしを 売る 権限を 与えました。教会に 十分な 献金を した 者は、自分 あるいは 家族の 罪が ゆるされると 言ったのです。

ヨハン・テッツェル:真っ直ぐ 天国に 行けるのは、聖人だけだ。完ぺきで なければ、煉獄と 呼ばれる おそろしい 場所で、自分の 罪のために 何千年も 苦しまねば ならんのだぞ!

男性:わしは 望みなしじゃ!

女性:テッツェル修道士だわ。

ヨハン・テッツェル:煉獄の 苦しみと 火から のがれて 真っ直ぐ 天国に 行くために、君は いくら はらう つもりかね?

男性:いくらでも、おおせの 通りに!

ヨハン・テッツェルローマ法王様が、この 手紙を 買う 者には だれでも、ゆるしを 授けようと お約束してくださったのだ。

男性:1枚 いただきます!・・・いや、2枚!

ヨハン・テッツェル:コインが チャリンと 音を 立てて 箱に 入ると、霊魂が 煉獄から 飛び上がる。

 ルターの 友人であり、助手でもある メランヒトンが、あることを 知らせに やって来ました。

メランヒトン:テッツェルという 修道士が、国中で 罪の ゆるしを 売って 回っています。

マルティン:何という ことだ! 救いは 高過ぎて、だれも そのために 十分な お金など はらえないはずだ。それを、イエスが 無料で 与えてくださったというのに。その 高ぶった 修道士 テッツェルに、思い知らせてやろう。

 その夜 ルターは、教会が 人々に、救われるための お金を はらわせる ことなど できない 理由の リストを 書きました。そして、それぞれの 項目に 番号を つけると、全部で 95に なりました。

 翌日の 1517年10月31日、ルターは 95項目から なる 文書を 教会の ドアに 打ちつけました。

男性1:何て 書いてあるか、読んでみよう。天国に 行くのに、お金も、良い 行いも 必要ないそうだ。信仰だけで よいと 書いてあるよ!

男性2:人は ゆるしを 得るのに 神と かけ引きする 必要は なく、それは 無料だって?!

男性1:こんなことを 言って、ルターは 殺されるかもしれないぞ!

 この 文書は、「95カ条の 論題」として 知られるように なりました。まもなく それは 翻訳され、たった 4週間のうちに 印刷されて ヨーロッパ中に 出回ったのです。ルターの 友人の 一人は、その 様子を 「まるで 天使たちが それを 伝える 使者だったかのよう」だと 言ったくらいです。

 神の み言葉の 真理は、反対勢力にも 関わらず、どんどん 伝わり続けました。そして とうとう、それは 法王の 耳にも 入りました。

法王:これは、よっぱらいの ドイツ人が 書いたに ちがいない!

神父:いいえ、法王様。彼は 大学教授です。そして、大勢の 人が その 教えに 従っています。

法王:わたしが 罪を ゆるすことが できないなどと、よくも そんな たわけた事を! 彼を ローマに 連れてまいれ。

 けれども ルターは ローマに 連れて行かれずに、ドイツでも 権力のある、ザクセン州の フリードリヒ公爵によって 支持され、守られました。フリードリヒは、ルターが ローマでは なく ドイツで 裁判に かけられるようにと 要求したのです。そのころ、法王レオ10世は 公爵の 支持が 必要だったので、ルターが ドイツで 裁判に かけられることに 同意しました。

 ルターは 何度も 教会の 高い 地位の 指導者に 呼び出されて、考えを 変えるように 説得されました。

教会の指導者:ルター博士、君の 言っていることは まちがっていると 認めたまえ。

マルティン:ですが、わたしの 教えは、聖書に 書かれていることからであると 証明できます。

教会の指導者:何も 証明など できはせん! 法王レオ10世が、君は まちがっていると おっしゃっているのだ。

マルティン:法王様は、神の み言葉よりも 上に 立つ 方では ありません。み言葉の 下で ございます。法王様は、初代の 使徒たちのような そぼくさに 立ちもどるべきで ございます。

教会の指導者:もう たくさんだ、ルター! これ以上 聞きたくない!

