牧場の 仲間たちの お話:小川
牧場の 仲間たちの お話を するには、両親の 農場を 流れていた 小川で いっしょに 遊んだ、すばらしい 友だちの ことを 話さない わけには いきません。春と 夏には、小川は わたしたちの 大好きな 遊び場に なりました。そこは、様々な 楽しい 学びの 機会で あふれていました。
小川には、小魚の 群れが いました。わたしたちは あの手 この手で 小魚を つかまえ、観察しては、また 小川に 放しました。小川の 底では、小さな 黒っぽい タニシも はい回っていました。夏は 特に、カエルの 卵の かたまりを 見つけ、それが おたまじゃくしに なる 様子を 観察するのが 大好きでした。おたまじゃくしが 日に日に 成長し、最後には カエルに なる 様子を、毎日 ながめた ものです。
小さな おたまじゃくしは、どんどん 丸く 大きく なり、しっぽを 上手に 使って 水の 中を 泳ぎ回ります。しばらくして 後ろ足が 出ると、まもなく 前足も 出ます。そして、最後には しっぽが なくなり、小川の 水の 中から 陸へと 上がって 来ます。小川の 土手では、かわいい 小さな カエルたちが、いっせいに そこら中を はね回り始めます。それは 見ていて、とても 楽しい ものでした!
小川の 周りの 湿地には、ザリガニや、トンボや、野ネズミの 巣も ありました。また、ヤナギの 木や 草地には、いろんな 種類の 鳥たちが 巣を 作っていました。小川は、喜びと 驚きと 教育の 場だったのです!
従順である ことも、教育の 一部でした。一番下の 弟が まだ よちよち歩きだった 時、わたしたちは 弟に その 小川を 見せたいと 思いました。「お願い、お母さん。弟を 小川に 連れて 行きたいの。きっと、そこが 大好きに なるわ!」
わたしたちが しきりに 頼むので、母は ついに 言いました。「じゃあ、いっしょに 小川を 渡ったり、水の 中に 入ったり しないと 約束するなら、いいわよ。」 それで わたしたちは 約束して、いそいそと 弟を わたしたちの 大好きな 自然の 学校に 連れて 行きました。
ところが 小川に 着くと、向こう側へ 行きたいという 誘惑が 大きく なりました。「わたしが この子の 腕を 持つから、あなたは 足を 持って。3数えたら、いっしょに 飛びこえるのよ! お母さんには 分かりや しないわ。」と、わたしは 言いました。
「1、2の3!」 そう 言って、わたしたちは 飛びはねました。ところが、あわてて 飛んだので、弟を 放して しまったのです。弟は 小川の そばに 落ちて、どろんこに なって しまいました。これでは、わたしたちが 約束を 守らなかった ことが、お母さんに バレて しまいます!
その 直後の ことは、思い出せません。ただ、その日の 午後の 昼寝の 時間には、いつもより 長く 休んで、言いつけを 守ることの 大切さを よくよく 考えて みるようにと 母に 言われた ことだけは 覚えています。
でも、その 出来事の せいで、何年もの 間 続いた、あの 大好きな 小川で 自然から 学ぶという 喜びが 台無しに なる ことは ありませんでしたよ!
「けものに たずねるが よい、教えて くれるだろう。空の 鳥も あなたに 告げるだろう。大地に 問いかけて みよ、教えて くれるだろう。海の 魚も あなたに 語るだろう。彼らは みな 知っている。主の み手が すべてを 造られた ことを。」(新共同訳聖書、ヨブ記 12:7-9)