マイ・ワンダー・スタジオ
ビリーと 仲間達 : ビリーと 破られた 約束
水曜日, 1月 27, 2021

ビリーと 仲間達:ビリーと 破られた 約束

親愛なる ウサギの ビリーへ、

春の 第1週目の 最初の 日に、ぼくの たん生パーティーが あるので ご招待します。

愛を こめて、

ハリネズミの アレックスより

 お母さんが この 招待状を 読んでくれた 時、アレックスは 朝食を 食べていました。

 「そういえば、もうすぐ アレックスの たん生日だったんだ。楽しみだなぁ! アレックスは きっと、かっこいい おもちゃを プレゼントに もらうだろうなぁ!」

 「ビリー。」 お母さんウサギが 言いました。「もし 行きたいなら、RSVPを しなくちゃ。もう 5日しか ないわよ。」

 「R-S-・・・何だって?」と ビリー。

 「『レポンデ・シル・ヴ・プレイ(Repondez, s'il vous plait)』という フランス語の略よ、ビリー。『この 招待状に 返事を ください』っていう 意味なの。」 お母さんが 説明してくれました。

 「ふぅん。」 ビリーは ほほえみました。「今日 学校で アレックスと 会った 時に 返事するよ。」 お父さんと お母さんに 手を ふると、ビリーは 朝の 陽ざしの 中へと 飛び出していきました。

 グリーンシャイア・スクールに 行く 道は、早朝の 陽ざしが 当たるころは 特に 美しい 所でした。ビリーは 学校へ 行く とちゅうの 道を 楽しむため、朝は できる限り 早く 家を 出るように しているのです。

 「ビリー、ビリー!」 左の 方から 興奮した 声が します。アナグマの スモグルでした。

 「ねぇ、聞いてよ!」と スモグル。

 スモグルの まじめそうな 声に、ビリーは 笑って 答えました。「どうしたの、スモグル?」

 「お父さんが、松サーフィンのために 新しい フライシュートを 買ってくれたんだ!」

 ビリーは、それなりの おどろきを 表しながら 言いました。「ぼくも 乗って いい?」

 「もちろんさ。」と、スモグルが 気取って 言いました。「来週の 木曜日にね!」 アナグマ団地に 向かいながら、肩ごしに スモグルが 言い残して 行きました。

 (アレックスの たん生パーティーの 日だなぁ。) ビリーは そう 思いましたが、そのことについては 考えないことに しました。「こういった ことは、いつも うまく いくものさ。」と、ビリーは 独り言を 言いました。

 ビリーは 学校に 着くまでの 道、うれしくて ずっと にこにこしていました。その日の 午後、ハリネズミの アレックスと いっしょに お弁当を 食べましたが、スモグルの フライシュートに 乗れることで 頭が いっぱいで、その日の 朝 受け取った アレックスの たん生パーティーへの 招待状のことは、すっかり 忘れていました。

 「ビリー。」 アレックスが 心配そうに たずねました。「ぼくの たん生パーティーの 招待状、受け取った?」

 「ああ、そうだった。」 ビリーは 自分の 額を たたいて 言いました。「うん、受け取ったよ。返事するの、忘れてただけなんだ。もちろん 行くよ。」 (その前に ちょっと フライシュートを やる 時間くらい、あるさ。)と ビリーは 思いました。

 「よかった。」 アレックスは ほっと ため息を つきました。「人が たくさん いると、ぼく、きんちょうしちゃうんだ。自分の たん生パーティーでもね。親友の 君が いてくれるって わかって、うれしいよ。」

 数日が あっという間に 過ぎ去り、いよいよ アレックスの たん生パーティーの 日に なりました。ビリーは、アレックスの 家に 向かう とちゅうの 木かげの 道を 歩いていました。そこへ スモグルが、大きな 音を 立てて 舞い降りて 来ました。「君の お母さんに、アレックスの 家に 向かってるって 聞いたから、この辺に いると 思って 来たんだ。」 スモグルは フライシュートに 乗っていました。確かに、すごい 仕掛けの 乗り物です。ビリーは 生まれて このかた、こんなに すごい 装置は 見たことが ありません。「乗れよ。」と スモグルが 言いました。

 ビリーは 太陽を 見上げました。まだ 早い 時間です。松サーフィンを する 時間は 十分 あるでしょう。それに、少しくらい おくれたって、アレックスは わかってくれるでしょう。ビリーが どんなに フライシューティングが 好きか、知っているのですから。

