ある 冬の 日の 夜のことです。アフリカから もどってきた 有名な 宣教師 ロバート・モファット博士が、説教するために 小さな スコットランドの 教会に 到着しました。
牧師:こんばんは、モファット博士! おいでいただけて、本当に うれしいです。みなさんが お待ちですよ。博士の アフリカみやげ話を 聞けば、ご婦人方は 大喜びするでしょう。
モファット博士:ご婦人方ですと? 牧師様。わたしが ここに 来たのは、宣教師として アフリカに 行くように、男性方に 呼びかけるためなのですが!
牧師:それは 誠に お気の毒ですが、今夜 お見えに なっているのは、ご婦人方だけなのですよ。一人だけ、ロフトで オルガンに 空気を 送る 係を している 青年なら、いますがね。
牧師:ご婦人の みな様方! ロンドン宣教協会の 有名な モファット博士を ご紹介します。
モファット博士:エヘン、箴言8章4節には、こう 書かれています。「人々よ、わたしは あなたがたに 呼ばわり、声を あげて 人の 子らを 呼ぶ。」(口語訳聖書、箴言 8:4) (これは バカげている! もっと ふさわしい 内容の 説教に 変えないと。待てよ。なぜか、予定通りの 話を する ことを、神が 望んでおられるような 気が するぞ。)
モファット博士:友の 方々よ、わたしは つい 最近、暗黒大陸の アフリカから もどって来ました。アフリカが 暗黒なのは、だれも 福音という 光を 見たことが ないためです。
オルガン・ロフトに いた 青年 デイヴィッド・リヴィングストンは、モファット博士の アフリカへの 宣教活動の 呼びかけに、熱心に 聞き入っていました。
「全世界に 出て行って、すべての 造られたものに 福音を 宣べ伝えよ。」(口語訳聖書、マルコによる 福音書 16:15)
それまでの デイヴィッド・リヴィングストンの 生い立ち:
デイヴィッド・リヴィングストンは、1813年3月19日、スコットランドの 小さな 村 ブランタイアで 生まれました。家庭が 貧しかったため、デイヴィッドは 10才の 時に 学校を やめて、紡織工場(綿花から 糸を 作る 工場)で 働き始めました。
トム:デイヴィッド、こんなに 少ない 賃金で 毎日 14時間も 働かなくちゃ いけないなんて、不公平だよな。
デイヴィッド:でも、せめて ぼくたちは、うえてる わけじゃ ないからね、トム。
トム:一生、紡績工場で どれいみたいに 働きたいってのか、デイヴィッド?
デイヴィッド:いいや。大学に 行って、弁護士か お医者さんに なりたいんだ。
トム:ハハ! お前、夢でも 見てんのか。こんな 工場で 働きながら 勉強する 時間なんて、ないだろ?
デイヴィッド:神様が 助けてくだされば できるよ、トム! 試してみるまでは、自分に 何が できるかなんて、分からないだろ。
最初の 週に もらった 賃金で、デイヴィッド・リヴィングストンは 教科書を 買いました。
店長:「ラテン語の 基礎」だね。6ペンスだよ。
何年もの間、デイヴィッドは 夜の 8時に 仕事を 終えた 後、10時まで 夜間学校に 通いました。
そして、家に 帰った 後も、深夜の 12時まで 勉強しました。時には、もっと おそくまで 勉強していることさえ ありました・・・。そして、お母さんに 注意されたものです。
お母さん:デイヴィッド、もう ねなさい。明日も、6時から 工場で 仕事なのよ。
デイヴィッド:はい、お母さん。
デイヴィッド・リヴィングストンの 両親は 信心深い クリスチャンだったので、デイヴィッドが 勉強ばかりで 聖書を おろそかに することが ないように、気を 配りました。
牧師:デイヴィッドと トム。そろそろ 君たちも、救い主として、イエス様を 知るべき 時だと 思う。
デイヴィッド:はい、ぼくは 救い主として、イエス様を 受け入れたいです。
トム:デイヴィッド、本や 宗教で 時間を 無駄に するなよ!
