マイ・ワンダー・スタジオ
ナンバの 岩
水曜日, 5月 27, 2020

ナンバの 岩

毎日 夕方に なると、7歳に なる ナンバは、大草原を 見下ろす岩の 上に 来る。右手には ジャングルが、目の前と 左手には、見渡す限り 大草原が 広がっていた。

 ナンバは、はるか 下の方に 見える 野生動物を ながめるのが 大好きだった。今日は、象の 群れが 草を 食べている。一頭の 小象は 母象の 鼻と じゃれて 遊んでいた。象の 耳は、まるで 大きな うちわのように ゆれながら、ゆっくりだが 堂々と 進む 巨体を あおいでいた。

 夕暮れ時は、ナンバの 大好きな 時間だ。大きな 金色の 太陽が 地平線の 向こうに しずみ始め、空が 栄光に 満ちた 色を 放ち始めると、ナンバの 胸は、言葉では 言いつくせない 興奮で 満たされる。

 その日は、雲一つない 快晴だった。美しい 金色の 輝きが 空いっぱいに 広がり、その真ん中に、太陽が 目に 見えない 糸で ぶら下がっているかのようだ。あざやかに 光を 放つ、完ぺきな 球体。それが 地平線の 向こう側に しずんでいく 様子は、まるで 地球に 飲みこまれていくようだ。

 何度 見に 来ても、日没は ナンバにとって、いつも 特別だった。空に 広がる すばらしい 色を ながめ、大草原が 静けさに 包まれるのを 見ると、神への 愛を いっぱいに 感じる。この 瞬間には、動物さえもが 偉大な 創造主である 神に 敬意を はらって、おしゃべりを やめるかのようだ。

 静かに すわっていると、今にも 創造主が 自分に 語りかける 声が 聞こえてきそうな 気が する。ナンバは、夕方の 新鮮な 空気を 胸いっぱいに すいこんだ。その 瞬間、ナンバは 偉大なる 創造主に 語りかけたいという 思いに かられた。

金色の 太陽が 地平線の 向こうに 消え去って 空が ピンクになり、そして 紫色に 変わると、ナンバは 大草原に 向かって 声を 上げた。「神様、そこに おられるのですか? あなたは どなたですか?」

 すると、とても おどろいた ことには、声が 返ってきたのだ。それは、まるで 風の 音のように 静かな 声だった。「そう、わたしは ここに いるよ。わたしが、偉大なる 宇宙の 創造主だ。わたしは 太陽を 造り、月を 造り、星を造った。すべての 植物と 動物、それに、君も 造ったんだよ。君を 愛している。そして、気づかっているよ! 君を 見守っているからね。もし 立ち止まって 耳を かたむけるなら、わたしは いつでも 君に 話しかけるからね。」

ナンバの 心臓は 興奮で 高鳴った。偉大な 創造主が 自分に 話しかけて くれるなんて、夢にも 思っていなかった。ナンバは ほほえんだ。とても 愛されているように 感じた。「神様、あなたが くださった すべての おくり物を 感謝します。太陽と 月と 星を 感謝します。」

上を 見上げると、太陽が しずんだ 後の 空には、一番星が キラキラと 輝いている。

 「大草原を 感謝します。ジャングルも 感謝します。動物たちや すずしい そよ風を 感謝します。それから、ぼくを 造ってくださった ことも、感謝します!」

ナンバは 立ち上がって、足を のばした。1時間以上も じっと すわって いたのに、すばらしい 時間は あっという間に 過ぎ去ったかのように 感じられた。

家へ 帰る 前に、ナンバは 今一度、大草原の 方に ふり返って 神に ささやいた。「すわって あなたの 創造物を ながめ、あなたに 話しかけられる この岩も、感謝します。じゃあ、また 明日!」

そう ささやくと、ナンバは 家族と いっしょに 夕食を 食べるため、家に 向かって 一目散に 走った。

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タグ: 子供のための物語, 神, 主との関係, 被造物