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クリスマス・アドベント・カード
クリスマス・アドベント・カード
この24枚のカードには、2,000年前の初めてのクリスマスの物語がつづられています。お話は、聖書のルカによる福音書とマタイによる福音書の最初の2章をわかりやすくしたものです。
使い方
6ページ分全部(カラーまたは白黒)を、厚紙に印刷する。
各ページを、太い実線に沿って、4つのセクションに切り分ける。各カードは真ん中の点線に沿って2つ折りにし、裏にスティックのりを付けて貼り合わせる。
アドベント・カレンダーとして使う場合は、12月1日から始め、毎日1枚ずつ新しいカードを飾る。赤ちゃんのイエス様の誕生に向けて、登場する人物を見ていきましょう。
カードは、クリスマスツリーの飾り付けとしても使えます(上の部分に穴を開け、ツリーにかけるためのリボンを通す)。クリスマスの食事をする時に、テーブルを飾り付けるのに使ってもいいでしょう。
絵の部分と物語の部分を別々に切り離せば、絵と物語を合わせるゲームに使うこともできます。
白黒版もあるので、クリスマスのぬり絵のアクティビティに使って下さい。
- エリサベツと ザカリヤ
エリサベツと ザカリヤは、ユダヤの 村に 住んでいました。ザカリヤは 祭司で、2人とも 主の おきてと いましめを ことごとく 守り、神の 御前に 正しい 生活を 送っていました。エリサベツには 子供が できなかったので、2人には 子供が おらず、2人とも、すでに 年老いていました。
ルカによる 福音書 1:5-7
- 神殿に いる ザカリヤ
ある日、ザカリヤは 神殿で 祭司の 務めを していました。慣例に 従って 選ばれた ザカリヤは、その日、聖所で 香を たくことに なっていました。
人々が 神殿の 外で 祈っている 間、ザカリヤは 神殿の 中に 入りました。すると 突然、天使が 現れました。
ルカによる 福音書 1:8-11
- 天使から ザカリヤへの メッセージ
天使を 見た ザカリヤは、おどろいて しまいました。天使は ザカリヤに 言いました。「おそれるな、ザカリヤよ。神が、あなたの 祈りを 聞き入れて 下さったのだ。あなたの 妻エリサベツは 男の子を 産むであろう。その子を ヨハネと 名付けなさい。彼は 主の 御前に 大いなる 者と なり、イスラエルの 多くの 子らを、主なる 彼らの 神に 立ち帰らせるであろう。」
ルカによる 福音書 1:12-17
- 口の きけない ザカリヤ
ザカリヤは 天使に 言いました。「どうして そんな事が、あり得るでしょうか? 私は 老人ですし、妻も 年を とっています。」
すると、天使が 答えて 言いました。「わたしは 神の 御前に 立つ ガブリエルで あって、この 喜ばしい 知らせを あなたに 語り伝えるために、つかわされた ものである。時が 来れば 成就する わたしの 言葉を 信じなかったから、あなたは 口が きけなく なり、この事の 起こる 日まで、ものが 言えなく なる。」
ルカによる 福音書 1:18-25
- ヨセフと マリヤが 婚約する
何キロも はなれた ナザレという 町に、マリヤという 若い 女性が 住んでいました。マリヤは、ヨセフという 人と 結婚する 約束を していました。ヨセフは ダビデ王の 子孫で、大工として 働いていました。
ルカによる 福音書 1:26-27
- 天使が マリヤの 元を 訪れる
エリサベツが 身ごもって 6か月目に、神様は 天使ガブリエルを、ナザレの マリヤの 元へ つかわしました。ガブリエルは 言いました。「恵まれた 女よ、おめでとう、主が あなたと 共に おられます!