デイヴィッド:実を 言うと、ぼく、牧師さんのような 説教師に なりたいんです!
トム:ぼくには 関係ないな! 自分の 人生を、もっと いい事に 使うよ。
デイヴィッド:トム!
トム:おまえは 自分の 道を 行けば いいさ。ぼくは ぼくの 道を 行くよ、デイヴィッド!
というわけで、デイヴィッド・リヴィングストンは 説教師に なる 決心を しました。けれども、最初の 試みは 失敗に 終わりました。
デイヴィッド:友の みな様方! 今日の 説教で お話ししたい ことは・・・えっと・・・みなさん・・・お話ししようと していた ことを 忘れてしまいました! あ~・・・ありがとうございました!
デイヴィッド:ぼくは、もう 二度と 説教なんか しません! 絶対に!
牧師:そう がっかりしなくても いいさ、デイヴィッド。あきらめちゃ いかん! もしかしたら、説教師では なくて、医者に なったら いいのかも しれん。あるいは、宣教師は どうだろう?
その後 リヴィングストンは、異国の 地で 福音を 宣べ伝える ことに 人生を ささげようと 決心します。
そして、宣教活動の 一部として 病気の 人たちの 世話が できるように、医学を 勉強し始めたのでした。
10才の 時から 紡績工場で 17年も 働き続けた後・・・
デイヴィッド:(毎年 何か月間かは 医学大学に 通えるように、お金を 貯めていこう。)
・・・27才で、デイヴィッド・リヴィングストンは 医師としての 資格を 取りました。
デイヴィッド:(神よ、感謝します。ついに わたしは、神様のために 生涯の 仕事を 始める 準備が 整ったようです。)
(続く)
* * *
1840年、イギリスの ドーバーでは・・・
牧師:神の 祝福を、デイヴィッド! 安全な 旅を 祈っているよ!
友人1:人食い人種やら 首狩り族やら、危険には、くれぐれも 気を つけろよ。
友人2:悪いことは 言わん。お願いだから、行くのは やめて、イギリスに 留まってくれ。
デイヴィッド:みなさん、気に かけてくれて、ありがとう。だが、マタイの書に イエスが 最後に 言われた 言葉が あるのに、どうして おそれていられましょうか。
デイヴィッド:「わたしは 世の 終わりまで、いつも あなたがたと 共に いるのである。」(口語訳聖書、マタイによる 福音書 28:20) みなさん、それは 神の 言葉です。決して、破られることの あり得ない 約束なのです。ですから、おそれる ものなど ありましょうか? さあ、行こう。
かくして、デイヴィッド・リヴィングストンは 出航したのです。
3ヵ月の 航海中、リヴィングストンは、船員たちに 神様について 話しながら 多くの 時間を 過ごしました。そして ついに、南アフリカに 着きました。
水兵:陸が 見えるぞ!
デイヴィッド:ついに、アフリカだ! イエスよ、この地を あなたのために 要求します。
リヴィングストンは ケープタウンに 上陸し、その後、モファット博士の 運営している 宣教拠点の クルマンまで、牛車で 1,000キロ以上もの 距離を 旅したのでした。
クルマンで、リヴィングストンは 福音を 宣べ伝え、病人の 治療を し、現地の 言語を 学びました。
現地人:ブワナ(先生)、いい 医者。まじない師より いい!
デイヴィッド:君たちの 言葉で、「イエスは 最高の 医者」は、どう 言うんだい?
まもなく リヴィングストンは、今までに 1度も イエスのことを 聞いたことが ない 原住民の いる、もっと 北の 奥地へ 行くように 神が 召しておられると 感じるように なりました。
仲間の宣教師1:デイヴィッド、ここから 先は、白人が 1度も 足を ふみ入れたことの ない 土地だ。マタベレ族や バクウェナ族なんかの、荒々しい 野蛮な 部族が 住んでいる。
仲間の宣教師2:神の 祝福が あるように、デイヴィッド。君が 足を ふみ入れる 土地は、すべて 君のものに なると 神が 約束されたことを、忘れては いけないよ。( ヨシュア記 1:3)
リヴィングストンは、旅を しながら 熱心に 地図を 作り、岩や 丘や 木々や 動物など、自分の 見た あらゆるものを 記録しました。
デイヴィッド:イエスよ、あなたの 創造物の 不思議を 感謝します!
