マイ・ワンダー・スタジオ
二人三脚
水曜日, 3月 16, 2022

二人三脚

 トーマスと サラは、なかなか 仲良しに なれません。何かに つけ、いつも 意見が 合わないのです。けれども、おかしなことが ありました。この二人は、他の 人なら だれとでも、友達に なれたのです。二人には、全く 同じ 友達さえ いました。それなのに、トーマスと サラは、しょっちゅう 口げんかを していました。ある時 二人は、パーティーの ゲームで、チームに なりました。最初は、ちっとも うまく いきませんでした。

 「トーマスったら!」 サラが いらいらして 声を 上げました。「私が こっちに 行こうと すると、あなたは 反対の 方に 行きたがるのね。だから 私達、転んじゃうのよ。」

 「じゃあ、ぼくの 行きたい方は、どうなっちゃうんだよ?」と、トーマスが 言いました。

 トーマスと サラは、大きな ズボンの 片足に 自分達の 片足を 入れているのですが、一人が 動こうと するたびに、もう一人が、がんこにも 反対方向に 行こうと するのでした。同じ ズボンを はいてから、二人は 一歩も 進めない 状態でした。たがいの 足や うでの 上に 転んで、腹を 立てるばかりでした。

 「あなたが 転ばせたのよ!」 サラが 大声を 上げました。

 「こんなの、全然 うまく いかないよ!」 トーマスも、大声で 言いました。

 「私の せいじゃ ないわ!」と、サラ。

 すると その時、友達の マットと カレンが 通りがかりました。彼らも、同じ ズボンの 片足に 自分達の 片足を 入れて、同じ ゲームを しています。けれども、マットと カレンは、何の 問題も なく 歩いているでは ありませんか。

 「一体、どうやって いるのかしら? 私達は 転んでばかり いるのに。」と、サラが 言いました。

 トーマスは、マットと カレンに 声を かけて 言いました。「君達は、どうやって そんなに うまく やっているんだい? ぼく達は、進もうと するたびに 転んでばかりなんだ!」

 マットが 答えました。「わりと 簡単だよ。おたがい、相手に 合わせるように するんだ。まずは、カレンの 行きたい 方に 行く。その次は、ぼくの 行きたい 方に 行くんだ。」

 「サラ、ぼく達の 問題が 何か、分かった 気が するよ。」と、トーマスが 言いました。「ぼく達は 二人とも、ちがう方にばかり 行こうと するから、いつも いつも 転んじゃうんだよ。」

 サラが 立ち上がって 言いました。「じゃあ、私は あなたの 行きたい 方にばかり ついて行かなくちゃ いけないって ことなの?」

 トーマスが 言いました。「ぼく達、今は ちっとも 進めない 状態だろ。どうにか しないと。どこに 行くか、いっしょに 決めようよ。そして、交代で リードするんだ。サラの 行く 方に ぼくが 行ったら、その次は、ぼくの 行く 方に サラが 来たら いいんだ。そしたら きっと、目的地に 着けるよ。」

 「じゃあ・・・やってみましょうか・・・。」

 トーマスは サラに うでを 回し、サラも トーマスに うでを 回しました。最初は ちょっと ぎくしゃくしていたけれど、だんだん なれてきて、まもなく 二人は 肩を 組んで、いっしょに 決めた 目的地に 楽しそうに 進んだのでした。

 あなたには、自分と 合わないと 思う 人が いますか? その人の 必要や 希望を 考えてあげるように しましょう。それこそ、新しい 友達を 作る ヒケツかも しれませんよ。

文:デヴォン・T・ソマーズ 絵:アルビ デザイン:ロイ・エバンス
出版:マイ・ワンダー・スタジオ Copyright © 2022年、ファミリーインターナショナル
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タグ: 子供のための物語, 問題を解決する, 争いを収める, チームワーク