聖書ミニワールド:王女と 赤ちゃん
古代エジプトの 国で あった お話です。ある日の こと、小さな かごが、ナイル川の 水面を ただよって いました。
川の 流れに ゆっくり おされ、かごは ゆらゆらと、エジプトの 王女が 水浴びに やって来る 川岸に 近づいて来ました。
この お話は、聖書の 出エジプト記の 1章8節から 2章10節までを もとに しています。
エジプトでは、ヘブライ人が エジプト人の どれいとして、重労働を 強いられていました。れんがを 作ったり、エジプト人のために 建物を 建設するなどの 過酷な 仕事でした。
やがて その 小さな かごは、水辺の 階段の 下で 止まりました。
王女の 侍女が、一体 何だろうと 思って、かごに 近づいて来ました。
侍女:王女様、川に 小さな かごが 浮かんでいます。
ヘブライ人の 数は、赤ちゃんが 生まれるたびに どんどん 増えていきました。エジプトの 王様 ファラオは、ヘブライ人の どれいが あまりにも 増えて、そのうち 反乱を 起こすのでは ないかと 心配しました。それで、ヘブライ人に 生まれた 男の 赤ちゃんは 一人残らず、川に 投げこんで しまうようにと 命令しました。
「一体、何なのかしら。」と、王女は 侍女に 言いました。
「何か 入っているようです、王女様。泣き声が 聞こえます。小さな 動物か 何かでしょうか。」と、侍女が 言いました。
王女:何なの?
侍女:開けて みましょうか?
その 一方で、若い 少女が ヨシの 茂みの 中から、その 様子を じっと うかがっていました。その 少女は ミリアムという、ヘブライ人の どれいの 娘でした。ミリアムは、赤ちゃんの お姉さんでした。
侍女は 注意深く、そうっと 水の 中に 入りました。かごに 手を のばし、そっと ふたを 開けてみると・・・なんという ことでしょう、かごには、小さな 赤ちゃんが 入っていたのです。
侍女:王女様、赤ちゃんです!
「まあ、何て かわいらしい 赤ちゃんだこと! わたしを 見て、笑ったわ。」と、王女。
「何て 呼んだら いいかしらね?」と、王女が 言いました。
「赤ちゃん、は どうでしょうか。」と、侍女。
「そうじゃ なくて、名前よ。赤ちゃんは、名前じゃ ないわ。水の 中から わたしが 引き上げたから、モーセに しましょう。」と、王女が 言いました。
王女:モーセ、わたしの かわいい 赤ちゃん!
侍女:かごは、どう いたしましょう?
ヨシの 茂みに かくれていた ミリアムは、大喜びで この 様子を 見ていました。「神様、赤ちゃんの 弟を 救ってくださって、感謝します!」
ミリアム:(神様は、弟のための 祈りに 応えて くださっているわ!)
「さあてと。赤ちゃんに お乳を あげて 世話してくれる 人を 見つけないと いけないわね。」と、王女が 言いました。
すると、ヨシの 茂みに かくれていた 少女ミリアムが、さっと 出てきて 言いました。「王女様のために、赤ちゃんに お乳を やって 世話してくれる ヘブライ人の 乳母を さがして参りましょうか?」
王女:赤ちゃんの 世話を してくれる 人が 必要ね。
ミリアム:王女様、わたし、乳母を 知っています。
まもなく すると、ミリアムは お母さんの ヨケベデと いっしょに もどって来ました。そして 王女は ヨケベデに、赤ちゃんの モーセの 世話を 頼んだのでした。
王女は 言いました。「わたしのために、この 赤ちゃんの 世話を お願いします。赤ちゃんの 名前は、モーセです。毎日 王宮に 来て、わたしを 手伝ってください。」
何と すばらしい、神様の 奇跡的な 保護でしょうか! 赤ちゃんの 命が 救われたばかりか、赤ちゃんの 本当の お母さんが、王女の 保護の もとで、赤ちゃんを 世話するようにと 頼まれたのですから。
ヨケベデは 数年間、王女に 代わって 赤ちゃんの モーセの 世話を しました。ミリアムも、母親と いっしょに よく 王宮へ 行き、弟の 世話を 手伝いました。
王女は ヨケベデに 親切でした。そして、養子にした モーセを 心から 愛して くれました。
王女:愛してるわ、わたしの かわいい モーセ!
モーセは 成長し、ファラオの 王宮で、王子としての 訓練を 受けます。神様は 将来、モーセが 大人に なったら、モーセの 仲間である ヘブライ人を どれいの 身分から 救い出すと いう、特別な 任務を 計画して おられましたが、それは また 別の お話に なります。・・・
ネコには 今、ステキな ベッドが あります。そして、ミルクを 飲んだり、モーセと 楽しく 遊び回ったり したのでした。