牧場の 仲間たちの お話:アヒルの 子と ヒヨコたち
アヒルも にわとりも、夏の 間に めすが 卵を 温めたがるのは めずらしい ことでは ありません。
ある夏、1羽の めんどりが 卵を 温めたがっていたので、わたしの 母は、にわとりと アヒルの 卵を 両方 めんどりに だかせました。最初は アヒルの 卵を めんどりの 下に 置き、その 1週間後に、にわとりの 卵も 置きました。これは、にわとりの 卵が かえるのに 21日 かかるのに 対し、アヒルの 卵が かえるのには 28日間 かかるためです。
アヒルは 卵を 温めている 時、エサを 食べたり 水を 飲んだり するために、1日に 少なくとも 2回ほどは 巣から はなれます。巣に もどる 前に、アヒルは 水の 中に 入ります。そうすると、巣に もどった 時に、ぬれた 胸が 巣の 中の 卵を ほどよい 湿気の 中で 暖かく 保てるからです。
めんどりも、エサを 食べたり 水を 飲んだり するために、1日に 何回かは 巣を はなれますが、水の 中には 入りません。巣に もどる 時、羽は かわいています。つまり、アヒルの 卵を めんどりに だかせる 時は、何かを しないと、そのままでは かえらないという ことです。それで、朝と 夜の 1日 2回、アヒルの 卵を めんどりの 下から 取り出して、室温と 同じ ぬるい 水に すばやく 卵を くぐらせ、そして めんどりの 下に もどすという 仕事を、わたしが していました。
28日目に なって、わたしたちは その日に 何が 起こるのか、ワクワクして 見ていました。まもなく、小さな ヒヨコと アヒルの ヒナが、卵を 割って 出てきました。2日も たたない 内に、めんどりは、2羽の アヒルの 子と 3羽の ヒヨコを 世話するように なっていました。
アヒルが 水の 中で 泳ぐのが 大好きなのを 知っている わたしたち 子供たちは、アヒルの 子が 卵から かえって 数日 たったころ、水の 入った たらいを 置きました。すると アヒルの 子は 水の 中に 入って、おおはしゃぎしました。いつでも 好きな 時に たらいに 入ったり 出たり しやすいように、たらいの ふちまで レンガを いくつか 積み上げて、階段を 作りました。水の 中からも 飛び出やすいように、たらいの 中にも レンガを 一つ 置きました。
アヒルの 子は 階段を かけ上がって、水の 中へ 飛びこみます。アヒルの 子が、それは 楽しそうに しているのを 見て、ヒヨコたちも、水の 中に 入ることに しました。レンガの 階段を かけ登って、ヒヨコたちも、水の 中へ 飛びこみました。けれども、もちろん、あわれな ヒヨコたちは 泳げません。すぐに しずんでしまうので、わたしたちが 水の 中から 助け出してあげなければ なりませんでした。
このことが あってから、わたしたちは たらいの そばに レンガを 置くのは やめました。結局 アヒルの 子には、浅い 入れ物を 用意しました。あやまって ヒヨコたちが 入っても おぼれないくらい 浅い ものです。ヒヨコたちも、二度と 泳いでみようとは しませんでした。アヒルの 子たちが 水の 中で 遊んでいる 時は、周りの 芝生で 走り回って 満足するように なったのです。
「各自は、主から たまわった 分に 応じ、また 神に 召されたままの 状態に したがって、歩むべきである。」(口語訳聖書、コリント人への 第一の 手紙 7:17)