牧場の 仲間たちの くらし:良い ところを 認め合う
ビープビープ:
さて 今日は、ぼくたち 仲良し仲間が
遊んでいた 時に 学んだ ことに ついての お話だよ。
だれかに できない ことを 無理に やらせようと するのは、
危険な 結果にも なり得るという ことなんだ。
ぼくたちの 牧場には、
流れの ゆっくりな 小川が 通っていた。
晴れている 時には、水に 入って 泳いだり、
周りの 原っぱで 遊ぶのが、みんな 大好きだった。
ぼくたちは 小川で 水を ばしゃばしゃ したり、
泳いだり したけど、ニワトリたちだけは、
小川には 近づかなかった。
すべって 水に はまりたくは なかったからね。
それで、はなれた 所で 遊んでいたんだ。
「ねえ、見て!」 馬の ビンゴが さけんだ。
「わたし、大きな 波を たてられるのよ。」
「うわーい、ホントに 大きな 波だね。」
アヒルたちは 上下に ぷかぷか ゆられながら、大喜び。
ネコたちと 犬の シドは、魚とり。
ハヤや タニシや カエルを つかまえてる。
ネコたちは ぬれないように やってるけど、
犬は そんなの お構いなし。
ぼくも、いっしょに なって 遊んだり するよ。
魚を とったり、波に ゆられたりね。
水が 深く なり過ぎたら
サッと まい上がって、木かげで 一休み。
ネコたちは、日なたの 原っぱで 遊んでいる
ニワトリたちを 大声で 呼んだ。
「こっちに おいでよ。いっしょに
魚とりを しよう。すごく 楽しいよ!」
「水に はまったりなんか しないよ。もし はまっても、
ビープビープみたいに、水から 飛び出せば いいんだ。」
それで、川べりから はなれて 立っていた
ニワトリたちは、思い切って そばに 来た。
「おいでよ、こわく ないから!
思い切って やってみれば、楽しいって 分かるよ。
水は、おそいかかったり しないから。」
そう 言って、用心深い ニワトリたちを しきりに さそった。
それで、ニワトリたちは そばに 来て、
川べりに 沿って 歩いた。
タニシや カエルの 卵を つついたり しているうちに、
気は ゆるんできた。
だけど、下流に 向かうに つれ、
流れが 速く なって きたんだ。
あまりにも 楽しくて、
ぼくたちは 危険に 気が 付かなかった。
すると 突然、仲間の ニワトリたちが、
水に 流されて しまったんだ。
「助けて!」 ニワトリたちが さけんだ。
「おぼれちゃうよー!」
ぼくは すぐさま、助けに 向かった。
シドも、ぼくに 続いた。
ぼくたちは 各々1羽ずつ、安全な 陸に 引き上げた。
すごく 大変だったけどね。
ぼくたちは みんな、ブルブル ふるえていた。
寒かったからじゃ なくて、こわかったからだよ。
それが どんなに 危険で、
何が 起こり得たかに 気付いたんだ。
ネコ:
「ニワトリさんたち、
本当に ごめんなさい。
ぼくたちが しつこく さそった せいで、
君たちは あわや お終いに なる とこだったよ。
ぼくたちには それぞれ、
できる ことと、できない ことが ある。
おたがいの 得意な ことを 尊敬するって ことは、
苦手な ことも 受け留めるって ことなんだね。」
シド:
「アヒルは 泳ぎが 得意で、カラスは 空を 飛べる。
犬も 泳げるし、ネコも 泳げる。
馬や 牛たちも みんな、泳ぐのは 上手だ。
だけど、ニワトリだけは、水は お手上げなんだ。」
ニワトリ:
「ぼくたち ニワトリは、みんなを 夜明けに 起こせるよ。
空は 飛べなくても、まい上がる ことは できるし。
1本足で じっと 立ってる ことだって、できるんだ。
だけど、泳ぎだけは、大の 苦手なのさ。」
シド:
「ぼくだって、みんなを 夜明けに 起こせるよ。
だけど、やっぱり あくびしてるだけの ほうが いい。
1本足で 立ってるなんて、とうてい 無理だし。
君たちが 1日中 してるみたいに、
虫を 食べるのだって、できっこ ないよ。」
ネコ:
「ぼくたちだって、1本足じゃ 立てないさ。
もちろん、空だって 飛べないし。
それぞれ できる ことに 目を 留めて、
たがいを 尊重し合う ことが 大切なんだね。」
ビープビープ:
それからは、みんな、その ことを 心に 留めた。
それぞれの 得意な ことと、苦手な ことをね。
おたがいの できる ことを 尊敬し、
するべきじゃ ない ことも 尊重する ことを 学んだよ。
すべきじゃ ない ことを 無理に しなくても、
それぞれの すぐれている 点に 目を 留めながら、
ぼくたちは 十分 楽しめるって、分かったんだ。