 ビリーが ついに アレックスの たん生パーティーに 姿を 現したのは、午後の かなり おそい 時間でした。事実、来た お客さんは もう 帰ってしまったようです。アレックスは、一人で かしの木 オールド・グラングルの 根元に 座っていました。低い 枝々には かざり用の リボンが かかっていて、その下には プレゼントの 山が ありました。後ろに あるのは、特に 大きくて ピカピカ 光っていました。ビリーは そばまで 来ると、思わず 「すごい!」と 息を のみました。アレックスも、フライシュートを もらっていたのです! それに、アレックスのは スモグルのよりも、すてきにさえ 見えます。

 「ぼく、お楽しみを 全部 のがしちゃったの?」 ビリーは、何も なかったかのような そぶりで 言いました。何とかして、アレックスが 彼の 新しい フライシュートに 乗ろうと さそってくれないかと 願っていたのです。

 アレックスは、座ったまま 顔を あげました。悲しそうな 顔を して、目は なみだぐんでいます。「来てくれるって、言ったじゃ ないか。」 か細い 声で、アレックスが 言いました。

 「あぁ・・・。」 ビリーは 言葉に つまりました。急に、自分が とても はずかしくなりました。「スモグルが 来て、断り切れなかったんだ・・・。だけど、今 来たよ。まだ そんなに 暗くないから、遊べるよ。」

 「いや、いいよ。」 アレックスは きっぱりとした 声で 言いました。「今は、一人で いたいんだ。」

 「じゃあ、明日は どう?」と ビリーが たずねました。

 でも、アレックスは すでに 家に 向かって 歩き始めています。ビリーの 言ったことが アレックスに 聞こえたか どうかは、わかりません。

 その後の 何日間というもの、アレックスは ビリーを さけているように 思えました。昼食の 時間も、ふつう いっしょに 座る テーブルには 来ないし、授業中も、アレックスは 教室の 一番 前の、リーマス先生の 真ん前に 座っています。こんなこと、今まで アレックスは したことが ありません。

 ビリーは 悲しく なりました。ビリーが パーティーに 来てくれるのを 当てに していると アレックスが 言っていたのに、ビリーは 約束を 破って 友達の 気持ちを きずつけてしまったと わかっていました。ビリーは、どうしたら 仲直りできるか わかったらなぁ、と 思いました。

 さて、文化祭の 日に なりました。生徒達は みんな、アクアデア滝への 遠足のために 募金集めを していました。レモネードを 売ったり、おいしそうな ごちそうが どっさり 並んだ お店で クッキーを 売ったり している 生徒も いました。

 アレックスは 「手製の 羽ペン」と 書かれた 看板の お店に 一人で 座っていました。今まで、文化祭では アレックスと ビリーは いつも いっしょに お店を やっていました。けれども アレックスは、ビリーが スモグルの フライシュートの お店で チケットを 売っていたと だれかが 言っているのを 耳に しました。アレックスは ビリーが いなくて さびしく 感じていましたが、あの たん生パーティーの 時に ビリーが 約束を 守らなかったことで、未だに 気持ちは きずついたままでした。アレックスは ため息を ついて、お店の テーブルの 上に 頭を のせていました。

 「やぁ、アレックス。」 ビリーらしい 声が しました。アレックスが 目を 開けてみると、確かに ビリーでした。

 「ぼく・・・あのね・・・。」 ビリーは ほおを 赤らめながら 言いました。「君の お店を 手伝っても いいか、聞きたかったんだ。」 アレックスが 何も 言わないのを 見て、ビリーは きんちょうした 面持ちで 話し続けました。「それから、ぼく、この前 約束を 守らなかったことを、あやまりたかったんだ。友達なのに、君の 気持ちを きずつけちゃって、ごめんね。でも ぼく、君が いないと さびしくて、また 友達に なってほしいんだ。」 「わかったよ。」 アレックスは そう 言って、友達が もどって来たことを とても 喜んでくれました。そして、文化祭の 後半も ずっと 一人っきりで 座っていなくて いいことで、さらに うれしく 思いました。

 二人は たくさんの 羽ペンを 売ることが でき、明日は 丸1日、いっしょに フライシュートを することにしました。

 「絶対に 行くからね。」 ビリーは、そう 約束しました。ビリーには 学ぶのが つらい 教訓でしたが、今では、約束を 守ることの 大切さが わかって、うれしいと 思っています。

終わり

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タグ: 子供のための物語, 友情, ビリーと仲間達, 頼りになること