0-5歳から 友情 アーカイブ

あわれみって、なあに?

1 of 2

あわれみって、なあに?

 「いたっ!」 砂場に できた 穴に つまずいて、四つんばいに なった ジェロームが さけびました。

 「だいじょうぶ、ジェローム?」 友だちの タラが たずねました。「わたしが ほっていた トンネルに つまずいちゃったのね。」

 ジェロームは 泣きながら、すりむいて 赤く なった ひざを 見ました。「いたいよう!」

 「お母さんは、わたしが ケガを した 時のために、いつも バンドエイドを 持ち歩いているの。行って、もらって 来るからね。」

 ジェロームは うなずくと、なみだを ふきました。

 まもなく すると、タラは 消毒用ウェットティッシュと バンドエイドを 持って、もどって来ました。スーパーヒーローの ばんそうこうを 両ひざに はってもらうと、ジェロームは それを 見せびらかしました。なみだは つかのまで、ジェロームは もう 遊びたくて しょうが ありません。

 「ほかの 人が つまずかないように、トンネルを うめた ほうが いいわね。それが 終わったら、すべり台で いっしょに 遊ばない?」と タラが 言いました。

 ジェロームは うれしそうに うなずきました。そして、二人は いっしょに すべり台の 方に 向かって 行きました。

 あわれみとは、ほかの 人に 思いやりを 示す ことです。よくない ことが 起こった 人に 気づかいの 言葉を かけてあげるのも いいですが、あわれみとは、それ以上に、実際に 何かを してあげるという ことです。

 あわれみとは、何でしょうか? あわれみとは、思いやりや 親切を 行いで 示し、だれかの 助けに なってあげるという ことです。

毎日 小さな 親切を : 周りの 人の 必要を 考える

1 of 1

毎日 小さな 親切を:周りの 人の 必要を 考える

 毎日、あなたの 周りには、手を 貸してあげられる 人が いるものです。その 人が、ちょうど 助けを 必要と している 時に、あなたは すぐ そこに いるかも しれません! 助けに なってあげられそうな 人が いないか、周りを 見てみましょう。見つけたら、できる ことを して、助けに なって あげましょう。小さな 親切の 一つ一つが、周りの 世界を 変えていくのです!

 「たがいの 重荷を 負い合い、そのように して キリストの 律法を 全うしなさい。」(新改訳聖書、ガラテヤ人への 手紙 6:2)

親切な 行いを してみよう:

 □ 兄弟姉妹や 友だちの している 課題や 雑用を 手伝ってあげる。

 □ お父さんや お母さんの お手伝いを する。

 □ 先生が 手伝ってくれる 人を さがしていたら、自分から 進んで 手伝う。

毎日 小さな 親切を : 友情を きずく

1 of 1

毎日 小さな 親切を:友情を きずく

 友情は、わたしたちの 毎日を ちょっぴり 明るく し、心に 幸せを もたらしてくれます。友だちとは、たがいに 気づかったり、何かを いっしょに やったり、助けが 必要な 時には 手を 貸してくれる ものです。友だちとの 友情を 深めるために、何が できるかな?

 「愛する 者たちよ。わたしたちは たがいに 愛し合おうでは ないか。愛は、神から 出た ものなので ある。」(口語訳聖書、ヨハネの 第一の 手紙 4:7)

ジェレミー、ぼくの たこ、ちょっと 飛ばして みるかい?

うん!!

親切な 行いを してみよう:

 □ 友だちに、いっしょに 遊びたい ゲームを 選ばせて あげる。

 □ 友だちに やさしい 言葉を かけたり、親切に して あげたり、ハグを したり して、元気づけて あげる。

 □ 友だちに、君の お気に入りの おもちゃを 貸して あげる。

トリー、仲間を 救う

1 of 6

トリー、仲間を 救う

 ヤマアラシの トリーは、体中、するどい トゲで おおわれています。茶色い 小顔に、茶色い 鼻、小さな 目も 茶色です。

 トリーには 兄弟が いなかったので、さびしく 思う ことが よく ありました。お父さんと お母さんも、食べ物さがしに いそがしくて、あまり トリーと いっしょに 遊んであげる 時間が ありません。

 ある日の ことです。はげしい 雨が 何日も ふり続いたので、トリーの 家族は、水びたしに なった 巣穴を 出て、新しい 巣穴を さがしに 行かなければ ならなく なりました。

 しばらく 歩いて行くと、森の 中でも 初めての 場所に 来ました。とても きれいな 所です。リスや ウサギや 鳥など、いろいろな 動物の 家族が かけ回っているのが 見えます。

