マイ・ワンダー・スタジオ
ひとかたまりの パン
水曜日, 11月 25, 2020

ひとかたまりの パン

 昔 ある所に、ヘンリー・マーサーという お金持ちの 男の 人が いました。彼は、神を 信じないと 言っていました。「私は 無神論者だ。自分と お金以外は 信じない。」と いうのです。彼は 高慢な 人でしたが、ちっとも 幸せでは ありませんでした。

 さて、ヘンリーが 住んでいる 通りの すぐ先には、ジャネット・スミスという 貧しい 女の 人が 住んでいました。ジャネットは、イエス様を 深く 愛していました。貧しいので、大した 物は 持っていませんでしたが、ジャネットには、神様への 深い 信仰が ありました。彼女は、陽気で おだやかな 心の 持ち主で、他の 人達と 接する 時も、いつも 明るい 面を 見ようと 努めていました。また、イエス様の 話を よく していました。

 ジャネットの 近所に 住んでいる お金持ちの ヘンリーは、彼女には お金や 物なんて ほとんど ないのに どうして 幸せなのか、全く 理解できませんでした。また、どうして ジャネットが イエス様を 愛しているのかも 理解できませんでした。事実、ジャネットが 幸せで あることを ねたましくさえ 思っていました。それで、彼女の 幸せを 台無しに しようと、たびたび 意地悪を していました。

 ある 暑い 日、ジャネットが 市場で 買った 食料品を かかえて ほこりだらけの 道を 歩いていると、立派な 馬車に 乗った ヘンリーが 通りがかりました。ジャネットに 近づいてくると、速度を 落として 声を かけました。「ごきげんは いかがですか? 今日は お暑いですなぁ。どうして 神様は、あなたのために 少しばかり 気温を 下げてくださらんのですかねぇ?」 そして、自分の 冗談が さも おかしいかのように 笑うと、彼女を 馬車に 乗せてあげる ことも なく、自分は 何て 賢いんだろうと 思いながら、さっさと 行ってしまいました。

 いろいろと 困難は ありましたが、それでも、ジャネットの 心の 安らぎと 神様の 愛への 信仰は、決して なくなることは ありませんでした。

 ある日、ヘンリーが 犬と 散歩しながら ジャネットの 家の そばを 通りがかると、彼女は だれかに 話しかけているようでした。一体 だれと 話しているんだろうと 思いながら、ヘンリーは ジャネットの 家の 開いた 窓の そばに 近づいて、びっくりしました。ジャネットは 祈っていたのです。

 「主よ、私には、今日 食べるための パンが ありません。また、パンを 買うための お金も ありません。あなたは、ピリピ人への 手紙の 4:19で、私の いっさいの 必要を 満たしてくださると 約束されました。どうか、私を 気に かけ、必要な 食べ物を 供給してください。イエス様の お名前で 祈ります。」

 いっしゅん、ヘンリーの 心は 動かされました。けれども すぐに、にんまりと 笑いを 浮かべました。隣人への いたずらを 思いついたのです。ヘンリーは 急いで お店へ 行くと、大きな パンを 買いました。そして、ジャネットの 家に もどると、開いた 窓の 外から、その パンを 部屋の 中に 投げ込みました。

 ジャネットは 大喜びです! 神様が、そんなにも すばやく 祈りに 応えてくださったのですから。すぐに、ジャネットは イエス様に 感謝し始めました。「イエス様、この パンを 感謝します。求めただけで、あなたは すぐに 私の 必要な ものを 与えてくださいました。」

 その時です。窓の 外から、ばかにした 笑い声が 聞こえてきました。ヘンリーが 開いた 窓から 顔を つっこんで、声高に 言いました。「ハッハッハ! 神様なんかじゃ なかったぞ。投げ込んだのは、この私だ!」

 ところが、ヘンリーの がく然と したことに、ジャネットは ただ ほほえんで、神様への 賛美を 続けました。「素晴らしい イエス様、感謝します。たとえ あなたが ヘンリー・マーサーを 用いなければ ならなかったとしても、あなたは この パンを 送り届けてくださいました!」

 ヘンリーの 顔は、真っ赤に なりました。またしても、彼の 悪だくみは 失敗に 終わったのです。彼は すっかり 腹を 立て、じだんだを ふみながら、行ってしまいました。けれども 内心、もしかしたら 神様は、本当に 自分を 使って ジャネットの 祈りに 応えたのかも しれないと 思わずには いられなかったのでした。

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タグ: 子供のための物語, 満足, 賛美と感謝, 敵対者と迫害