ところが、とつ然・・・
バクウェナ族:うわー!
ガイド:バクウェナ族! わたしたちを 殺す!
デイヴィッド:信じなさい。わたしたちは 神の メッセンジャーなのだ。神の 天使が 守ってくれる!(詩篇 34:7)
デイヴィッド:こんにちは、みなさん。わたしの 名前は、リヴィングストン博士です。わたしは、平和をもって やって来ました。あなたがたの 酋長に、良い 知らせを 持ってきました。
ガイド:先生が アフリカの 言葉を 話すので、みんな、おどろいています。
バクウェナ族:来い!
マボツァの バクウェナ族の 村に 着いて・・・
デイヴィッド:どうして、酋長は わたしを こんなに じろじろ 見てるんだい?
ガイド:今までに、一度も 白人を 見たことが ないからですよ。
酋長:わたしは、バクウェナ族の 酋長、セクレだ。おまえは 神か?
デイヴィッド:いいえ、神から 送られてきた 者です。あなたや 部族の みなさんに、神からの メッセージを 持って来ました。それは、ここに 書かれています。わたしが 読んで差し上げましょう。
やがて・・・
デイヴィッド:神は あなたがたを 愛しておられ、あなたがたが 天国に 行けるように、ご自分の 息子を 送って、あなたがたの 代わりに 死なせられたのです。それを 伝えるために、神は わたしを ここに 送られたのです!
酋長:それを 信じない 人、どうなる?
デイヴィッド:そうですね、天国へ 行けませんね。
酋長:では なぜ、今まで この話を 教えに 来なかった? それは よくない!
デイヴィッド:(愛する イエスよ、酋長に 分かってもらうためには、言葉以上の ものが 必要です。あなたの 愛と 力の 現れを 見る 必要が あります。)
その夜・・・
バクウェナ族:おい! 酋長に 会いに 来い!
デイヴィッド:な、何の ためかな?
酋長:娘が 重い 病気だ! まじない師は、娘が 死ぬと 言っている。おまえの 神は、娘を いやせるか?
デイヴィッド:ええ、わたしの 神は、娘さんを いやせます。わたしの 神は、娘さんの 神でも ありますから。(愛する イエスよ、どうか、わたしを 助けてください。あなたの 出番です!)
あくる日・・・
酋長の娘:お父さん!
酋長:娘よ! 元気に なったか。
酋長:今 わたしは、この 偉大な 神や、わたしたちのために 死んだ 神の 息子についての 話を、全部 聞きたい。
そして、バクウェナ族の 大酋長セクレは、イエスを 自分の 救い主として 受け入れたのでした。
酋長:イエス、いい! 部族 みんな クリスチャンに なる、いいこと。
デイヴィッド:よかった!
酋長:頭たちに、むちを 持って来させろ!
デイヴィッド:むち? 何の ためですか?
酋長:わたしの 部族民、むち打たなければ、何も しない。
デイヴィッド:待ってください、セクレ! 平和の 福音は、暴力で 教える ものでは ありません。まず、わたしに 話させてください。
かつては、もう 2度と 人前では 説教するまいと 思っていた デイヴィッド・リヴィングストンでしたが、聖霊の 力に 塗油されて、バクウェナ族 全員の 前で、イエスを 信じることについて 話したのです。
デイヴィッド:イエスについて、もっと 知りたい 人は?
バクウェナ族1:はい!
バクウェナ族2:知りたい!
バクウェナ族3:わたしもだ!
バクウェナ族4:はい!
酋長:むちを 使わないで わたしの 部族民に 興味を 持たせるなんて・・・何て 強い 神なんだ!
