マイ・ワンダー・スタジオ
イエス様がお生まれになる
水曜日, 12月 22, 2021

新約聖書を 学ぼう:イエス様が お生まれに なる

 ユダヤ(イスラエル)の 最後の 偉大な 預言者が いなくなってから、300年以上 たったころの お話です。イスラエル王国が 栄華を 極めたころからは、さらに 長い 年月が たっていました。何世紀も 前に 預言者たちは、救い主である イエスラエルの 王様が 現れ、国が 復興するという 預言を 残していました。けれども 歴史の この時点では、イスラエルの 土地は 強大な ローマ帝国に 征服され、また 支配されていました。ユダヤの 人々は 今まで以上に、預言で 約束されたように、神様が 救い主を 送られ、自分たちを 自由に してくださるのを 熱望するように なっていました。

 かつては イスラエル王国の 北部であった 所に、ナザレという 小さな 村が ありました。そこに、ヨセフという 男の人と 結婚の 約束を していた、マリヤという 若い 女の人が 住んでいました。ある日のこと、マリヤが 家に いた時に、とても 変わったことが 起きました。とは 言っても、それは すばらしい ことでした。神様の 天使が 現れたのです。

 「こわがらないで ください。」と、天使は 言いました。「わたしは あなたに、すばらしい 知らせを 伝えに 来たのです! あなたに、赤ちゃんが 生まれます!」

 「でも、わたしは 結婚も していないのに、赤ちゃんが できると いうのですか?」と、マリヤは たずねました。

 天使の 答えは、すばらしかったものの、ものすごく びっくりするような ことでも ありました。「聖霊が 神様の 力によって、あなたに この 赤ちゃんを 授けるのです。この 赤ちゃんは、神の子と 呼ばれるでしょう。」

 マリヤは 天使の 言葉を 聞いて、とても 喜びました。人類の 歴史上で 最高 かつ 最も 熱望されていた 出来事の 大切な いちやくを 担うように 選ばれたのですから。

 それだけでは ありません。天使は、こんなことも 教えてくれました。「あなたの 親せき、エリサベツも、年を 取っているにも かかわらず、赤ちゃんを 身ごもっています。彼女には 赤ちゃんは できないだろうと みんなから 言われていたのに、妊娠して もう 6か月に なります。神様が 望まれる ことには、不可能は ないのです。」

ザカリヤと エリサベツ

 マリヤは この 良い 知らせを 親せきの エリサベツに 伝えたくて、エリサベツと その夫 ザカリヤが 住んでいる 山里の 町へと 出かけて行きました。

 この事が 起こる 前に、ザカリヤは エルサレムの 神殿で、祭司としての 仕事を していました。そこへ 天使が 表れ、妻の エリサベツが 男の子を 産むだろうと 告げました。天使は ザカリヤに、その子に ヨハネという 名前を 付けるようにと 言いました。また、その子は 昔の 預言者エリヤの 霊と 力を 持ち、大人に なったら、主ご自身が 来られるのに 備えて、人々を 神に 立ち帰らせるだろうと 説明しました。つまり ヨハネは、神様の 子が 来られる 前に、人々の 心を 備えさせる 預言者に なる 運命だったのです。

 さて、マリヤが ザカリヤと エリサベツの 家に 入ると、エリサベツは 聖霊に 満たされ、マリヤに あいさつして こう 言いました。「わたしの 主の お母様が わたしの ところに 来てくださるなんて、何という 光栄でしょう。あなたの 声が 聞こえたとたん、お腹の 赤ちゃんが 喜んで はねました!」 マリヤが 話す 前から、エリサベツは マリヤに 起こっていることを、もう 知っているような 口ぶりです。まだ 生まれていない 赤ちゃんの ヨハネですら、マリヤと 彼女の お腹の 中の 赤ちゃんが 来たことで、大喜びしていました。