あなたは 身ごもって 男の子を 産むでしょう。その子を イエスと 名付けなさい。」 それを 聞いた マリヤは、何だか 訳が 分かりませんでした。
ルカによる 福音書 1:26-31
- 神には 不可能は ない
「彼は 大いなる者と なり、いと高き者の 子と、となえられるでしょう。」
マリヤは 言いました。「でも、私には まだ 夫が ありません。」
ガブリエルは 答えました。「神の 力が、この子を もたらすのです。子供が できないと 言われていた、あなたの 親戚の エリサベツも、老齢なのに、身ごもって 6ヶ月が たっていますよ。神には、何でも できない ことは ないのです!」
「わたしは、主の はしためです。」と マリヤが 言うと、ガブリエルは 去って行きました。
ルカによる 福音書 1:32-38
- マリヤが エリサベツを 訪れる
そのすぐ後、マリヤは 急いで エリサベツの 元へ 行きました。
マリヤは ザカリヤの 家に 入って、エリサベツに あいさつしました。
ルカによる 福音書 1:39-40
- マリヤと エリサベツ
エリサベツが マリヤの あいさつを 聞くと、おなかの 赤ちゃんが はねました。エリサベツは 声高く さけんで 言いました。「あなたは、女の 中で 最高に 祝福されています! そして、おなかの 赤ちゃんも!」
マリヤは 言いました。「私は 心から 主を 賛美し、私の 魂は 救い主である 神を たたえます。今からは、みんなが 私を 祝福された 女と 言うでしょう。聖なる 神様、力ある 神様が、私のために 大きな ことを して下さったからです。」
ルカによる 福音書 1:41-56
- エリサベツが ヨハネを 産む
いよいよ 月が 満ちると、エリサベツは 男の子を 産みました。みんな、赤ちゃんの 名前は お父さんの 名前に ちなんで ザカリヤに なるのだと 思っていました。ところが、エリサベツが 言いました。「いいえ! この子の 名前は、ヨハネに しなくては。」 そこで、みんなは ザカリヤに、赤ちゃんを どんな 名前に したいのかと たずねました。ザカリヤは、板に こう 書きました。「その名は ヨハネ」。すると その瞬間、ザカリヤは 再び 話すことが できるように なり、神様を ほめたたえ始めたのでした。
ルカによる 福音書 1:57-80
- 天使が ヨセフに 現れる
マリヤが ナザレに もどると、ヨセフは、彼女が 身重に なっている ことを 知りました。ヨセフは 正しい 人だったので、すでに 身重に なっている マリヤと 結婚することは できず、離縁しなければ ならないと 思いました。
ところが、主の 天使が 夢の 中で ヨセフに 現れて、こう 言いました。「ヨセフ、心配しないで マリヤを 妻として むかえなさい。彼女が 身ごもって いるのは、聖霊による ものなのだから。マリヤは 男の子を 産むであろう。その子を、イエスと 名付けなさい。」
マタイによる 福音書 1:18-25
- ローマからの 命令
そのころ、ローマの 皇帝アウグストから、ローマ帝国の 人口調査を するようにとの 命令が 出ました。それで みんな、登録を するために、自分の 生まれ故郷へ 帰らなければ なりませんでした。
(人口調査とは、各地域に 何人 住んで いるかを 調べるための 調査です。)
ルカによる 福音書 2:1-3
- ベツレヘムへの 旅
ヨセフは ダビデの 家系だったので、ガリラヤの 町ナザレを 出て、ダビデ王の 生まれた 町である、ユダヤの ベツレヘムへ 行かなければ なりませんでした。それで、ヨセフと 身重の マリヤは、遠い ベツレヘムへと 旅立ちました。
ルカによる 福音書 2:4-5
- 部屋が ない
2人が ベツレヘムに 着いたころは、マリヤの 出産時期でした。けれども、ヨセフと マリヤには、とまる 所が ありません。あちこちの 町から 帰って来た 人達で、どこも いっぱいだったのです。
ルカによる 福音書 2:6-7
- 馬小屋に 落ち着く
とうとう、マリヤが 出産しそうなのを 見た 親切な 人が、馬小屋に とまって いいと 言ってくれました。そこなら、動物達と いっしょですが、暖かく 過ごせます。その夜、イエス様が 生まれたのでした!