1842年、デイヴィッド・リヴィングストンは、白人の いる 町から 遠く はなれ、荒々しく 野蛮な 部族に 囲まれた、マボツァの バクウェナ族の 村に、最初の 宣教拠点を 開きました。リヴィングストンは 彼らを 愛し、思いやっていたので、彼らも リヴィングストンを 愛し、信頼するように なりました。
宣教師として アフリカで 過ごした 30年間に、リヴィングストンは 何千人もの 人々に イエスのことを 教えたのでした。
マボツァで 2年 暮らした後、デイヴィッド・リヴィングストンは、メアリー・モファットと 結婚しました。メアリーは、最初に リヴィングストンを アフリカへ 行くことを 奮い立たせた 有名な 宣教師、モファット博士の 娘です。
1847年、二人は、マボツァから 120キロほど 北に 行った コロベングという 所に、新しい 宣教拠点を 築きました。
リヴィングストンと メアリーの 間には、6人の 子供が いました。子供達は、父親と いっしょに 宣教の 旅に 出かけることも ありました。
二人は 幸せな 結婚生活を 送りました。リヴィングストンには 生真面目な 面が ある 一方、すぐれた ユーモアの センスも 持ち合わせていて、いつでも、彼の 言うところの 「歓楽と 遊び」を 楽しむことが できたからです。
子ども:パパ、もっと 速く 走って!
リヴィングストンは、数多くの 旅の 間も、自分が アフリカにいる 最大の 理由は、福音を 宣べ伝え、また ほかの 人たちが 彼の 後に 続けるように するためだと いうことを、決して 忘れませんでした。ある時、彼は 自分の 気持ちを、短期間 アフリカ横断旅行に 同行した ハンターに、こう 話しました。
ハンター:アフリカ人だけを 連れて、単身 徒歩で アフリカを 横断するなんて、むちゃくちゃだな! おい、何を 見ているんだ?
デイヴィッド:ああ、ただの 石っころですよ。
何日も たって、白人の ハンターは、そのことを 思い出して たずねました。
ハンター:あの日、君が 見ていた めずらしい 石の ことだが。あれは、何だったのかい?
デイヴィッド:ダイヤモンドでした。
ハンター:ダイヤモンドだって! あの 場所を、また 見つけることは できるかい?
デイヴィッド:ええ。でも、あなたには 無理ですよ。わたしの 探検の 目的は、どん欲で 利己的な 人たちに アフリカの 扉を 開いて 不公平に 利用され 荒れ果てさせることでは ありません。わたしは、アフリカ全土に 福音を 伝えられるように、宣教師たちのための 道を 開拓したいのです! わたしの 求めているのは、ダイヤモンドでは なく、人間の 永遠の 魂なのです!
* * *
1856年、16年間 アフリカの ジャングルで 暮らした デイヴィッド・リヴィングストンは、イギリスに 短期間 もどって来ました。そして 彼の おどろいたことに、彼は 国家の 英雄として もてなされたのです。
記者:お帰りなさい、リヴィングストン博士! イギリス一の 有名人と なった お気持ちは、いかがでしょうか?
デイヴィッド:そんな、やめてくださいよ! 武具を 脱ぐ 者は 誇ると 言いますが、わたしは まだ、武具を 付けたばかりですから!*
* ここで デイヴィッド・リヴィングストンが 引用しているのは、聖書の 列王記上の 20:11に 書かれている イスラエル王の 言った 言葉で、「武具を 帯びる 者は、それを 脱ぐ 者のように 誇っては ならない。」というものです。つまり、彼は まだ、イエスのために アフリカを 勝ち取る 戦いを 始めたばかりだと 言っているのです。
デイヴィッド:わたしは、単なる 神の しもべに 過ぎません。神の み手の 導きに 従っているだけなのです。
リヴィングストンは、イギリス中から 数々の 勲章や メダルを 授与されました。
司会者:リヴィングストン博士、アフリカに おける 宣教師としての あなたの 大いなる 働きに 敬意を 表し、また あなたが はらった 大きな 犠牲を たたえて、これを 授与します!
デイヴィッド:犠牲ですって? ハハ!
