その日、何が起こったのか?
イースターの出来事
約2,000年前、イエス・キリストは、現在イスラエルと呼ばれている地で、当時のユダヤ地方を治めていたローマ帝国の総督ポンテオ・ピラトの命令によって十字架刑になりました。ユダヤの祭司長や宗教指導者たちに、神をけがしたといういつわりの罪でうったえられたからですが、神へのぼうとくはローマ帝国では罪ではなかったので、ピラトはイエスを釈放したいと思っていました。けれども、町をさわがせたとうったえられている人を多めに見ると、ローマ帝国への不忠とみなされるかもしれないことや、イエスを十字架につけよと群衆にけたたましく迫られたことから、ピラトはその要求に屈してしまいました。イエスの処刑は、ユダヤの過越の祭の直前にとり行われました。
10世紀のアラビア語の文書には、ユダヤ人の歴史家フラウィウス・ヨセフスによって記されたとする、以下の記録がのっています。
このころ、イエスと呼ばれる賢者がいた。彼は、立派な行いで知られていた。ユダヤ人から他国人にいたるまで、多くの人々が彼の弟子となった。ピラトは、彼に十字架刑の判決を下した。しかし、弟子たちは彼への忠誠心を捨てなかった。弟子たちは、十字架刑になった3日後、イエスが生きて彼らの前に現れたと報告している。彼らはイエスが、預言者によって記されていた、奇跡を行うメシヤであると信じていた。
フラウィウス・ヨセフス(西暦37?年~100年)、ユダヤ人の歴史家。本名ヨセフス・ベン・マタティア。ローマ帝国時代の1世紀に実存したユダヤ人の歴史家。エルサレム生まれ。不承不承ローマ帝国への反乱に加わる(西暦66-70年)。その後、皇帝ウェスパシアヌスに赦免され、その息子ティトゥスの補佐として働き、西暦70年のエルサレム攻撃に参加。ヨセフスがのこした『ユダヤ戦記」には、紀元前2年からユダヤ人の反乱の終わりまでのユダヤの歴史が書き記されている。『ユダヤ古代誌』には、天地創造から反乱の起きた西暦66年までの歴史が記されている。ヨセフスは西暦100年ごろにローマで死去。
Student Encyclopadia, Britannica Online for Kidsより
以下の記述は、イエスの弟子の一人であるマタイが、イエスの死について書き記したものです。
(イエスの十字架刑の)あくる日、祭司長、パリサイ人たちは、ピラトのもとに集まって言った、「長官、あの偽り者がまだ生きていたとき、『三日の後に自分はよみがえる』と言ったのを、思い出しました。ですから、三日目まで墓の番をするように、さしずをして下さい。そうしないと、弟子たちがきて彼を盗み出し、『イエスは死人の中から、よみがえった』と、民衆に言いふらすかも知れません。そうなると、みんなが前よりも、もっとひどくだまされることになりましょう」。
ピラトは彼らに言った、「番人がいるから、行ってできる限り、番をさせるがよい」。そこで、彼らは行って石に封印をし、番人を置いて墓の番をさせた。
さて、安息日が終わって、週の初めの日の明け方に、マグダラのマリヤとほかのマリヤとが、墓を見にきた。すると、大きな地震が起こった。それは主の使が天から下って、そこにきて石をわきへころがし、その上にすわったからである。その姿はいなずまのように輝き、その衣は雪のように真白であった。見張りをしていた人たちは、おそろしさの余りふるえあがって、死人のようになった。
この御使は女たちにむかって言った、「おそれることはない。あなたがたが十字架におかかりになったイエスをさがしていることは、わたしにわかっているが、もうここにはおられない。かねて言われたとおりに、よみがえられたのである。さあ、イエスが納められていた場所をごらんなさい。そして、急いで行って、弟子たちにこう伝えなさい、『イエスは死人の中からよみがえられた。見よ、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。そこでお会いできるであろう』。あなたがたに、これだけ言っておく」。
そこで女たちはおそれながらも大喜びで、急いで墓を立ち去り、弟子たちに知らせるために走って行った。すると、イエスは彼らに出会って、「平安あれ」と言われたので、彼らは近寄りイエスのみ足をいだいて拝した。そのとき、イエスは彼らに言われた、「おそれることはない。行って兄弟たちに、ガリラヤに行け、そこでわたしに会えるであろう、と告げなさい」。
女たちが行っている間に、番人のうちのある人々が都に帰って、いっさいの出来事を祭司長たちに話した。祭司長たちは長老たちと集まって協議をこらし、兵卒たちにたくさんの金を与えて言った、「『弟子たちが夜中にきて、われわれの寝ている間に彼を盗んだ』と言え。万一このことが総督の耳にはいっても、われわれが総督に説いて、あなたがたに迷惑がかからないようにしよう」。そこで、彼らは金を受け取って、教えられたとおりにした。そしてこの話は、今日に至るまでユダヤ人の間にひろまっている。
さて、十一人の弟子たちはガリラヤに行って、イエスが彼らに行くように命じられた山に登った。そして、イエスに会って拝した。しかし、疑う者もいた。イエスは彼らに近づいてきて言われた、「わたしは、天においても地においても、いっさいの権威を授けられた。それゆえに、あなたがたは行って、すべての国民を弟子として、父と子と聖霊との名によって、彼らにバプテスマを施し、あなたがたに命じておいたいっさいのことを守るように教えよ。見よ、わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいるのである」(口語訳聖書、マタイによる福音書 27:62-66; 28:1-20)。
イースター(復活)の物語を聖書から読んでみましょう:
□ エルサレムへの輝かしい入城:ルカによる福音書 19:29-40
□ 弟子たちと最後の晩餐を共にする:ルカによる福音書 22:7-30
□ ゲッセマネの園での苦悩:ルカによる福音書 22:39-46
□ 裏切り:ルカによる福音書 22:47-53
□ 裁判、あざけられ、むち打たれる:ルカによる福音書 22:54-71; 23:1-24
□ 十字架刑:ルカによる福音書 23:26-46
□ 埋葬:ルカによる福音書 23:50-53
□ よみがえり(復活):マタイによる福音書 第28章、マルコによる福音書 第16章、ルカによる福音書 第24章、ヨハネによる福音書 第20章
イースターの祈り
イエス様、あなたが全人類の救いのためにご自分の命を与えて下さったことを感謝します。あなたは、罪をあがなうために、十字架の上で苦悩と死を味わわれました。けれども、話はそこで終わりませんでした。わたしたちが死をおそれなくていいように、あなたは死そのものに打ち勝たれたのです。あなたは、あなたを信じるすべての人のために、天国に場所を用意して下さいました。
わたしのためにどんな苦労もおしまない、そんなにも素晴らしいあなたの愛を感謝します