ルカによる 福音書 2:6-7
- 野山の 羊飼い達
ベツレヘムの 郊外では、羊飼い達が 羊の 群れの 番を していました。長い 夜は 寒く、羊飼い達は たき火に あたって 暖まっていました。辺りは 実に 静かで、空には 満天の 星が かがやいていました。
ルカによる 福音書 2:8
- 天使が 羊飼い達に 現れる
突然、主の 天使が 現れて、明るい 光が そこら中を 照らしました。羊飼い達は、びっくりぎょうてんしました。
天使が 言いました。「こわがる ことは ありません! わたしは、大きな 喜びを 伝えるために 来ました。
今日、ベツレヘムに、救い主が お生まれに なりました! あなたがたは、その 赤ちゃんが 飼い葉おけに ねかされて いるのを 見るでしょう。」
ルカによる 福音書 2:9-12
- 大勢の 天使が 歌う
すると、おびただしいほどの 天使が 現れ、神様への 賛美を 歌いました。「地上の 人々に 愛を 表して 下さった、いと高き 所に おられる 神に、栄光が あるように!」
天使達が 天国に もどって行くと、羊飼い達は たがいに 語り合いました。「ベツレヘムへ 行って、主が 教えて下さった 出来事を 見て来よう。」
ルカによる 福音書 2:13-15
- 博士達が星を発見する
一方、遠く はなれた 東の 国では、天文学の 研究を している 博士達が、新しい 星が 現れるのを 目撃しました。博士達は それを、偉大な 王様が 生まれたという 神様からの しるしとして 受け止めました。
マタイによる 福音書 2:1-2
20. 博士達が エルサレムに やって来る
博士達は、ユダヤよりも ずっと 東の 遠い 国から、新しく 生まれた 赤ちゃんを おがむために 旅して来ました。博士達は、この 新しい 王様への 贈り物として、黄金と 乳香と 没薬を 持って来ました。
マタイによる 福音書 2:1-2, 11
21. 博士達が ヘロデ王を 訪ねる
エルサレムでは、新しく 生まれた 王様は どこかと 博士達に たずねられた ヘロデ王が、祭司長や 律法学者達に たずねました。「メシヤは どこで 生まれるのか?」
「ユダヤの ベツレヘムの 町で ございます。」と、彼らは 答えました。それで、ヘロデ王は 博士達に それを 伝えました。
マタイによる 福音書 2:3-7
22. 博士達が ベツレヘムに やって来る
博士達が ベツレヘムに 向かうと、彼らが 以前 東の国で 見たのと 同じ 星が 現れました。彼らは 大喜びで、星の 進む 方へ 向かいました。そして 星は、幼子が いるところで 止まったのでした。
マタイによる 福音書 2:8-9
23. お客さん
羊飼い達は、ヨセフと マリヤが とまっていた 馬小屋を 見つけました。そこには、天使の 言った通り、飼い葉おけに 赤ちゃんが ねかされて いました。
博士達が 子供の 元に 到着した 時は、ひざまずいて、黄金と 乳香と 没薬の 贈り物を 新しい 王様に ささげました。
ルカによる 福音書 2:16-19と マタイによる 福音書 2:11
24. イエス様は 王様
彼の 名前は イエスです。イエス様は、いと高き 神様の 子です。主なる 神は、イエス様を 王様に しました。そして、先祖である ダビデ王の 王座を 与えました。イエス様の 国には 限界が なく、決して 滅びることも ありません!