 大学に もどった ルターは、引き続き、新しく 発見した 教義を 教え続けました。そして、神が 自分に 示されたことを 説明するために 多くの パンフレットを 作りました。そして それは、キリスト教世界の 至る所で 印刷されたのです。

メランヒトン:ルター博士、ローマの 若い 修道士から 来た この 手紙を 読んでくださいよ。彼は 自分の 命を 危険に さらしてまで、町中で 博士の 書いた 印刷物を 配っているそうです。

マルティン:書かれた み言葉が、その 仕事を しているのだ、メランヒトン。印刷機*を、神に 感謝しよう。神の 真理を 幾倍にもして 広めるための、神からの 最高の おくり物だ!

* 印刷機は、ちょうど 1440年に 発明されたばかりでした。

 そのころから、ルターは ものすごい 量の 手紙や パンフレットや 説教や 本を 書き始めました。平均すると、彼は 残りの 生涯、2週間に 1通の 長い 文書を 書いたことに なります。 それは、102冊の 分厚い 本に なりました。

 ルターは、祈りにも 時間を 割き続けました。

メランヒトン:今日は、今までで 最高に いそがしい 日に なりそうです。祈りの 時間を 半分に しては どうでしょうか。

マルティン:その 反対だよ、メランヒトン。今日は、あまりにも するべきことが 多いから、祈りの 時間を 2倍に しなくては。

 ルターが 神様のために それほども 多くのことを 成しとげたのも、不思議では ありません。彼は、自分で しようとする 代わりに、神様に していただいたのですから。

マルティン:ああ、メランヒトンよ。ちょうど この 一切れの 肉を 見つめる 犬のように、わたしたちも 祈れたらなあ。犬は、この 肉に 全神経を 集中させるんだ。

しばらくして・・・

使用人:ルター博士。ローマ法王レオ10世から お手紙です。

マルティン:これは 警告だ。謝罪しなければ、わたしは 破門*されるそうだ。

* 教会員で いるのを 許さないこと。

マルティン:法王は、わたしを 反抗者と 呼び、説教したり 文書を 書くのを 止めろと 言っている。神は、わたしに 反対する 者たちを 使って、わたしに 大声を 上げさせようと しておられるのだ! 信じようと しない 者たちが うんざりするまで、わたしは 語り、さけび、書かなくては。

マルティン:たき火を 起こして、この 手紙と、真理を 宣べ伝えない 宗教の 本を、すべて いっしょに 焼きつくしてしまおう。

その夜

マルティン:真理を 教えない 宗教の 本や 書類は、みな さらばだ!

(続く)

* * *

第4部

1519年には、カール5世が ローマ皇帝に なりました。カール5世は、1521年に ヴォルムスの 町で 帝国議会を 開くことを 決定し、ルターを 裁くために、ドイツ中の 君主や 公爵や 司教が 集まりました。

メランヒトン:マルティン、行くな! 君は 命を ねらわれているんだ。

マルティン:いや、行かなければ。おく病者には なりたくない。わたしは 彼らの いつわりの 告発に 対抗して、真理の 証し人としての 自分の 責任を 果たさなくては いけないんだ。(エゼキエル書3:17-19を参照) たとえ ヴォルムスにある 家々の かわらの 数ほどの 悪魔が わたしを 待ち受けていたとしても、わたしは 行く。真理を 愛しているから 行くんだ。わたしは、嵐の 真っただ中に 追いこまれているんだよ。

その夜

マルティン:ああ、主よ。わたしの そばに 立って、この世の すべての 知恵と 戦ってください。わたしのためでは なく、あなたのために、永遠の 正義のために、戦ってください。

 ルターは、ヴォルムスへ 向かって 出発しました。

マルティン:さあ、歌おう。歌は、わたしたちを 元気づけてくれる。そして、神から 思いを そらさないように するのを 助けてくれる。

 ルター達は ヴォルムスに 着きました。ルターは 議会の 前に 姿を 現しました。

皇帝:この 男が そうか?

枢機卿:さようで ございます、皇帝閣下!