 「ねえ、お父さん。ここに いても いい?」と、トリーが たずねました。

 「もし いい 巣穴が 見つかったら、ここに 住んでも いいだろう。」

 「うわーい!」 トリーは、ほかの 動物たちと 友だちに なりたかったのです。

 次の 日、トリーの お父さんは、トリーに 森の 中を たんけんしに 行って いいと 言いました。「だが、気を 付けるんだぞ。そして、あまり 遠くに 行っては いけないよ。」

 トリーは、「はい」と 約束を して、いそいそと 出かけて行きました。

 トリーが 岩の 向こう側を 見ていると、ウサギが 近よって来ました。「こんにちは。君の 名前は?」 ウサギが たずねました。

 「ぼくは、トリー。この 森に 引っこして 来たばかりなんだ。君の 名前は?」

 「ダスティーだよ。毛の 色が 灰色だから、お父さんと お母さんが そう 名付けたんだ。ね?」 ウサギは 一回り して、灰色の 体を 見せました。まもなく、ほかの 動物たちも やって来ました。

 ダスティーは ほかの 動物たちに トリーを しょうかいしました。「この 子は、トリーだよ。こっちは 友だちの ジェッドと マイロ。」 そう 言って、近くに いた リスと コマドリを しょうかいしました。「そして、こっちは ぼくの 妹、クレア。」

 「こんにちは、トリー。」 クレアが あいさつしました。

 しばらく たちましたが、トリーは なかなか みんなに とけこめないようでした。ほかの 動物たちが トリーの とがった トゲの ことを からかったり するのです。トゲで ケガしそうだから、いっしょに 遊べないよと 言われたりも しました。

 トリーは、とても 悲しく なりました。ほかの 動物たちと 友だちに なりたいのに。ただ、クレアだけは、トリーを からかうのは やめなさいよと 言って、ほかの 動物たちから トリーを かばってくれました。クレアは トリーの 話し相手に なってくれたので、二人は すぐに 仲良しに なりました。

 ある日の ことです。トリーは、ダスティーと マイロと ジェッドと クレアが よく 集まって 遊ぶ、大きな どんぐりの 木の 下に 行きました。そこには、ジェッドの 弟の セドと、たぬきの ミルトンも 来ていました。

 「今日は ここでは 遊べないよ。」と、セドが みんなに 言いました。「お父さんと お母さんが、この どんぐりの 木の 実を 集めに 来るんだ。そこら中に どんぐりの 実が 落ちてくるよ。」

 「トリーなら、だいじょうぶだね。」と、ジェッドが 言いました。「どんぐりが 当たったって、ちっとも いたく ないだろ。」

 「意地悪は やめて。」 クレアが おこって 言いました。

 「いいんだよ。ぼく、なれてるから。」 けれども、心の 中では トリーは 悲しく なりました。(どうして、みんなは ぼくの こと、好きじゃ ないんだろう?)

 「行こうぜ。ほかに 遊べる 所、知ってるよ。」と、マイロが 言いました。

 マイロは、森の ちがう 所へ みんなを 案内しました。みんな、そこで 遊びました。とても 楽しかったので、ついつい 時間の ことを わすれ、日が くれようと している ことに 気が 付きませんでした。しばらく して、たいようが しずみかけている ことに クレアが 気付きました。

 「おそくまで 遊びすぎたわ! お父さんと お母さんが 心配するわね。」

 みんな、急いで 帰り始めました。家の 近くまで 来た ころ、ミルトンが 言いました。「お母さんが 言ってたんだけどね。夜には、大きな 動物が 出てくるんだって。」

 「だいじょうぶだよ。それに・・・。」と、ダスティーが 言いかけました。

 「シーッ! 物音が する!」と、ジェッドが 言いました。みんなが ジェッドの 指差している 方を 見ると、大きな 灰色の オオカミが 立っています。みんな、あわてて 走り始めました。

