1日だけのにわか陪審員兼裁判官
ある日、高慢さから
わたしは自分のおろかなやり方で
1日だけのにわか陪審員兼裁判官になることにした。
そこで小づちを手に取り、
わたしは自分の仲間のあら探しを始めた。
すると、全くおどろかないことに
大勢の者が、浅はかな者、
不親切な者、人当たりが悪い者、
落ち着きがなく冷静でもない者、
思いやりのない者、つまらない者、
さらには、良い所が全くなく、
人間としての信用もおけないような者たちだと気が付いた。
それで、ただ楽しみのために
わたしは一人一人を分類してみた。
それは、あっという間に終わった。
わたしは自信をもって言おう。
わたし自身の最高に謙虚なやり方で、
一人一人をわたしと比べて評価し、
パック詰めにし、ラベルを貼って、
棚に陳列した。
そして、むとんちゃくにも
だれかれ構わず通りがかるすべての人に
わたしの才気あふれる結論を読み上げた。
さてこっちは、君たちや、最高のわたしよりも劣る者たちだ。
そしてこの者は、一見善なるように見えたが、よくよく調べてみると、
大いなる不完全さがあることが、ついにわかった。
それでその時は、それを暴露するのが自分の務めだと感じた。
最悪の欠点を目の当たりにしたからだ。
そして、おそろしいほどの欠点をたくみに指摘し、
この最悪のいやしむべき事実を伝えたことで得意になっていたのだ。
事実、ひざの上に落ちてきたイモ虫や、
何かを食っているハエ(でも何でもいいが)のようなものではなく、
上辺では、まるで豪華客船のファーストクラスに乗ってでもいるかのように
立派に見せかけていたのだ。
だが、わたしが兄弟姉妹を食い物にし、
大勢の人に大きな苦痛を与え、
大勢の人生をめちゃくちゃにするのを楽しんでいたら、
最高にたちの悪いごろつきに出会った
わたしの腹わたを煮えくり返らせる
いやしむべき人物に。
やつの話し方には嫌気が差す
歩き方などは、もっての外だ。
皿の盛りつけ方から
もちろん、食べ方までもだ。
早かろうが遅かろうが、やつはマチガイだらけ
髪は短過ぎか長過ぎだし
着てる服はギョッとする
色もデザインもハデなものばかり
座り方も立ち方もメッチャクチャ
鼻クソだってほじるし
ハグだって長過ぎるしやり過ぎ
それに、完全に人とズレてるみたい。
わたしは言わねばならない
やつには「完全なるひっちゃかめっちゃか」というラベルを貼った。
やつに関してはイライラさせられることばかり
やつは犯罪者写真を撮る必要がある。
だが、ある夜のことを打ち明けよう
わたしは自分が死んだ夢を見た
天国の真珠の門で
わたしを待っていた者は
わたしがあれほどにも憎んでいたあいつ
わたしが最もつまらないと思っていたやつ
たちの悪いごろつき、獣のようなやつだ!
わたしと全く正反対で
わたしが毛嫌いするそのものだ!
その上わたしが死ぬほどおそろしかったことには
仮面を取ったイエス様が
こう言ったんだ。「サプライズ!
わたしだよ!
さぁてと! 本を開けて、
君がわたしに対してどう接してきたかを
ざっと見てみようか?」
わが友よ
その日、わたしは目覚めたことをうれしく思う!
今わたしはおそれかしこまって
ここにいる人の評判を落とすようなことを言うのはやめ
兄弟としてわたしが愛するべき者の
あら探しをしたり悪口を言うのはやめよう
わたしのゴシップの庭に生えていた
そのような邪悪な雑草の
種に水をやっていた
蛇口の栓を、わたしは閉めた。