皇帝:そこに あるのは、そちが 書いた 本か?

マルティン:さようで ございます!

皇帝:そちは、そこに 書かれている 教えを すべて 否定するか?

マルティン:聖句によって わたしが 間違っていると 証明されない限りは、否定いたしません。わたしは、神の み言葉に しばられているのです。わたしは ここに 立っています! それ以上の ことは できません。わたしは、この 真理のためには、命も おしいとは 思いません。それだけは 確かです。神が わたしを 助けられますように!

皇帝:それでは、そちを ローマ帝国から 追放処分と いたす。

 その時点から、ルターの 命は 大きな 危険に さらされることに なったのです。ルターは 帰途に つきました。

マルティン:メランヒトン。わたしには まだ、自分が 本当に したいことを するための 時間が ないんだ。

メランヒトン:それは 何だい?

マルティン:聖書を ドイツ語に 翻訳することだ。普通の 人たちは、ラテン語が 読めない。それなのに、今は ラテン語の 聖書しか ないからね。

メランヒトン:それは すばらしい 考えだね、マルティン。きっと、いつか そのための 時間が できるよ。

すると、とつ然・・・

兵隊1:止まれ! ルターは、どっちだ?

マルティン:わたしだ。

兵隊2:彼を 連れて行け! 早く!

そして 彼らは 深い 森の 中へと 姿を 消しました。

メランヒトン:マルティン!

 この うわさは、すぐに 広まりました。有名な 画家 アルブレヒト・デューラーも、こんな ことを 言いました。

デューラー:何という ことだ。もし ルターが 死んだのなら、一体 だれが、わたしたちに 福音を 説明してくれるだろうか?

 ルターは、防備の 固い 大きな お城に 連れて行かれました。

兵隊:このような 形で あなたを お助けしなければ ならなくて、申し訳ありません、ルター博士。

マルティン:わたしを 助けるだって?

はい、わたしたちは あなたを 法王の 手から 救うために、賢公フリードリヒ公爵に つかわされました。

マルティン:わたしは、どれくらい ここに いなければ ならないだろうか?

兵隊:数ヶ月、あるいは 1年。ですが、博士の したい 仕事が あるのでは? 今こそ、書き物の 仕事を はかどらせる 時ですよ。

マルティン:(聖書か! 聖書を ドイツ語に 翻訳できるぞ。)

 身を かくしている この 期間は、疑いも なく 神様によって 定められた ものでした。マルティンは ここで、新約聖書を、人々の 日常言語であった ドイツ語に 翻訳することが できたからです。マルティンの 仕事ぶりは、すばやい ものでした。たったの 11週間で、マルティンは その 仕事を 終えてしまいました。

 この時期は、悪魔との 大きな 戦いの 時でも ありました。ある夜のこと・・・

サタン:ハッハッハ! 見てみろ、マルティン・ルター! お前の 罪の 長~い リストだ。

 ルターは、その 一つ一つを 読んでみました。

マルティン:確かに これは 全部 真実だが、お前が 忘れていることが 一つ ある。それは・・・「み子 イエスの 血が、すべての 罪から わたしたちを 清めるのである。」(口語訳聖書、ヨハネの第一の手紙 1:7) サタンよ、イエスの み名によって、お前を 叱責する!

ガッチャーン!

1525年、ルターは、カタリーナ・フォン・ボラという 元修道女と 結婚し、公爵に あてがわれていた 古い 修道院で 暮らしました。修道院は、いつも ルターの 話を 聞こうとして やって来る 訪問客で いっぱいでした。

 ルターには 6人の 子が いましたが、そのほかにも 大勢の 子どもたちを 養子に しました。彼は いつも、話し、読み、説教していました。そして 生徒たちは、彼が 言うことを すべて 書き留めるのでした。

 晩年、マルティン・ルターは 病気がちでしたが、それでも 最後まで 精力的に 働き、説教し、旅を し、学校を 設立し、書き物を していました。

マルティン:心地よい メロディーほど、人の 心を 落ち着ける ものは ない。音楽は 最高の おくり物だ。実に、神聖だ! 悲しい 思いを すべて 追いはらってくれる!