文と絵とデザイン:ディディエ・マーティンCopyright © 2022年、ディディエ・マーティン 許可を得て使用
シャドーボックス:イエス様の教え:たがいに仕え合いなさい
イエス様の 教え:たがいに 仕え合いなさい
ヨハネによる 福音書 13:4-17を もとに
イエス様の 地上での 最後の 日々が 終わろうと していた、ある 過越の 祭りの 前日、弟子達との 食事が 終わると、イエス様は 席から 立ち上がって 上着を ぬぎ、腰に 手ぬぐいを 巻きました。それから 水を たらいに 入れて、弟子達の 足を 洗い、腰に 巻いた 手ぬぐいで ふきました。
シモン・ペテロが 足を 洗ってもらう 番に なると、ペテロは とても 決まり悪く 感じて、イエス様に 言いました。「主よ、あなたに 足を 洗って いただくなど、とんでもない ことです!」 すると イエス様は、そうする ことが とても 大切なのだと 説明しました。
みんなの 足を 洗い終わると、イエス様は 弟子達に こう 言われました。「主で あり、また 教師で ある わたしが、あなたがたの 足を 洗ったからには、あなたがたも また、たがいに 足を 洗い合うべきで ある。わたしが あなたがたに した通りに、あなたがたも するように、わたしは 手本を 示したのだ。この 真理が 分かり、たがいに 謙虚に 仕え合うなら、あなたがたは 幸いで ある。」
文と絵とデザイン:ディディエ・マーティンCopyright © 2022年、ディディエ・マーティン 許可を得て使用
ぬり絵:イエス様の教え:たがいに仕え合いなさい
文と絵とデザイン:ディディエ・マーティンCopyright © 2022年、ディディエ・マーティン 許可を得て使用
イエス様の教え:たがいに仕え合いなさい
イエス様の 教え:たがいに 仕え合いなさい
ヨハネによる 福音書 13:4-17を もとに
イエス様の 地上での 最後の 日々が 終わろうと していた、ある 過越の 祭りの 前日、弟子達との 食事が 終わると、イエス様は 席から 立ち上がって 上着を ぬぎ、腰に 手ぬぐいを 巻きました。それから 水を たらいに 入れて、弟子達の 足を 洗い、腰に 巻いた 手ぬぐいで ふきました。
シモン・ペテロが 足を 洗ってもらう 番に なると、ペテロは とても 決まり悪く 感じて、イエス様に 言いました。「主よ、あなたに 足を 洗って いただくなど、とんでもない ことです!」 すると イエス様は、そうする ことが とても 大切なのだと 説明しました。
みんなの 足を 洗い終わると、イエス様は 弟子達に こう 言われました。「主で あり、また 教師で ある わたしが、あなたがたの 足を 洗ったからには、あなたがたも また、たがいに 足を 洗い合うべきで ある。わたしが あなたがたに した通りに、あなたがたも するように、わたしは 手本を 示したのだ。この 真理が 分かり、たがいに 謙虚に 仕え合うなら、あなたがたは 幸いで ある。」
文と絵とデザイン:ディディエ・マーティンCopyright © 2022年、ディディエ・マーティン 許可を得て使用
コツコツ勉強しよう
コツコツ 勉強しよう
今 君が 勉強している ことが、大人に なったら どう 役に 立つのかなって 思った ことは あるかい? ちょっと 考えてごらん。イエス様も、同じような ことを 経験したんじゃ ないかなって。
少年時代、イエス様は、旧約聖書から 律法を 教わったけれど、それが、地上の 父親ヨセフから 楽しく 学んでいた 大工仕事に、将来 どう 役に 立つのかなって、思ったことも あったんじゃ ないだろうか。
だけど、後に イエス様は、何年もの 勉強から 得た 知識を 大いに 役立てる ことに なった。例えば、12歳の 時は、神殿の 中で 律法の 教師達と、深い 理解を もって 話すことが できたんだ。*1* 大人に なって、荒野で 悪魔と 出会った 時には、聖書の 知識を もって 悪魔に 答え、退散させて しまったんだよ。*2*
地上での 宣教活動中、イエス様は、神殿や 会堂で 人々を 教えたり、弟子達を 教えるのに、勉強して 学んでいた 知識を 用いた。*3* また、イエス様を うったえる 人達に 答えたり*4*、よみがえられた 後に、エマオへ 向かう 道で 会った 弟子達を はげますのにも、学んだ 知識を 用いられたんだ。*5*