 エリサベツは さらに 言いました。「主が 言われたことが ことごとく 起こると 信じた 女は、何と 幸いな ことでしょう。」

 喜びと おどろきの 気持ちで いっぱいに なった マリヤの 口からは、賛美の 言葉が 出てきました。

わたしの 魂は 主を あがめ、

わたしの 霊は 救い主である 神様を たたえます。

身分の 低い この わたしにも 目を 留めてくださったからです。

これからは どの 時代の 人々も、わたしを 幸せ者と 言うでしょう。

力ある 方が、わたしに すばらしい ことを してくださったからです。

その み名は 聖く、その あわれみは、主を おそれる 者に およびます。

主は 力強い わざを なし、おごり高ぶる 者を 追い散らされます。

権力の ある 者を その 座から 引き降ろし、身分の 低い 者を 引き上げられます。

主は、わたしたちの 先祖に 約束されたように、

あわれみを もって イスラエルを 助けてくださいます。*1*

天使が ヨセフに 現れる

 さて、じきに マリヤの 夫に なろうと していた ヨセフは、マリヤが 妊娠したと 聞いて、心配に なります。結婚する 前に 妊娠するなんて、きっと 人々は マリヤの ことを 悪く 思うでしょう。

 ヨセフは マリヤを 気づかい、彼女が はずかしめられる ことの ないよう、結婚するのを やめて どこかへ 送り出そうと 決心します。

 ところが、ある夜の こと、ヨセフが ねむっていると 天使が 現れ、生まれようと している 赤ちゃんについての 真実を 伝え、心配しないで マリヤを 妻に しなさいと 告げます。「マリヤの お腹に いる 赤ちゃんは、聖霊に よる ものです。彼女は 男の子を 産むでしょう。その 名を イエスと 名付けなさい。彼は、人々を その 罪から 救う 者に なるからです。」(イエスという 名前は 「救い」を 意味します。)

 これは、全く おどろくべき お告げでした。神様の 造られた 最初の 男女から 始まって、人々は 罪を 犯し、そのために 苦しんできました。そして 今、ヨセフは 神様の 天使から、マリヤは 人々を 罪から 救ってくださる 方を 妊娠しているのだと 聞かされたばかりです。ヨセフは 夢から 目が 覚めると、天使に 言われたように しました。すぐに マリヤと 結婚したのです。

ベツレヘムへの 旅

 数か月が たち、もうすぐ 赤ちゃんの イエス様が 生まれようと していた ころ、当時 イスラエルを 支配していた ローマ帝国から、すべての 人は 人口調査のために 生まれ故郷へ 帰らなければ ならないという おふれが 出ました。(人口調査とは、ローマ帝国が 人々の 数を 数え、すべての 人の 名前と 生まれた 場所を 記録するもので、その 記録は、人々に 税金を 課すのに 使われました。)

 ヨセフの 家族は ベツレヘム村の 出身でした。そこで、ヨセフと マリヤは 法律に 従い、ナザレを 出発して、ベツレヘムへの 旅に 出ました。ベツレヘムは、ナザレから 125キロメートルほど 南に あります。当時、人々が 旅する 距離は、1日に 大体 30キロメートルから 50キロメートルくらいでした。歩いての 長旅は、小さな ケガでも 大変な ことに なり得るので、注意深く ゆっくりと 進むことが 大切でした。また、1日の 終わりには、安全のため、いっしょに 旅している 人たちと 組んで 野宿するか、村に とまるための 場所を 見つける 必要が ありました。暗く なってから 外を 出歩いていると、強盗や 野生の 動物から ねらわれる 危険性が 非常に 大きく なるからです。

 ヨセフと マリヤは、ベツレヘムに 着くと、とまる 場所を さがし始めました。けれども、おそく 着いたために、どこの 家も、人口調査で ベツレヘムに やって来た 人たちで いっぱいでした。マリヤは 赤ちゃんを 産もうと していたので、その夜 落ち着ける 場所が どうしても 必要でした。

 幸いな ことに、やっと、とまれる 場所を 貸してくれる 人が 見つかりました。けれども それは、思いも よらない 場所でした。夜の間 家畜が 休む 小屋です。

 その夜、この世を 救うために 送られてきた 神様の み子イエス様が、家畜小屋で 生まれました。ヨセフと マリヤは、赤ちゃんが 寒くないように、一生けん命 暖かく しました。布で くるんで、飼い葉おけで 作った ベッドの 中に ねかせました。飼い葉おけは、動物たちに わらや 水を あげるために 使う、木や 石で 作った おけの ことです。