紳士淑女の みな様方、わたしは 今までに 犠牲を はらったことは ありません! わたしが どんなに 多くの ものを 手放しても、神は いつも はるかに 多くの ものを 返してくださるからです。
わたしたちには、神に 対して 決して 返すことの できない 大きな 借りが あるのに、その ほんの 一部を 返したからと いって、それを 犠牲と 呼べるでしょうか?
犠牲ですって? そのような ものは、ありません! それは むしろ、特権なのです!
思いわずらいや 病気、難儀や 危険は、わたしたちの 気持ちを 動揺させ、しずませることも ありますが、それは つかの間の ことだけに しましょう! こういった ことは すべて、やがて わたしたちの 内に、また わたしたちのために 現されようとしている 栄光に 比べるなら、全く 無きに 等しいからです!(ローマ人への手紙 8:18)
犠牲ですか? わたしたちのために 命を 捨てるため、天にある ご自分の 父の み座を 去られた 時に イエスが はらってくださった 大きな 犠牲を 思い出すなら、そのような 言葉は 口に 出すべきでは ありません!
紳士淑女の みなさん、わたしは、今までに 犠牲を はらったことなど、ないのです!
イギリス滞在中に リヴィングストンが した 演説や 書いた ものは、ほかの 大勢の 宣教師たちを、宣教の 畑へ 行くようにと かり立てました。
1858年に、リヴィングストンは 再び アフリカへ もどりました。次の 11年間、彼は 探検しながら 福音を 宣べ伝え続けました。1871年までの 4年間は、イギリスで 彼から 便りを 受け取った 人は だれも いませんでした。
新聞の記事:リヴィングストンの 行方、未だ わからず
イギリスの読者1:彼は おそらく、マラリアで 死んだのだろう。
イギリスの読者2:それとも、野蛮人に 殺されたのかもな。
彼に 何が 起こったのかを 調べるため、ウェールズの ヘンリー・モートン・スタンリーという 記者が、アメリカの 新聞社によって 送られました。
スタンリーは、アフリカの 東海岸の ザンジバルから 捜索を 始めました。
司令官:主が あなたと 共に 行かれるように、スタンリー!
スタンリー:ありがとうございます。ですが、わたしは リヴィングストン博士とは ちがって、クリスチャンでは ありません。
何ヶ月も たったころ、スタンリーは アフリカ原住民から、年配の 病気の ヨーロッパ人が ウジジに いるという うわさを 耳に しました。
スタンリーは、ついに リヴィングストンを 見つけたのです。
スタンリーは、原住民の 中に 年配の 白人の 顔を 見つけました。その 人は、金色の バンドが 巻いてある ぼうしを かぶり、赤い 毛布用の 布で できた 短い 上着を 着ていました。
スタンリーは、リヴィングストンに あいさつしました。
スタンリー:リヴィングストン博士で いらっしゃいますね?
デイヴィッド:はい。
それは、歴史上でも 有名な、アフリカ大陸での 出会いでした。
●4頁目
スタンリーは、4ヶ月 滞在しました。
デイヴィッド:わたしの 最も 忠実な しもべ、スシと チュマです。
スタンリー:(一体 彼は、どうやって こんな 所で 生きていけるのだろう? 気は 確かなんだろうか?)
スタンリーの手記:わたしは、「すべてを 捨てて、わたしに 従ってきなさい」と 書かれている 聖書の 言葉を ことごとく 実行している この 孤独な 老人に、自分が 驚嘆していることに 気が ついた。彼の 愛、やさしさ、熱意、良い ユーモア、そして 仕事に 取りかかる 時の 真剣さには、ただただ 驚くばかりであった。彼の 愛と あわれみは、すぐに 周りの 人にも 広がってしまうことを、わたしは 認めざるを 得ない。
そして、ある夜のこと・・・
スタンリー:先生、アフリカに 来た 時、わたしは 無神論者でした。ですが、先生の 生き方を 見て、わたしは 変わりました。
スタンリーが イギリスに 帰る 時が 来ました。
スタンリー:ご自身の 健康のためです、先生。お願いですから、わたしと いっしょに、イギリスへ もどってください!