カタリーナ:マルティン、一体 どうやって 孤児を もう一人 引き取れると いうの? 今 ここに 住んでいる 人たちだけで、うちは もう、いっぱいよ。

マルティン:心配しなくとも よい。養う 口が 一人分 増えるたびに、神も その分 供給してくださるから。その子を 連れてくるようにと 伝えなさい。

マルティン:おねむり、ぼうや。わたしには あげられるような 金は ないが、富んでいる 神様が いるからね。

1546年2月18日、充実した 一生を 送った マルティン・ルターは、主の もとへ 行きました。

イエス:良い 忠実な しもべよ、よくやった! 主人と いっしょに 喜んでくれ。(口語訳聖書、マタイによる福音書 25:23)

マルティン:イエスよ、感謝します。

終わり

神様の 助けが あれば

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神様の 助けが あれば

 君は 今までに、自分には むずかしすぎるように 思える チャレンジに 直面したことが あるかな? そういう時、君の パパや ママには、イエス様に 助けを 求めたら いいって 言われたかもね。だけど、君は こう 思うかも。(本当に イエス様は、こういう 技能を ぼくが 学ぶのを 助けられるのかなぁ?)とか、(イエス様は どうやって、ぼくが 新しい 学校で 友だちを 作るのを 助けられるんだろう?)とかね。

 聖書の 最初の 書である 創世記*1*には、ノアが 神様に、非常に むずかしいことを するようにと 求められた お話が 書かれているよ。ノアは、どうやって それを したんだろう?

ノア:神様に 耳を かたむける 時間を 取ったからこそ、神様は わたしに 箱舟の 造り方を 教えてくださることが できたのじゃ。

 神様は ノアに、これから 全世界に 大きな 洪水を もたらそうと していることを 告げた。ノアは、神様に 従いたい、自分の 家族を 救いたい、と 思った。それで、神様の 指示を しっかり 聞いて、従うことが 大切だと わかっていたんだ。

 ノアは、今までに 大きな 船という ものを 見たことが なかったし、自分の 家族と、いっしょに 連れて行くようにと 神様が 言われた 動物たち みんなを 乗せるのに 十分 大きな 箱舟は、つくりが 複雑だった。だから、ノアにとって、神様に 耳を かたむけ、指示を 受け取るのは、最高に 大切な ことだったんだ。

 ノアが 神様に 耳を かたむける 時間を 取ると、神様は ノアに、船を 造るのに 最善の 資材は 何かを 教え、箱舟の 造り方の 指示を 与えてくださった。どんな 留め具を 使ったら いいかや、箱舟を 防水に するために 何を 使ったら いいかまで、教えてくださったんだよ。

 こういった 細々とした 事がらは、ノアが 箱舟の 造り方を 神様に 聞く 時間を 取ったからこそ、教えてもらえたんだよ。

 もし ノアが 落ちこんで、神様が 彼を 助けてくださると 信じなかったら、どう なっていただろう?

 または、ノアが 洪水が 来るのを あまりにも 心配し、大あわてで、神様の 具体的な 指示も 聞かないで 箱舟を 造り上げようと していたなら、どうだろう? もし ノアが そうしていたなら、物事が うまくいったか どうかは 疑わしいよね。

 きっと、そうやって 造られた 船の 構造は、洪水から 発生した 大きな 波に たえられるほど じょうぶでは なかっただろうし、防水にも なっていなかっただろうからね。

 それに、もし ノアが、神様が 船に 乗せるようにと 言われた 動物たちを 入れるための 部屋を、それぞれの 必要に 合わせて 造るための 具体的な 指示を 神様から 聞く 時間を 取っていなかったら、動物たちを 船に 入れることも できなかっただろうね。

 物事を 正しく やるためには、時間と 祈りが 必要だった。神様に 耳を かたむけ、いただいた 指示を 注意深く 記録するためにはね。だけど、ノアが 神様の 指示に 従ったおかげで、彼の 家族と 動物たちは、助かったんだよ。