聖書の 勉強でも、学科の 勉強でも、スキルを 学ぶための 勉強でも、大切なのは、あきらめずに コツコツと 学び続ける ことだ。いつか 君も、教育から 得た あらゆる ことを 感謝できるように なるよ。
脚注:
*1* ルカによる 福音書の 2:46-47を 読んでね。
*2* ルカによる 福音書の 4:1-13を 読んでね。
*3* この 一例は、ヨハネによる 福音書の 7:38-40に 書かれて いるよ。
*4* イエス様が ホセア書の 6:6を 用いた 例が、マタイによる 福音書の 9:10-13に 書かれて いるよ。
*5* ルカによる 福音書の 24:13-27を 読んでね。
作者不明 絵:レイラ・シェイ 彩色:キャサリン デザイン:ロイ・エバンス出版:マイ・ワンダー・スタジオ Copyright © 2022年、ファミリーインターナショナル
イエス様がお生まれになる
新約聖書を 学ぼう:イエス様が お生まれに なる
ユダヤ(イスラエル)の 最後の 偉大な 預言者が いなくなってから、300年以上 たったころの お話です。イスラエル王国が 栄華を 極めたころからは、さらに 長い 年月が たっていました。何世紀も 前に 預言者たちは、救い主である イエスラエルの 王様が 現れ、国が 復興するという 預言を 残していました。けれども 歴史の この時点では、イスラエルの 土地は 強大な ローマ帝国に 征服され、また 支配されていました。ユダヤの 人々は 今まで以上に、預言で 約束されたように、神様が 救い主を 送られ、自分たちを 自由に してくださるのを 熱望するように なっていました。
かつては イスラエル王国の 北部であった 所に、ナザレという 小さな 村が ありました。そこに、ヨセフという 男の人と 結婚の 約束を していた、マリヤという 若い 女の人が 住んでいました。ある日のこと、マリヤが 家に いた時に、とても 変わったことが 起きました。とは 言っても、それは すばらしい ことでした。神様の 天使が 現れたのです。
「こわがらないで ください。」と、天使は 言いました。「わたしは あなたに、すばらしい 知らせを 伝えに 来たのです! あなたに、赤ちゃんが 生まれます!」
「でも、わたしは 結婚も していないのに、赤ちゃんが できると いうのですか?」と、マリヤは たずねました。
天使の 答えは、すばらしかったものの、ものすごく びっくりするような ことでも ありました。「聖霊が 神様の 力によって、あなたに この 赤ちゃんを 授けるのです。この 赤ちゃんは、神の子と 呼ばれるでしょう。」
マリヤは 天使の 言葉を 聞いて、とても 喜びました。人類の 歴史上で 最高 かつ 最も 熱望されていた 出来事の 大切な いちやくを 担うように 選ばれたのですから。
それだけでは ありません。天使は、こんなことも 教えてくれました。「あなたの 親せき、エリサベツも、年を 取っているにも かかわらず、赤ちゃんを 身ごもっています。彼女には 赤ちゃんは できないだろうと みんなから 言われていたのに、妊娠して もう 6か月に なります。神様が 望まれる ことには、不可能は ないのです。」
ザカリヤと エリサベツ
マリヤは この 良い 知らせを 親せきの エリサベツに 伝えたくて、エリサベツと その夫 ザカリヤが 住んでいる 山里の 町へと 出かけて行きました。
この事が 起こる 前に、ザカリヤは エルサレムの 神殿で、祭司としての 仕事を していました。そこへ 天使が 表れ、妻の エリサベツが 男の子を 産むだろうと 告げました。天使は ザカリヤに、その子に ヨハネという 名前を 付けるようにと 言いました。また、その子は 昔の 預言者エリヤの 霊と 力を 持ち、大人に なったら、主ご自身が 来られるのに 備えて、人々を 神に 立ち帰らせるだろうと 説明しました。つまり ヨハネは、神様の 子が 来られる 前に、人々の 心を 備えさせる 預言者に なる 運命だったのです。
さて、マリヤが ザカリヤと エリサベツの 家に 入ると、エリサベツは 聖霊に 満たされ、マリヤに あいさつして こう 言いました。「わたしの 主の お母様が わたしの ところに 来てくださるなんて、何という 光栄でしょう。あなたの 声が 聞こえたとたん、お腹の 赤ちゃんが 喜んで はねました!」 マリヤが 話す 前から、エリサベツは マリヤに 起こっていることを、もう 知っているような 口ぶりです。まだ 生まれていない 赤ちゃんの ヨハネですら、マリヤと 彼女の お腹の 中の 赤ちゃんが 来たことで、大喜びしていました。
