マイ・ワンダー・スタジオ
川に 現れた トラ
火曜日, 3月 24, 2015

川に 現れた トラ

 「体を 低くして、モーバ! いい 子だ!」 ビルマ人の 少年 ディーディーは、自分の ゾウの 背中に よじ登り、頭を やさしく ポンポンと たたきました。

 ディーディーは、ゾウの モーバが 赤ちゃんだった 時から 調教してきました。アジアゾウの モーバは、いとこの アフリカゾウほど 大きくは ありません。モーバは、おとなしくて やさしい ゾウでした。みんな、モーバが 村に 来ると 喜んでくれました。モーバを こわがる 人は、だれも いません。ディーディーが きちんと 調教してきたので、モーバは まちがって 物や 村人を ふんでしまったり する ことも ありません。

 「今日は 川に 行くよ、モーバ。水浴びが 必要だからね。」

 モーバは、川に 行けるのが うれしくて、いそいそと 林の 中を 通りぬけて いきました。長い 鼻を 持ち上げて、パオーッと 音を あげました。

 モーバが 森の 中を 進むと、周りに いた 鳥たちが 木々の 間から 飛び立ち、上の 方に いる サルたちは、キャッキャと さわぎました。モーバは 早く 川に 行きたくて、どんどん つき進んで行きました。そして、ついに 川に 着きました。モーバは 鼻を 持ち上げて、3回、パオーッと 音を あげました。

 「わーい、水だー!」 ディーディーは 笑いながら、うれしそうに さけびました。モーバが うれしい 時は いつも、ディーディーまで うきうきしてきます。

 モーバは 水の 中に ザブザブと 入って行って、長い 鼻で 水を 飲み始めました。

 ディーディーは、自分の 大切な ゾウを 洗い始めました。そして、体に こびりついた どろや 小さな 虫を 洗い落としました。その間 モーバは、めいっぱい 水を バシャバシャして 楽しんでいました。

 ふと、ディーディーは、鳥たちが みんな いっせいに 静かに なった ことに 気が 付きました。それで、すばやく 林の 方を 見渡しました。鳥たちが 飛び去り、サルたちが さわいで 木の 高い 方へ 登っていくのは、トラが 近づいている しょうこだと、父親から 教わっていました。

 ディーディーの 心ぞうは、ドキドキし始めました。モーバも、鼻を 右に 左にと ふり始めました。落ち着かず、移動したい 時には、そう するのです。

 「よしよし、モーバ! だいじょうぶだからね。落ち着いて。」 そう 言いながら、ディーディーは モーバの 鼻を やさしく たたきました。

 ディーディーは モーバの 背中に よじ登って、ジャングルの 中を もっと よく 見ました。すると、川の 向こう側の 林の 中で、何かが 動いています。でも、それが 何かは よく 見えません。

 (おそらくは、ケガでも した サルなんだろう。)と、ディーディーは 思いました。ですが、ちがいました! うなり声が 聞こえます。サルは うなりません!

 ディーディーは こわく なりました。それで、こういう 時に するようにと 父親から 教わった ことを しました。お祈りを したのです。「イエス様、どうか、モーバや ぼくに、何も 起こりませんように。モーバが こわがりませんように。」

 トラは 水を 飲もうと して、近づいてきました。けれども、モーバと ディーディーが 川の 真ん中に いるのに 気付いて、立ち止まりました。トラは、非常に お腹が すいている 時には、ゾウに おそいかかる ことも あります。この トラが お腹を すかせて いるのか どうか、ディーディーには 分かりません。

 トラは、ディーディーたちが 水から 出て行くのを 待っているように 見えました。ディーディーは、モーバが どのくらい しんぼう強く 待てるか、分かりません。「イエス様、どうしたら いいですか?」

 (モーバの 背中に 立ち、両手を ふり上げて 助けを よびなさい。) ディーディーは、心の 中で 静かに そう 言う 声を 聞きました。

 ディーディーは こわかったけれど、その 声の 言うように、両手を ふり上げて 助けを さけび求めました。すると、トラが 立ち止まりました。それと 同時に、モーバも 鼻を けたたましく 鳴らし始めました。

 村人たちは この さわぎを 聞き付け、手に手に こん棒や なべかま類を 持ち、たたいたり 大声で さけんだり しながら、川に 向かって 走って来ました。村人たちが 近づくと、さけび声や なべかま類を バンバン たたく 音も 大きく なり、トラは ついに、村や 川や ディーディーや モーバたちとは 反対の ジャングルの 中へ、にげて行きました。

 ディーディーは 村人たちに、トラが 川に やって来たんだと 話しました。

 「だけど、お祈りしたら、イエス様が トラから ぼくたちを 救い出してくださったんだよ。ぼくは ただ、イエス様が 教えてくれた ことを しただけなんだ。」

 ディーディーは、神様が モーバと 自分を 守ってくださったので、うれしく なりました。もし また トラに 出会ったら、ディーディーは どう すると 思いますか? きっと、祈るでしょう。

 村人たちが みんな、村の 仕事を するために もどって行くと、モーバも ゆっくりと 水の 中から 上がって、家へ 帰り始めました。

 ディーディーは 楽しそうに 鼻歌を 歌いながら、モーバに 乗って ジャングルの 中を 帰って行きました。神様を 愛し 助けを 求める 人たちには、神様が すばらしい 助けと 助言を 送ってくださるんだなあと 考えながら。

 村に 近づくと、ディーディーは モーバの 頭を やさしく たたいて 言いました。「おいで。えさを あげるからね。」 ディーディーが モーバに 干し草を あげると、村の 子どもたちが 早速 ディーディーの 冒険話を聞 こうと、周りに 集まってきたのでした。

終わり

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タグ: 祈り, 神の世話と保護