 毎日の 生活の 中で 新しい チャレンジに 直面したら、ノアの 良い お手本を 見習おう。神様の み言葉を 読み、それを 通して 神様が 君の 心に 語りかける 声に、耳を かたむけよう。

イエス様は、君の 世話を し、どうしたらいいか、道を 示してくださるよ。イエス様は 君の 先を 進んでおられ、どうしたら、主に 助けてもらいながら 目標に 到達できるか、教えてくださるからね。

脚注:

*1* ノアと 箱舟の くわしい お話は、創世記の 第6章から 第8章の 22節に のっているよ。読んでみてね。

聖書に出てくる、信仰に満ちた父親たち

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聖書に出てくる、信仰に満ちた父親たち

聖書に 登場する 父親と 息子を 全部 組み合わせてごらん。

父親:

 アダム(創世記4:1-2)

 ノア(創世記5:32)

 アブラハム(創世記21:3)

 イサク(創世記25:21-26)

 エッサイ(サムエル記上16:10-13)

 ダビデ(サムエル記下12:24)

 ヨセフ(マタイ1:16, 18-25)

 ザカリヤ(ルカ1:5-25, 57-63)

息子:

 ヤペテ

 ヨハネ

 ソロモン

 アベル

 ダビデ

 イサク

 ヤコブとエサウ

 イエス

神様の りっぱな 母親たち

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神様の りっぱな 母親たち

イエス様:わたしは、母親たちを 愛しているよ! 子供たちを 本当に よく 世話してくれて、ありがとう!

 君が 心から お母さんを 愛していて、君のために してくれる すべてを 感謝していることを 表すのを わすれずにね! 特に 母の日や お母さんの たん生日には、もっとだよ。でもね、どんなに お母さんを 愛しているかを 表す 機会は、1年中 いくらでも あるんだよ。

 ここから 後の ページでは、聖書に 出てくる 8人の 特別な お母さんたちを 紹介するよ。1人1人に ついての くわしい 話も、聖書で 読んでね。

 お話の 中で、君の お母さんに にている 部分は ないか、さがしてみよう。

お母さんのために 祈る 時は、聖書の 時代に 活躍した この すばらしい お母さんたちに、それぞれの 強みを 生かして 君の お母さんを 助けてくれるように お願いしたら いいよ。

 この後の ページに えがかれている お母さんの 特質は、君の お母さんにも 当てはまるよ。

 お母さんのような 愛を 君に 示してくれる 女の人を、ほかにも 思いつくかな?

 アブラハムの 妻サラは、赤ちゃんを 産むには 年を 取り過ぎていたけど、それでも 神様は 子どもを お授けできると 信じた。サラの 信仰は むくわれ、息子イサクを 授かったんだ。彼女が イサクを 神様の 道に 沿って しっかりと 教え育て上げたおかげで、イサクは 神様に 従う、民の 良い 指導者に なったんだよ。

 創世記 18:9-15と21:1-7を 読んでね。

 ヨケベデは 自分の 赤ちゃんを 愛していたので、パロが ヘブル人の 男の 赤んぼうは 全員 ナイル川に 投げ入れよと 命じた時、赤ちゃんの 命を 救うために、あることを 考えついた。かごを 編んで 水が 中に 入らないように し、その中に 赤ちゃんを 入れて、川に 浮かばせておいたんだ。それには、強い 決意が 必要だったんだよ。

 その 赤ちゃんが、モーセだ。モーセは パロの 娘に 見つけられた。パロの 娘は ヨケベデを やとって、赤ちゃんが 成長するまで 世話を させたんだ。その後 モーセは パロの 宮殿で 育てられ、教育を 受け、後に なって、エジプトから ヘブル人を 導き出すために 神に 用いられたんだよ。

 出エジプト記 2:1-10を 読んでね。

 モアブ人ルツは、イエス様の 先祖の 1人だよ。ルツは、ヘブル人の 夫が 死んだ後、夫の 母親を 世話するために、自分の 民を はなれ、ベツレヘムに 移り住んだ。義理の母への そのような 献身ぶりと 思いやりを 神様は 大いに 祝福され、ルツを ダビデ王の ひいおばあさんに されたんだ。