エリサベツは さらに 言いました。「主が 言われたことが ことごとく 起こると 信じた 女は、何と 幸いな ことでしょう。」
喜びと おどろきの 気持ちで いっぱいに なった マリヤの 口からは、賛美の 言葉が 出てきました。
わたしの 魂は 主を あがめ、
わたしの 霊は 救い主である 神様を たたえます。
身分の 低い この わたしにも 目を 留めてくださったからです。
これからは どの 時代の 人々も、わたしを 幸せ者と 言うでしょう。
力ある 方が、わたしに すばらしい ことを してくださったからです。
その み名は 聖く、その あわれみは、主を おそれる 者に およびます。
主は 力強い わざを なし、おごり高ぶる 者を 追い散らされます。
権力の ある 者を その 座から 引き降ろし、身分の 低い 者を 引き上げられます。
主は、わたしたちの 先祖に 約束されたように、
あわれみを もって イスラエルを 助けてくださいます。*1*
天使が ヨセフに 現れる
さて、じきに マリヤの 夫に なろうと していた ヨセフは、マリヤが 妊娠したと 聞いて、心配に なります。結婚する 前に 妊娠するなんて、きっと 人々は マリヤの ことを 悪く 思うでしょう。
ヨセフは マリヤを 気づかい、彼女が はずかしめられる ことの ないよう、結婚するのを やめて どこかへ 送り出そうと 決心します。
ところが、ある夜の こと、ヨセフが ねむっていると 天使が 現れ、生まれようと している 赤ちゃんについての 真実を 伝え、心配しないで マリヤを 妻に しなさいと 告げます。「マリヤの お腹に いる 赤ちゃんは、聖霊に よる ものです。彼女は 男の子を 産むでしょう。その 名を イエスと 名付けなさい。彼は、人々を その 罪から 救う 者に なるからです。」(イエスという 名前は 「救い」を 意味します。)
これは、全く おどろくべき お告げでした。神様の 造られた 最初の 男女から 始まって、人々は 罪を 犯し、そのために 苦しんできました。そして 今、ヨセフは 神様の 天使から、マリヤは 人々を 罪から 救ってくださる 方を 妊娠しているのだと 聞かされたばかりです。ヨセフは 夢から 目が 覚めると、天使に 言われたように しました。すぐに マリヤと 結婚したのです。
ベツレヘムへの 旅
数か月が たち、もうすぐ 赤ちゃんの イエス様が 生まれようと していた ころ、当時 イスラエルを 支配していた ローマ帝国から、すべての 人は 人口調査のために 生まれ故郷へ 帰らなければ ならないという おふれが 出ました。(人口調査とは、ローマ帝国が 人々の 数を 数え、すべての 人の 名前と 生まれた 場所を 記録するもので、その 記録は、人々に 税金を 課すのに 使われました。)
ヨセフの 家族は ベツレヘム村の 出身でした。そこで、ヨセフと マリヤは 法律に 従い、ナザレを 出発して、ベツレヘムへの 旅に 出ました。ベツレヘムは、ナザレから 125キロメートルほど 南に あります。当時、人々が 旅する 距離は、1日に 大体 30キロメートルから 50キロメートルくらいでした。歩いての 長旅は、小さな ケガでも 大変な ことに なり得るので、注意深く ゆっくりと 進むことが 大切でした。また、1日の 終わりには、安全のため、いっしょに 旅している 人たちと 組んで 野宿するか、村に とまるための 場所を 見つける 必要が ありました。暗く なってから 外を 出歩いていると、強盗や 野生の 動物から ねらわれる 危険性が 非常に 大きく なるからです。
ヨセフと マリヤは、ベツレヘムに 着くと、とまる 場所を さがし始めました。けれども、おそく 着いたために、どこの 家も、人口調査で ベツレヘムに やって来た 人たちで いっぱいでした。マリヤは 赤ちゃんを 産もうと していたので、その夜 落ち着ける 場所が どうしても 必要でした。
幸いな ことに、やっと、とまれる 場所を 貸してくれる 人が 見つかりました。けれども それは、思いも よらない 場所でした。夜の間 家畜が 休む 小屋です。
