牧場の 仲間たちの くらし:ちがいを 尊重する
ビープビープ:
ある日、ベニーが やって来た。
ヤギの 子が 1頭だけで、やって来た。
ベニーは いつも 活気に 満ちあふれ、
元気いっぱいで 大はしゃぎ。
切り株の 上に 乗ったり、
そびえたつ 岩に 登ったり。
ベニーは いつも、
ほかの 動物たちより 高い 所に いる。
ちっちゃな ヤギの 子は、
この 牧場に やって来たばかり。
なのに みんなより 高い 所にばかり いて、
それが 気に 入らない 者が いた。
ビンゴは、馬の 子。
自分が とても 立派だと 思ってる。
何しろ、ビンゴは いつでも、
だれより 速く、飛ぶように 走れるからね。
ビンゴ:
「新入りベニー、
あなたは 自分を 何様だと 思ってるの?
ただの 子ヤギじゃ ないの。
群れの 中の 一匹に 過ぎないのに。」
ベニー:
「ぼくが すばしっこいのは、生まれつき。
ヤギは、みんな そうなんだ。
おいでよ、ここに 上がってみたら?
手伝ってあげるから。」
ビンゴ:
「それより、競争しましょうよ!
絶対、わたしの ほうが 速いわよ。
あなたには、負けないから。
わたしの 砂ぼこりを かぶって うんざりするだけね。」
ビープビープ:
「位置に 着いて、よーい、ドン!」
2頭とも、あっという 間に 走って行った。
ベニーの 走りっぷりは すばらしかった。
あんなに 速く 走れるなんてね。
だけど、ビンゴは ちっとも 心配していない。
ベニーは そのうち へたばるだろうから。
2頭が 牧場を 走っていると、
ビンゴの けった 砂ぼこりで ベニーが むせた。
すると ビンゴが ベニーを あざ笑い、
ベニーを ばかに し始めた。
あわれな ベニーは がっくりし、
やがて あきらめ 退散してしまった。
牧場の 若い 動物たちは
ビンゴの 周りに 集まった。
まるで 女王様あつかいの ように、
ビンゴに ほめ言葉を 浴びせた。
ベニーには だれも 振り向きも しない。
ひとりぼっちに なっちゃったんだ。
動物たちは いっしょに 遊んで いたけれど、
ベニーは 仲間外れだった。
スター:
「一体、何なの、この ねたみ合いは?
わたしたちの 牧場で、こんな ことが 起きるとは?
ベニーを 仲間外れに するなんて、意地悪よ。
まあ、ベニーは ひとりぼっちだわ。
お母さんも いないと いうのに、
友だちにも なって あげないなんて、
さびしくて、息が つまって しまうわ。」
ビンゴ:
「でも、元々はと 言えば、ベニーの せいよ。
いつも 高い 所に 登っているんだもの。
だけど、競争に 負けてからは、
勝手に 泣き言を 言ってるんだわ。」
スター:
「馬は 走るのが 好きだし、
確かに 速く 走れるわ。
子牛は、はしゃぐのが 好き。
だから、草原で 遊び回るのね。
だけど、ベニーは 子ヤギ。
普通 ヤギが する ことを してる だけだわ。
景色を ながめようと、
高い 所に 登ったりね。
だから あなたたちも、平等に しなさい。
バランス・コンテストを してみたら?
そして、ベニーが 勝ったら
誇らしい 気持ちに させて あげるのよ。」
ビープビープ:
それで、ビンゴも 用心しながら
岩の 上に 上がった。
足の ふみ場は あったけれど、
バランスを 保つのは むずかしかった。
一方 ベニーは、岩の 上に 飛び乗った。
ベニーに とっては、全く 普通の ことだからね。
軽々と、岩の てっぺんまで 登ったよ。
実に、見事な 登りっぷりだ。
スターが ビンゴを ちらっと 見ると、
はずかしくて うなだれている。
負けたのが くやしいんじゃ なくて、
争いの もとが 自分だったって 分かったんだ。
ビンゴ:
「仲直りを しなくちゃね。
ベニーにも 敬意を はらわないと。
ベニー、もし 友だちに なって もらえるなら、
わたしは うれしいわ。」
ビープビープ:
ちょっと 立ち止まって、
いっしょに 考えてみよう。
だれかと 友だちに なるのを さけたり、
えらそうに 振るまったり した ことは あるかな?
もし あるなら、ビンゴみたいに、
人の 良い 面を 見つけるように しよう。
きっと、楽しい 友情が 君を 待っているよ。
今まで 思いちがいを していた 人の 中にね。