 「こっちだよ!」 トリーが 急に さけびました。「どんぐりの 木は、こっちだよ。」

 小さな 動物たちは、全速力で 走りました。けれども、オオカミの ほうが ずっと 速く 走っています。

 「助けて! 助けて!」 ダスティーと クレアと ミルトンが さけびました。

 すると とつぜん、オオカミが 小さな 動物たちを 追いかけるのを 止めました。トリーが 間に わって 入って来たのです。

 「速く! にげて!」 トリーが みんなに さけびました。

 「だけど、トリーは どう するの?」 クレアが さけびました。

 「いいから、にげて!」と、トリーが 言いました。

 クレアと ほかの 動物たちは みんな、あわてて 近くの しげみや 見つけた 穴に にげこみました。

 トリーは、そろそろと どんぐりの 木から はなれました。オオカミは、一体 この ヘンな 動物は 何だろうと 思って、つけて来ました。けれども、かがんで トリーの 背中を かぐと、キャインと 鳴いて、後ろへ 飛び下がりました! トリーの するどい トゲの 何本かが オオカミの 鼻に ささったのです。オオカミは おそれを なし、悲鳴を あげながら、にげて行きました。

 「もう だいじょうぶだよ、みんな。出てきても だいじょうぶ! オオカミは いなくなったから。」 トリーが みんなを よびました。

 「あなたが わたしたちを 救ってくれたのね、トリー!」 クレアが うれしそうに 言いました。

 家に 着くと、みんな、今日 起こった ことを お父さんと お母さんに 話しました。

 「あなたが うちの 子たちを 救ってくれたのね!」 リスの セドと ジェッドの お母さんが 言いました。「あなたは、英ゆうだわ。」

 ほかの 動物たちも みんな、トリーに 声えんを 送りました。トリーの 両親は、ほこらしげに ほほえみました。

 「君の トゲの ことを からかって、本当に ごめんよ、トリー。」 ジェッドが うつむきながら 言いました。「君の トゲが、ぼくたちを 救ってくれたんだものね!」

 ダスティーと ほかの 動物たちも みんな、うなずきました。

 「ううん、いいんだよ。気に しないで。」と、トリーが 言いました。

 その 日からは、みんな、最高の 友だちに なりました。

終わり

友だちづくりの ヒケツ

1 of 6

友だちづくりの ヒケツ

 地中の 奥深くに、ひとりぼっちの 小さな ミミズ、ニョロが 横たわっています。ニョロは、悲しくて みじめな 気分でした。「だれも、ぼくと いっしょに 遊びたがらない。だって、ぼくは ただの みにくい ミミズなんだもの。」 そう 言って、ニョロは ため息を つきました。

 地上では、太陽が さんさんと 輝き、小鳥たちが さえずっていました。2ひきの ちょうちょは、まるで ダンスでも おどっているかのように、花から 花へと ひらひら 飛んでいます。てんとう虫が バッタと 遊んでいると、ミツバチも やって来ました。みんなの 楽しそうな 笑い声を 聞いていると、ニョロは ますます さびしく、また 悲しくなってしまいました。

 (どうして、だれも ぼくを 遊びに さそってくれないのかなあ?)と、ニョロは 思いました。

 けれども、ニョロは 自分で 友だちを さがしに 行こうとは せず、地中で すねていました。

 何日も 過ぎましたが、ニョロは、ただ 地中で じっと しているだけです。日が たつごとに、ニョロは ますます 自分を あわれに 思い、もっと もっと さびしくなっていきました。

 ある 満月の 明るい 夜の ことです。ニョロは 夢を 見ました。親切な 年老いた イモ虫が、地中に かくれている ニョロを 見つけて、地上に 出てみないかと さそいに 来ました。

 「どうして おまえさんは、ほかの 虫たちと いっしょに 遊んで、地上の くらしを 楽しまないのかね?」と、イモ虫は ニョロに たずねました。

 ニョロは 何と 答えたら いいのか、分かりません。

 親切な 年老いた イモ虫は、考え深そうに ほほえんで 言いました。「ちょっとした ヒケツを 教えてあげよう。本当に 幸せに なりたかったら、そのための 努力を することだ。」

 ニョロは、とまどった 表情で イモ虫を 見ました。「それって、どういう ことですか?」

 「それはだな、もし 自分の ほうから 周りの 人たちに 手を さしのばす 努力を すれば、心が 満たされて、もっと 幸せに なれるという ことじゃよ。周りの 人たちの ことを 考えれば、自分の 悲しい 気持ちなんて、わすれてしまうもんさ。」と、イモ虫が 説明してくれました。

 「本当なの?」と、ニョロが 言いました。

 「もちろんだとも! 試してみなされ! 今度 悲しくなったら、ちっぽけな 穴に 閉じこもってないで、太陽の 輝く 外に 出てみる ことじゃ。そして、友だちに なれそうな だれかを さがすんじゃよ。だれかが お前さんとこに 来て 遊びに さそってくれるのを 待っているのでは なくてな。自分から 出て行って、いっしょに 遊ぼうと さそうのじゃ。」