その夜、この世を 救うために 送られてきた 神様の み子イエス様が、家畜小屋で 生まれました。ヨセフと マリヤは、赤ちゃんが 寒くないように、一生けん命 暖かく しました。布で くるんで、飼い葉おけで 作った ベッドの 中に ねかせました。飼い葉おけは、動物たちに わらや 水を あげるために 使う、木や 石で 作った おけの ことです。
赤ちゃんの イエス様に 与えられた 特別な 預言
イエス様が 生まれてから 何日か たつと、ヨセフと マリヤは、赤ちゃんを 神様に ささげるため、ベツレヘムに 近い エルサレムの 神殿へ 出かけて行きました。女の人が 初めて 産んだ 男の子は、神様に ささげるのが ユダヤ人の 習わしだったからです。
その日、神殿には 非常に 年老いた 二人の 人が いました。シメオンという 男の人と、アンナという 女の人で、二人とも、神様の 預言者でした。昔の ユダヤの 預言者は、イスラエルの 救い主、つまり メシヤが、ベツレヘムで 生まれるという 預言を 書き残していました。シメオンも アンナも この 預言を よく 覚えていて、その 預言が 成就するのを、一生 待ちわびていました。聖霊は シメオンに、この メシヤについての 預言を 目の当たりに するまでは 死なないと 告げていました。
さて、ヨセフと マリヤと イエス様が 神殿の 中庭に いると、シメオンが 聖霊に 導かれて やって来ました。シメオンは 赤ちゃんを 見て、とても 興奮しました。そして 赤ちゃんを だき上げると、こう 言いました。「主よ、今こそ、あなたは み言葉通り、この しもべを 安らかに 去らせてくださいます。わたしの 目が 今 あなたの 救いを 見たのですから。この 救いは あなたが 地上の すべての 民に 光を もたらすために 備えてくださった もので、イスラエルの 栄光です。」
シメオンが 預言を していると、女預言者の アンナも やって来ました。彼女も、起こっている ことに 気付くと、神様を ほめたたえ始めました。アンナは、若い ころに 夫を なくしてからは、再婚せず、神殿に 留まって、断食を したり 祈ったりして、神様を あがめていました。アンナは 84才で、その日 神殿で 見たことを、それから ずっと、約束された 救い主を 待っている すべての 人に 語り続けました。
イエス様に 会いに 来た 人たち
イエス様の たん生は、歴史上でも 非常に 特別な 出来事でした。イエス様が 救い主である ことが 人々に 分かるように、神様は すばらしい 出来事を 起こされました。
イエス様が ベツレヘムの 家畜小屋で 生まれた 夜、町外れの 野山では、羊飼いたちが 羊の 番を していました。すると とつ然、威厳に 満ちた 天使が 現れ、羊飼いたちは びっくりぎょうてんします。
そこで 天使が 言いました。「こわがる ことは ありません。わたしは、良い 知らせを 伝えに 来たのです! 今日 ベツレヘムで、あなたがたの 救い主が お生まれに なりました! あなたがたは、その 子が 布に くるまれて、飼い葉おけに ねかされて いるのを 見るでしょう。」
すると、その 天使の 周りに おびただしい 数の 天使が 現れ、神様への 賛美を 歌いました。「神様に 栄光が あるように。地上では、み心に かなう 人々に 平和が あるように。」
(神様は、ご自身の み子である イエス様を 送ってくださるほど、この世の 人々を 愛してくださいました。それは、地上の 人々に、平和と 神様の 恵みを もたらすためです。)
天使が 姿を 消すと、羊飼いたちは ベツレヘムに かけつけ、家畜小屋に とまっていた ヨセフと マリヤと 赤ちゃんの イエス様を 見つけます。羊飼いたちは、イエス様の たん生という 大切な 知らせを 受け、また その 意味を 教えてもらった 最初の 人たちに 数えられるという、祝福を 与えられたのでした。彼らは 家畜小屋の イエス様に 会った 後、天使から 聞いたことや、自分たちが 見たことを、国中を 回って 人々に 伝えたのでした。
脚注:*1* ルカによる 福音書 1:46-55
文:ピーター・リンチ、聖書の物語を分かりやすくしたもの 絵:ディディエ・マーティン出版:マイ・ワンダー・スタジオ Copyright © 2021年、ファミリーインターナショナル