デイヴィッド:もどる? わたしは、どこへでも 行くよ。前進するためならね!
スタンリーは、アフリカを さらに 探検するために、数年後には もどって来ています。
スタンリーが 去った 数日後に、リヴィングストンは 日記に こう 記しました。
3月19日。わたしの 誕生日だ! わたしの 王で あり、わたしの 命で あり、わたしの すべてで あるイエスよ! わたしは 再び、わたし自身の すべてを あなたに ささげます! 恵み深き 父よ、この 1年が 過ぎ去る 前に、あなたのための 仕事を 終えられますように! イエスの み名で 祈ります。アァメン!
リヴィングストンは、その わずか1年後に、イエスの 元へ 行ったのでした。
最後の 1年間に、リヴィングストンは 今一度、最後の 旅に 出ました。病気で 絶えず 痛みに 悩まされながら、しばしば すわることさえ できない 状態でも、彼は 前進したのでした。
デイヴィッド:神よ、あなたを ほめたたえます!
そして、ついに チタンポに 着いて まもなくの 1873年、5月1日のこと・・・
チュマ:シーッ! スシ! 先生は 祈っておられる!
スシ:いや、チュマ。先生は 亡くなられたのだ。
神は、リヴィングストンが ひざまずいて 祈っている 時に 取り去られたのでした。
二人の 忠実な しもべたちは、原住民の 死についての 迷信の せいで、自分たちの 命を 危険に さらしながらも、リヴィングストンの 体に 防腐処理を し、彼の 日記や 医療品と いっしょに、海まで 2,500キロもの 道のりを 運びました。そして、彼の なきがらは 船で イギリスに 送り返されたのでした。
そういうわけで、19世紀で 最も 偉大だった 人物の 一人、デイヴィッド・リヴィングストンは、ロンドンの 有名な 教会 ウェストミンスター寺院に ほうむられました。彼の お葬式は、ロンドンで 執り行われた 中でも 最も 盛大な お葬式の 一つと なりました。
リヴィングストンの 墓石には、こう 刻まれています--
「彼は 30年間、不屈の 努力によって、アフリカ原住民に 福音を 説き、中央アフリカの 秘境地を 探検調査した。」
けれども、何より 大切な ことは、彼が 何千人もの 人々に イエスについて 教えたこと、また、宣教師として 人生を ささげるようにと、大勢の 若者たちの 心を 奮い立たせたことです。
宣教師に なるという ことには、特別な 何かが ある! 最初の 宣教師が 畑に 足を ふみ入れるのを 見た 時、明けの 星々は いっせいに 歌い、神の 息子たちは 喜びの 声を あげた。その方の 前では、天使たちが ベールで 顔を おおう。偉大で おそれ多き 神には、一人の み子しか おられなかった。そして その み子は、地上に 宣教師の 医師として つかわされた。彼は、人間の 中に かつて 姿を 現された 偉大な 教師、また ただ 一人の 模範宣教師だったが、今 この方は すべての ものの 頭で あり、王の 中の 王で あり、主の 中の 主で あられる。たとえ 弱くとも、そのような 方に ならって その 従者と なるのは、特別な ことである。宣教師が この方から 与えられている 任務に 匹敵する ものが あるだろうか? 私が 考える限り、神が 私に そのような 職務を 任命されたことを 思うと、私の 喜びは 決して つきることが ない。(新聞に 掲載された、デイヴィッド・リヴィングストンによる 「宣教師の 犠牲」より)
リヴィングストンが 来る 前は、クルマンより 北の 中央アフリカは 未開の 地でした。リヴィングストンが アフリカで 費やした 30年の 間、彼は 46,671キロを 旅しました。また、1,609,344キロの 道のりを アフリカ大陸の 地図に 記しました。彼は 6つの 湖と 多くの 大きな 川を 発見しました。それには、世界最大の 滝の 一つ、ビクトリア滝も 含まれます。また 彼は、アフリカ大陸の 片方の 海岸から 反対側の 海岸まで アフリカ横断を した 最初の ヨーロッパ人です。