 「いい 考えですね! 友だちが いるのって、とても すてきな ことだもの!」 ニョロは、思わず 声を あげると、にっこり ほほえみました。

 次の 日の 朝に なり、太陽が 地平線の 向こうから のぼって来ると、暖かい 日差しに さそわれて、大きな 虫たちや 小さな 虫たちが 遊びに 出てきました。

 ニョロは 目を 覚ますと、穴から 外に 顔を 出しました。小さな 生き物や 虫たちが、夜の ねむりから 目覚めて、体を のばしたり あくびを したり しています。周りの 大きな 世界を 見渡すと、ニョロは 思わず しりごみしました。そして、さっと 自分の 安全な 穴の おくに 引っこんでしまいました。その時です。夢の 中で 親切な 年老いた イモ虫が 教えてくれた、友だちを 作る ヒケツを 思い出しました。

 「やってみるだけの ことは あるよね。」 ニョロは 自分に そう 言い聞かせると、外に はい出しました。

 外に はい出てみると、そばの 長い 草の 葉に、コガネ虫が すわっていました。ニョロは おじけづきましたが、いつまでも 一人 さびしく 悲しみに ひたっているのも もう いやなので、コガネ虫に 近づいて行きました。

 「こんにちは。」 ニョロを 見ると、コガネ虫が あいさつしました。

 「やあ、こんにちは。ねえ、いっしょに 遊ばない?」 ニョロが さそいました。

 「うん。ぼく、だれと 遊ぼうかなって 思ってた とこなんだ。この 辺りには まだ 来たばかりだから、友だちが できるのを 楽しみに してたんだよ。さそってくれて、うれしいな!」

 ニョロは ほほえみました。「ぼくも、声を かけて よかったよ。」

 まもなく、大勢の 虫たちも、ニョロと 新しい 友だちの コガネ虫に 加わり、あちこちの 草の 間を かけ回って かくれんぼを したり して 遊びました。ニョロを 中心にして、みんなで いっぱい 楽しく 遊びました! ニョロは、新しく できた 友だちと、あちこち はい回って 遊びました。

 かくれんぼを した 時は、ティブスという 小さな イモ虫が ニョロの 後を ついてきました。「君と いっしょに かくれても いい?」と、ティブスが たずねました。

 「もちろん いいよ。だけど、急がないとね。じきに、ハミルトンが ぼくたちを さがしに 来るから。」

 ハミルトンは、今 かくれんぼの おにを している アリの 名前です。

 ニョロと ティブスは、そばに あった 小さな はち植えの かげに かくれました。ハミルトンは、なかなか 彼らを 見つける ことが できないで いるようです。「ぼく、ハミルトンが こっちに 来ないか、見てくる。」と、ニョロが ささやきました。

 けれども、ニョロが すみの 方から 顔を 出したとたん、ハミルトンに 見つかってしまいました。

 「見いつけた!」 そう さけんで、ハミルトンは ニョロの 方に 走って来ました。

 ティブスは、思わず クスクス 笑ってしまいました。それを 聞きつけた ハミルトンは、さっと 走って来ました。「やっ、君も 見っけ!」

 「ぼく、今までに ミミズの 友だちなんて、いたこと なかったんだ。ぼくたち、最高の 友だちに なれると 思うよ。」と、ティブスが ニョロに 言いました。

 「うん、そうだと いいね。」 ニョロも、ニヤッと 笑って 答えました。(友だちを 作ろうと 努力して、本当に 良かったよ。)と、ニョロは 思うのでした。

 ニョロは、新しい 友だちを 作る ヒケツを 学びました。周りの 人たちに 対して 親切に なり、積極的に なって、思いやりを 持つこと。そうすれば、自然に 友情が 芽生えてくると いう ことを。

ビービーと ルル

1 of 5

ビービーと ルル

 「クワッ、クワッ、クワッ。」

 ビービーが 池の そばで 遊んでいると、遠くから 鳴き声が 聞こえました。

 ほら、また 聞こえますよ。

 「クワッ、クワッ、クワッ。」

 ビービーは、鳴き声の する 方へ 行ってみました。すると、一羽の ちっちゃな アヒルの 子が、納屋の 周りを 歩き回っていました。

 (まあ。農場主の サマーズさんが、わたしと いっしょに くらすように、ほかの アヒルを 連れてきたのかしら?) ビービーは 心配に なりました。

 サマーズさんは ビービーを 見ると、ビービーを だき上げて 言いました。「ビービー。こっちは ルル。新しい お友だちよ。いっしょに 遊んであげてね。」

 ビービーは、つばさを パタパタ 羽ばたかせて 身を よじると、サマーズさんの 手から 落ちて、地面に 転がりました。サマーズさんは クスクス 笑うと、納屋の 方へ 歩いて行ってしまいました。

