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聖書の冒険物語:敵に打ち勝つ
金曜日, 5月 20, 2022

聖書の冒険物語:敵に打ち勝つ

子供のためのサムエル記上第18章と第26章

ダビデ王についての他の物語「巨人に挑む」と「王となる者の偉業」も、読んでね。

ダビデがゴリアテを倒し、イスラエル軍が引き揚げてくると、イスラエルの町々から女性達が出てきて、タンバリンなどの楽器を奏で、歌い踊りながら、サウル王を歓迎した。

「サウル王は千を打ち倒し、ダビデは万を打ち倒した!」 女性達は繰り返し、そう歌いながら喜び踊った。「サウル王は千を打ち倒し、ダビデは万を打ち倒した!」

人々は、ダビデに熱狂していたのだった! サウル王はそれを聞いて、非常に腹を立てた。(この上、彼に与えるものは、国のほかないではないか。あいつを手の届く所に置いておいたほうがいいだろう。)

王は嫉妬のあまり、ダビデが家に帰るのも許さず、何度もダビデの命をねらった。ある時は、ダビデに槍を投げつけた。またある時は、娘のミカルを嫁にしてやるから、ペリシテ人を100人倒し、各々の遺体の一部を切除して持って来いと命じた。自分でダビデを殺せないなら、ペリシテ人に殺させようとたくらんだのだ。それにもかかわらず、ダビデとその従者達はペリシテ人達に勝利し、ダビデはサウル王に対する忠誠を明言し続けた。

それでも王は何度もダビデの命をねらうので、ダビデはとうとう、ジフの荒野に逃れた。すると、男も女も、大勢のしいたげられ、困窮している人達が集まってきて、ダビデに導きを求めた。

荒野にいたダビデは、驚いたことに、そこでもまた、サウル王が自分の命をねらって追ってきていることを耳にした。エンゲデのほら穴では、サウル王を殺すこともできたところを、命を救ってやったのに、これは信じがたいことだった。ダビデはサウル王に、王を殺す気は毛頭ないことを示してきた。それ以来、2人の間の問題は解決したものだと思っていた。それなのにまた、以前何度もしたように、サウル王はまたもやダビデの命をねらって追って来たのだ。

ダビデは、サウル王が本当に自分の命をねらってやって来たのかどうかを確かめるため、偵察隊まで送り出して確認した。それが事実であることが判明すると、ダビデは悲しみにしずんだ。

ダビデは祈った。「神よ、御名によって私を救い、御力によって私を裁いてください。神よ、私の祈りを聞き、わが口の言葉に耳を傾けてください。・・・見よ、神はわが助け主、主はわが命を守られる方です。」

今回、ダビデと従者達は逃げなかった。その代わり、真夜中に、王とその兵士達の陣営に忍び寄った。サウル王は、陣営の真ん中で眠っていた。そばには将軍アブネルが、そして残りの兵士達は陣営を囲んで眠っていた。

「私と共に、陣営の王の元に行ってくれる者は?」 ダビデは、最も勇敢な2人の従者にささやいた。

「私が行きましょう。」と、アビシャイが答えた。

こうして、2人の男達は危険も顧みず、敵の陣営へもぐり込んで、ぐっすり眠っているサウル王を見つけた。その槍は枕元の地面に突き刺してあり、すぐそばには水の入ったつぼが置いてあった。

これまでダビデとその従者達を散々苦しめてきた男を見ると、アビシャイがささやいた。「私が一突きで王を刺し通しましょう。再び突くには及びません。」

すると、ダビデが言った。「王を殺してはならない。主が油を注がれた者に向かって、手をのべ、罪を得ない者があろうか?・・・我々は王の運命を、神の御手に委ねるべきではないか。」

ダビデはかつてエンゲデのほら穴で王の衣のすそを切り取った時のように、今回もアビシャイにささやいて言った。「王の枕元にある槍と、水の入ったつぼを取って、ここを出よう。」

2人は陣営を去ったが、サウル王の兵士達は誰も気付かないままだった。主が彼らを深く眠らせられたからだ。ダビデはそこから離れた丘の頂に登ると、谷をはさんで、サウル王の陣営に向かって大声で叫んだ。

ダビデは繰り返し叫んだ。「アブネルよ、聞こえないのか?」

アブネルは起き上がったが、かなり寝ぼけている様子だ。

「王に向かって叫んでいるお前は誰だ?」と、アブネルは言った。

ダビデはあざけるように言った。「あなたは勇猛果敢な男じゃなかったのか? イスラエルの中に、あなたほどの人がいるだろうか? それなのに、どうして王の命を守らなかったのか?・・・王の槍と、枕元にあった水のつぼは、どこだ? 主は生きておられる。あなたは、主が油を注がれた主君を守らなかったことで、死罪に当たるんだぞ。」

「一体誰だ? 何のことを言っているのだ?」 アブネルは未だに目が覚めやらず、つぶやいた。

けれども、サウル王はダビデの声に気付き、大声で言った。「わが子ダビデよ、その声はお前か?」

「そうです、私です。」 そう答えると、ダビデは以前何度も王にたずねたのと同じ質問を投げかけた。「私が一体何をしたと言うのですか? 私にどんな罪があると言うのですか?」

すると、夜の間にダビデが自分の寝ている所に来たが、命を奪わなかったことに気付いて、王が言った。「私は罪を犯した! わが子ダビデよ、帰って来なさい。今日、私の命がお前の目に尊く見られたゆえに、私はもう、お前を殺そうとはしないから。私は愚かなことをした。とんでもない間違いを犯してしまった。」

王をゆるすつもりでいたダビデは声を上げて言った。「王の槍は、ここにあります! 若者の1人に、これを取りに来させて下さい。」

サウル王は言った。「わが子ダビデに、祝福があるように。お前は必ず英雄の名にふさわしい働きを成し遂げるだろう。」

こうして、ダビデとその従者達はガテに行き、王はもはや、ダビデを追わなかった。ダビデが心から王との平和を願っていることを証明したからだ。

このすごい聖書の登場人物について、もっと読んでみよう。「聖書の偉人:ダビデ王」を見てね。
文:「宝」からの編集、Copyright © 1987年、デザイン:ロイ・エバンス
出版:マイ・ワンダー・スタジオ Copyright © 2022年、ファミリーインターナショナル
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タグ: 子供のための聖書物語, 神の偉大な人々, 聖書の偉人, 聖書の冒険物語, 聖書