牧場の 仲間たちの くらし:欲張り子ネコ
ビープビープ:今日の お話は、礼儀正しさと 欲張りについてだよ。ミケが そのお話を してくれるそうだよ。じゃあ、ミケ、よろしくね。
ミケ:わたしたちの 大好きな 時が、1日に 2回 あるの。1回は、ベツィが お乳を 出す時。牧場主は、お皿に いっぱい 牛乳を 入れてくれるのよ。まるで 絹のように、のどごしが いいの。
わたしたちは 大喜びで、農場の あちこちから 集まって来るのよ。毎朝毎晩、納屋での ごちそうが 楽しみなの。
乳が しぼられている 間、わたしたちは、ベツィの 足や、牧場主の ブーツや、牧場主の こしかけの 丸い 足に すりすりするの。
だけど、いざ 乳しぼりが 終わると、みんな、競い合って お皿に 突進したの。
飲みやすい 場所を 取ろうと、おし合いへし合いに なったのよ。ごちそうの 時間だと いうのに、まるで 場所取り競争。
どうして いっしょに 飲まなくちゃ いけないの? わたしたちは おし合いへし合いするばかり。悲しい ことに、大好きな 時間は 欲張りの ワナに はまって 台なしよ。
そして、ある夜のこと。わたしたちの 欲張りが 過ぎて、牧場主が お皿に 入れてくれた 牛乳を 台なしに してしまったの。
牧場主が バケツを かたむけて、お皿に 牛乳を 入れ始めると、わたしたちが おし合いへし合いを したので、牛乳が うまく お皿に 入らなかったの。
牛乳は、お皿を 取り合う わたしたちの 体の 上で はね返ったのよ。それで 牧場主は 言ったの。
牧場主:「今夜は 飲める 分が 減ってしまったよ。ある分だけ 飲んだら、もう ねなさい。
大好きな 牛乳を 本当に 感謝しているのなら、もっと 落ち着いて 待つんだな。聞こえるのは うれしそうな 鳴き声だけの はずだよ。
おし合いへし合い しても、楽しい 食事の 時間には ならないぞ。おまえたちの 体に 当たった 牛乳が あちこち 飛び散って むだに なるだけだ。」
ミケ:あくる朝、わたしたちは ぎょうぎよく すわったの。お皿に 牛乳が 注ぎ入れられるまで 待ったのよ。お皿の 牛乳を 全部 なめ終えた 後は、床まで ちゃんと きれいに してね。
一番 わんぱくだった 子ネコたちが、おぎょうぎよく 待つように なったのよ。年下の おとなしい 子ネコたちに 先に 飲ませて あげたりね。
1日の 終わりが 来た 時も、朝と 同じく おぎょうぎよく したのよ。ベツィや 牧場主にも 尊敬を 示し、おたがい同士 ちゃんと 気づかい合ったの。