 (新しい 友だちですって? 友だちなんか いなくても、わたしは 十分 幸せだわ。)と、ビービーは 思いました。

 ルルは ビービーよりも 小さな アヒルの 子だったので、自分が ルルの めんどうを みなくては いけなくなるのかと、気を もんでいました。ビービーは、どちらかというと 自分だけで いたかったのです。

 ビービーは、ルルの 方を 見向きも せずに、ルルの 前を よちよちと 通り過ぎ、心地よい 納屋の 自分の 場所へと もどって行きました。ビービーは、ルルの ことを 完全に 無視すると 決めたのです。

 サマーズさんが 用意してくれた 穀物や 野菜を 食べていると、ルルも となりに 来て 食べ始めました。ビービーは きげんを 悪くし、ルルが まだ 食べている 間に、さっさと 自分の 寝床に もぐりこんで、ねてしまいました。

 次の 日の 朝に 目を 覚ますと、ルルが すぐ となりで ぐっすりと ねむっているでは ありませんか。ビービーは いらいらしました。(一体全体、何で わたしの 干し草ベッドに いるのよ? それだけじゃ ないわ。わたしの エサ入れから 食べるなんて。) ビービーは、ごきげんななめでした。

 ビービーは、そう~っと 納屋を 出て、お気に入りの 遊び場である 池へ 向かいました。そこでは、トンボを 追いかけたり、足元に 近づいてきた ものに 飛びついたり して、何時間でも 水と 日光を 楽しむ ことが できました。そこは、ビービーの 大好きな 場所なのです。

 すると 遠くの 方から、また あの 鳴き声が 聞こえました。「クワッ、クワッ、クワッ。」 鳴き声は だんだん 近づいてきます。

 「またなの! いいかげん、わたしを 放っといてほしいわ!」

 ビービーは、さっと 草むらの かげに かくれました。ルルが そばまで 来ると、池の 中に よちよちと 入っていく 様子を 草の 中から そうっと 見ていました。ルルは 水の 中に 入ると、うれしそうに クワックワッと 鳴きました。そして、水を バシャバシャしたり、もぐったり、トンボを 追いかけたり し始めました。ビービーは、全く 面白く ありません。

 (ルルが 行っちゃうまで、ここに かくれていようっと。)と ビービーは 思いました。

 しばらく すると、ルルが 静かに なり、そして 泣き始めました。

 「こんな 所、来なければ よかった。ビービーは わたしのこと きらいだし。ひとりぼっちで すごく さみしいわ。どこかに 行っちゃった ほうが いいのかも・・・」 ルルは なみだぐみながら 言いました。

 ルルが 泣いているのを 聞くと、ビービーは 悪い ことを したなと 思いました。そして、自分が 初めて サマーズさんに この 牧場へ 連れてこられた 時の ことを 思い出しました。サマーズさんたちは、ビービーの ことを とても よく 世話してくれたので、愛されていると 感じました。その 時は、ビービーだって、一羽の さみしい アヒルの 子だったのですから。

 以前 ビービーが そうだったように、ルルにも 友だちが 必要だという ことに、ビービーは 気が つきました。

 ビービーは、そうっと 草むらから 出てくると、静かに 水の 中に 入って、悲しそうな アヒルの 子の そばに 泳いで行きました。そして、つばさを 広げて ルルの かたに 回しました。ルルは びっくりしました。

 「悲しませて ごめんね、ルル。だから、出て行かないで。友だちに なりたいの。」と、ビービーが 言いました。

 「本当に?」

 「本当よ。わたし、自分の ことばかり 考えていて、何でも ひとりじめに しようと してたんだわ。ごめんね。」

 「いいのよ。わたしも、友だちに なりたいわ。」 ルルは にこっと 笑って 言いました。

 「もし よかったら、牧場の 中を 案内してあげるわ。ここって、すごく 大きな 牧場だから、楽しい ことが いっぱい できるのよ。」と、ビービーが 言いました。

 「うわあ、すごい!」

 そして、二羽の アヒルの 子は、いっしょに 牧場の 中を 探検しに、よちよちと 出かけたのでした。ルルには 友だちが 必要でしたが、ビービーにだって、友だちは 必要だったんですもの。