 ルツ記 1-4章を 読んでね。

 マタイによる福音書の 1:1-16を 読むと、どうして ルツが イエス様の 先祖なのかが わかるよ。

 サムエルは、旧約聖書に 記されている 最も 偉大な 預言者の 1人だ。彼についての くわしい 話は、聖書の サムエル記上と サムエル記下で 読んでね。

 サムエルの お母さん ハンナは、結婚して 何年も たつのに、ずっと ほしかった 子どもが できなかった。ある日、ハンナは 神様に 祈った。もし 神様が 彼女に 男の子を お授けくださるなら、その子を 神様に 仕えるために お返ししますってね。ハンナは、神様には その願いを かなえることが できると 確信していたんだ。

 その 約束を して まもなく、ハンナは 身ごもった。そして 生まれた 子に、サムエルという 名前を 付けた。ハンナは サムエルが まだ 幼い時に、神様の 道に 沿って 教え育ててもらえるようにと、神殿の 祭司エリの もとに 連れて行った。神殿は 遠く はなれていたので、その後は 1年に 1度しか 会えない。だから、それは ハンナにとって つらいことだったんだよ。だけど ハンナは 心から 神様を 愛していたし、サムエルを 授けてくださったのは 神様だからね。感謝し、喜んで サムエルを 神様に 返したんだ。

 神様は、サムエルを ささげた ハンナを 祝福し、その後 もっと 子どもたちを 授けてくださったんだよ。

 サムエル記上第1章を 読んでね。

 ザレパテの やもめは、彼女と 息子に 残っていた 最後の 小麦粉と 油で パンを 焼いてほしいと 預言者エリヤに 頼まれた時、その 最後の 食べ物を 彼に 差し出した。ききんの 時に そんなことを するには、大きな 信仰と 従順が 必要だったんだよ。

 エリヤは やもめに、もし そうしてくれるなら、神様が 彼女を 祝福して、小麦粉と 油を もっと 与えてくださると 約束した。ザレパテの やもめは 神様の 約束を 信じ、残っていた 最後の 食べ物を エリヤに あげたんだ。神様は それを 祝福し、ききんの間 ずっと、彼女と その 男の子と エリヤが 食べるのに 十分な 食べ物が あるように されたんだよ。

 ザレパテの やもめは、息子のために できる 最善のことは、神に 従うことだって、知っていたんだね。

 列王記上 17:10-24を 読んでね。

そして、イエス様の 献身的な 地上の 母親マリヤ。彼女は 男の人と いたわけでも なく、結婚も していなかったから、人々に どう 思われるか 心配して、神様に「それは 無理です」って 言うことも できたけど、こう 答えたんだ。「わたしは 主の はしためです。お言葉通り この身に 成りますように」(ルカ1:38)。彼女は 神様の 呼びかけに 応え、その結果、歴史上「恵まれた」人として 名が 残ったんだよ。ちょうど、彼女が 預言した通りに なったんだ。(ルカ1:48を読んでね。)

 ルカ 1-2:20を 読んでね。

 マリヤの いとこの エリサベツも、特別な 母親だった。「神の み前に 正しい」人だったけど、子どもが できないまま 年を 取ってしまった。神様には エリサベツのために 特別な ご計画が あったんだね。彼女を 老年で、バプテスマの ヨハネの 母親に されたんだ。ヨハネは、イエス様のために 道を 備えた 預言者だよ。

 神様と その み言葉を 知るようにと、自分の 子供たちを 教え育てた 忠実な 母親たちが いなかったら、初代教会は あれほどの 進歩を 遂げなかっただろう。パウロの 最も 忠実な 従者の 1人、かつ 弟子だった テモテは、母親ユニケと 祖母ロイスによって、神への 強い 信仰の 内に 育てられた。み言葉の 内に テモテを 教え育てた 彼女たちの 勤勉さは、後に、テモテが 大人に なって パウロと 共に 神様に 仕えるように なった時、初代教会を 前進させるのに 役立ったんだよ。

 第2テモテ1:5を 読んでね。