赤ちゃんの イエス様に 与えられた 特別な 預言

 イエス様が 生まれてから 何日か たつと、ヨセフと マリヤは、赤ちゃんを 神様に ささげるため、ベツレヘムに 近い エルサレムの 神殿へ 出かけて行きました。女の人が 初めて 産んだ 男の子は、神様に ささげるのが ユダヤ人の 習わしだったからです。

 その日、神殿には 非常に 年老いた 二人の 人が いました。シメオンという 男の人と、アンナという 女の人で、二人とも、神様の 預言者でした。昔の ユダヤの 預言者は、イスラエルの 救い主、つまり メシヤが、ベツレヘムで 生まれるという 預言を 書き残していました。シメオンも アンナも この 預言を よく 覚えていて、その 預言が 成就するのを、一生 待ちわびていました。聖霊は シメオンに、この メシヤについての 預言を 目の当たりに するまでは 死なないと 告げていました。

 さて、ヨセフと マリヤと イエス様が 神殿の 中庭に いると、シメオンが 聖霊に 導かれて やって来ました。シメオンは 赤ちゃんを 見て、とても 興奮しました。そして 赤ちゃんを だき上げると、こう 言いました。「主よ、今こそ、あなたは み言葉通り、この しもべを 安らかに 去らせてくださいます。わたしの 目が 今 あなたの 救いを 見たのですから。この 救いは あなたが 地上の すべての 民に 光を もたらすために 備えてくださった もので、イスラエルの 栄光です。」

 シメオンが 預言を していると、女預言者の アンナも やって来ました。彼女も、起こっている ことに 気付くと、神様を ほめたたえ始めました。アンナは、若い ころに 夫を なくしてからは、再婚せず、神殿に 留まって、断食を したり 祈ったりして、神様を あがめていました。アンナは 84才で、その日 神殿で 見たことを、それから ずっと、約束された 救い主を 待っている すべての 人に 語り続けました。

イエス様に 会いに 来た 人たち

 イエス様の たん生は、歴史上でも 非常に 特別な 出来事でした。イエス様が 救い主である ことが 人々に 分かるように、神様は すばらしい 出来事を 起こされました。

 イエス様が ベツレヘムの 家畜小屋で 生まれた 夜、町外れの 野山では、羊飼いたちが 羊の 番を していました。すると とつ然、威厳に 満ちた 天使が 現れ、羊飼いたちは びっくりぎょうてんします。

 そこで 天使が 言いました。「こわがる ことは ありません。わたしは、良い 知らせを 伝えに 来たのです! 今日 ベツレヘムで、あなたがたの 救い主が お生まれに なりました! あなたがたは、その 子が 布に くるまれて、飼い葉おけに ねかされて いるのを 見るでしょう。」

 すると、その 天使の 周りに おびただしい 数の 天使が 現れ、神様への 賛美を 歌いました。「神様に 栄光が あるように。地上では、み心に かなう 人々に 平和が あるように。」

 (神様は、ご自身の み子である イエス様を 送ってくださるほど、この世の 人々を 愛してくださいました。それは、地上の 人々に、平和と 神様の 恵みを もたらすためです。)

 天使が 姿を 消すと、羊飼いたちは ベツレヘムに かけつけ、家畜小屋に とまっていた ヨセフと マリヤと 赤ちゃんの イエス様を 見つけます。羊飼いたちは、イエス様の たん生という 大切な 知らせを 受け、また その 意味を 教えてもらった 最初の 人たちに 数えられるという、祝福を 与えられたのでした。彼らは 家畜小屋の イエス様に 会った 後、天使から 聞いたことや、自分たちが 見たことを、国中を 回って 人々に 伝えたのでした。

脚注:*1* ルカによる 福音書 1:46-55

文:ピーター・リンチ、聖書の物語を分かりやすくしたもの 絵:ディディエ・マーティン
出版:マイ・ワンダー・スタジオ Copyright © 2021年、ファミリーインターナショナル
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タグ: イエス様, クリスマス, 子供のための聖書物語, 夢と幻