電卓チャレンジ
「午前中は、算数ドリルね。今週は ずっと、九九の 復習を してるんだけど、ジェンキンには 勝てそうに ないわ。」と、しおみが 友達の ティアに 言いました。
「そうね、ジェンキンは いつも 真っ先に 答えを 出しちゃうものね。」 ティアが うなずきました。「だけど、私も 今は、ほとんどの 答えが 分かるわ。ジェンキンみたいに 速くは ないけどね。」 「私も。まあ、一回くらいは 算数ドリルで 勝てると うれしいんだけどな。」
しおみと ティアは 席に 着いて、授業の 準備を しました。
まもなく、フィリップス先生が 教室に 入ってきました。「みんな、おはよう。いつもと ちょっと ちがう 算数の 授業を 始めるわよ。」 子どもたちは、待ってましたと 言わんばかりに、先生の 方を 見ました。「今日は、びっくりさせる ものが あるの。電卓よ! ティア、これを みんなに 配って もらえるかしら? 今日は、電卓の 使い方を 学ぶのよ。」
ほとんどの 生徒は、電卓を もらって わくわくしていました。が、この 新しい 計算機器を もらって、しずんでいる 男の子が いました。
ジェンキンは 電卓に 目を やりました。暗算で 足し算や かけ算を 解くことに おいては、彼が クラスで 一番です。でも、経験から いって、彼は 電卓を 使うことに おいては、あまり 速くないと 分かって いたのです。これから先、算数ドリルで 勝つことは できるのでしょうか?
「フィリップス先生、算数ドリルは 今までと 同じ やり方で 続けられますか?」と、ジェンキンが たずねました。「ドリルには 電卓は いらないと 思います。」
「いつも 電卓を 使うわけじゃ ないわ、ジェンキン。でも、電卓の 使い方を 練習するのは、大切な ことよ。暗算で 解けるのも いいけど、難しい 足し算では、電卓が 必要に なるもの。じきに 慣れるわ。」と 先生は 答えました。
でも、ジェンキンは なかなか 電卓に 慣れませんでした。それどころか、授業が 進んでくると、ますます 電卓の 使い方が 分からなく なりました。同級生達の ほうが、ずっと 速く 答えを 出し、みんな、電卓を 使うのを 楽しんで いるようでした。
ジェンキンは、電卓を 使った 算数ドリルでは、だれかが 答えを 言う 前に 式一つ 押し終えることさえ できませんでした。しおみも ティアも トッドも、電卓の ドリルでは みんな、一番に なる 機会が ありました。ドリルで 一番に なれないと いう 新しい 経験は、ジェンキンにとって 気落ちさせる ものでした。
その夜、ジェンキンの お母さんが、今日の 勉強は どうだったのと 聞きました。
「フィリップス先生が、ぼく達 みんなに 電卓を くれたんだ。」と、ジェンキン。
「それは 役に立つわね。なのに、どうして 浮かない 顔を しているの?」
「電卓を 使った ドリルでは、ぼく、1度も 勝てなかったんだ。」と ジェンキンが 答えました。「全部、他の 人達に 一番を 取られちゃったんだよ。ぼく、電卓の 使い方が 下手なんだ。あんなの、もらわなきゃ よかった!」
お母さんは ジェンキンの 肩に 腕を 回して なぐさめました。「ジェンキン、新しい ことを 学ぶのは、人生の 一部だわ。事実、大切な 部分なの。最初は すごく むずかしいように 思えてもね。お父さんと お母さんだって、いまだに 新しいことを 学び続けてるわ。知ってた?」
「だけど、お母さんに とっては 簡単なんでしょ。」と ジェンキンが 言いました。
「そうとは 限らないわ。例えば、以前 私は 料理が 得意じゃ ないと 思ってて、簡単な ものしか 作らなかったでしょ? でも 1年くらい前、そろそろ レパートリーを 広げて、もっと いろいろな 料理を 学ばなくちゃなぁって 気が 付いたの。大変だったけど、今では 何種類もの 料理が 作れるわ。」
「友達は いつも、お母さんの 作る 焼き菓子が 大好きだって 言ってるよ!」 思わず、ジェンキンが 声を 上げました。
「まあ、うれしい。でもね、もし 私が 無理だと 言って あきらめて いたら、そうは ならなかったでしょ。
新しい ことを 学ぶために 一歩 ふみ出すと、人は 成長する ものなの。才能を 伸ばしたり 増やしたりする ことは、大切なのよ。それによって 人生は もっと 豊かに なり、結果として より 大きな 幸せに つながるんだし。イエス様に とっても、新しい 方法で 私達を 用いる 機会が 増えるわ。
よかったら、放課後、電卓の 練習を 手伝って あげるわよ。いったん 慣れて しまえば、だんだん 速く なるし、そうなれば 楽しく なるわよ。やって みない?」
ジェンキンは、お母さんが 手伝って くれると いうので、うれしく なりました。2人は いっしょに 祈り、それから 電卓で 算数の 問題を 解く 練習を しました。2,3日 たつと 電卓を 使うのが 簡単に なってきて、ジェンキンは お父さんと いっしょに、電卓に ある 他の 機能の 使い方を 試して みるのを 楽しむほどに なりました。ジェンキンは、長く 複雑な 式を 解く 時には 電卓が とても 役に 立つと いうのが、よく 分かりました。
ジェンキンは、今でも 暗算で やる 算数ドリルが 好きですし、ふつうは 一番です。電卓を 使うことに 関しては、クラス一 速い わけでは ありませんが、楽しく 使えるように なりました。また、電卓を 使った ドリルで 同級生が 勝った 時に ほめて あげるのが 楽しい ことにも、気が 付きました。
● あなたには、苦手な 科目が ありますか? または、勉強しなくて 済んだら いいのにと 思うような 学科は ありますか?
● 歴史上、困難な 課題や 状況を 克服したり、むずかしい 技を 身に 着ける ことによって、偉業を 成し遂げた 人を 思い出して みましょう。