牧場の 仲間たちの お話:人なつっこい 犬 スポック
スポックは、ビーグルと ボーダーコリーの ミックス犬で、すばらしい 名犬です。見かけでは ドッグショーで 1等賞は 取れないかも しれませんが、賢さや 人なつっこさ、飼い主や 牧場の 仕事に 対する 忠実さは 大した ものです。
スポックは、兄の 牧場で もう 9年も 暮らしています。牧羊犬としては、かなり 老犬です。牧場内の 母屋や ニワトリ小屋や 納屋や 作業場などを 守るのに、いつも 大いそがしでした。
スポックは、ニワトリを 食べようと ねらってくる コヨーテを 何度も 追いはらいました。スポックが いなかったら、牧場の ネコさえ ねらわれるのです。
スポックには、畑を シカから 守るという 仕事も ありました。シカは、レタスや 豆や ビーツの 葉っぱや ほうれん草や、さらには 農夫が 畑の そばに 植えたばかりの 果物の 木まで 食べてしまいます。シカは、見かけは 美しいけれど、畑では 歓迎されない 動物です。それで スポックには、シカが 畑の そばに 来たら 追いはらうという 仕事が 与えられていたのです。
シカは スポックほど 賢くは ありませんが、たまに、スポックを 出しぬくことも ありました。畑に 近づいても、物音や においで 気付かれないように、スポックが ぐっすりと ねむってしまうまで 待つことを 学んだのです。もちろん、目を 覚ましていたら、決して 畑の 作物を かじらせたりなどは しませんから。
スポックが 年を 取ってきたころに、ある 出来事が ありました。何だと 思いますか? スポックは シカが 好きに なったのです。結局の ところ、シカは 今までも ずっと、スポックの 身近に いたわけですからね。めジカが 子ジカを 育てる 様子も 見てきましたし、子ジカたちが 成長して 立派な おジカや めジカに なって、またもや 畑を ねらいに もどって来たのも 見ています。いつしか スポックは、シカたちを 仲間と 思うように なったのです。
ある 月夜の こと、兄が 牧場の 様子を 見るために 外に 出てみると・・・何が 見えたと 思いますか? 2頭の シカが、ヒノキの 木の 下で 丸くなって ねている 犬を、クンクンと かいでいたのです。スポックは ねむっていたのでしょうか? 兄は、スポックは 目を 覚ましていたけれど、シカを 歓迎していたので、においを かがれても ねた フリを していたのだと 思いました。
ある日の 朝、もっと びっくりするような ことが ありました。シカたちが 丘の 上の 方に 立って、こちらを 見下ろしていました。スポックは シカを 見つけると、そっちに 走って行きました。兄は、スポックが 以前のように シカを 追いはらおうとして 走って行ったのだと 思いました。ところが、シカは じっと 立ったまま、こわがりも せずに 待っているのです。スポックは シカの そばまで 行くと、仲間らしく 鼻を つき合わせて、あいさつしたのです!
さて、これは シカと 番犬の お話でした。または、神様の 良き 仲間の お話という ことも できるでしょう!
知っていましたか? 聖書には、いつか イエス様が 世界を 治めるために もどって来られ、エデンの 園が そうで あったように、すべての ものが 再び すばらしく 美しく なるように してくださると 書かれています。その 日には、神様が 動物たち同士も みんな 仲間に なるように してくださるという ことです。
「おおかみは 小羊と 共に 宿り、ひょうは 子やぎと 共に 伏し、子牛、若じし、肥えたる 家畜は 共に いて、小さい わらべに 導かれる。」(口語訳聖書、イザヤ書 11:6)
スポックは 仲間たちと、すでに 未来のように 暮らしていた ようですね!