マイ・ワンダー・スタジオ
カシの木
水曜日, 2月 18, 2015

カシの木

 「こんにちは、太陽さん。」 土の 中から 頭を もたげた 小さな 若木が 言いました。「わたしは いつか、大きくて 美しい カシの木に なるの。とっても 大きな 木に なって、鳥が えだに 巣を 作ったり、リスが みきを かけ登ったり おりたりするように なるのよ。人々が わたしの 根元に 来て 休んだり、たくさんの 生き物が しげみに かくれるように なるわ!」

 小さな 木は、若くて 元気いっぱいでした。けれども、やがて 若木は、成長するのが 思ったほど たやすくは ないことを、身をもって 知ることに なります。

 若木が まだ わずか 30センチほどしか なかったころ、ある家族が この 野原に ピクニックに やってきました。ピクニックの ランチを 食べ終えると、小さな 女の子が 花を つみ始めました。若葉の ついた 小さな くきを 見ると、お父さんが、それは まだ 大きくなる とちゅうだから、ぬかないようにと 言いました。

 「命拾いして、よかったね。」  ほほえみながら、太陽が 言いました。「ところで…」と 太陽が 付け加えました。「まもなく、君は わたしの あたたかさを あまり 感じなくなるだろう。夏が 終わって、冬が 来るんだ。冬が 来たら、ぼくの 兄弟の 風と、姉妹の 雪と 霜に 会えるよ。春に なったら、また 君を あたためてあげるからね。」

 若木には 一体 冬が どんな ものなのか、見当も つきませんでしたが、だんだんと 分かってきました。やがて、強い 風が ふき始めたのです。

 「ヒュー、ヒュー、ヒュー」と、風は うなり声を あげました。

 「あなたは だれ?」 若木は おそるおそる たずねました。「どうして 意地悪するの? 少ししか なかった 葉が、全部 なくなっちゃったわ!」

 「ぼくは、風。太陽の 兄弟さ。べつに、意地悪してる わけじゃ ないよ。葉を 落とすのは、生きる ことの 一部なんだ。今 葉を 落としておかないと、雪や 霜が やってきた 時に 生きのびれないからね。こわがらなくて いいんだよ、おチビさん。君が 元気いっぱいで、生きのびる 決心を しているなら、もっと 強くしてあげるからね。」 風は やさしく 言いました。

 「それなら、お好きなだけ ふいて ちょうだい!」 安心した 若木が 言いました。若木は、大きくて 強い カシの木に なりたかったのです。

 まもなく、風が 言っていた通り 冬が やって来て、霜や 雪が、地面や 若木の えだを おおいました。

 「一体 どうやって 冬を 生きのびたら いいの?」 小さな 木は 心配に なりました。まもなく 若木は、つかれはてて ねむってしまいました。

 何か月かが すぎ、ふたたび 太陽が 地面を あたため、若木を 目ざめさせました。春が 来たのです。冬の間、若木は 大きくは なりませんでしたが、前より ずっと 強くなっていました。若木は あたたかい 日ざしを あびて、えだを いっぱいに のばしました。雨が ふった 時には、地面に 落ちた 雨つぶを いっぱい すい上げました。

 ある日のこと、シカが 野原に 生えている おいしい 草や 植物を むちゅうに なって 食べながら、こちらに やって来ました。そして、この若木の 葉や えだも 食べ始めたのです。が、若木には、シカを 止める すべが ありません。

 「まぁ!」 おれた えだを 見て、若木は なきさけびました。

 太陽が やさしく 若木を てらしました。「あきらめちゃ いけないよ。えだや 葉は、また 生えてくるからね。しんぼう、しんぼう。」

 雨が ふり、若木の まわりの 地面を やさしく ぬらしました。太陽は、いやしの 日光を 投げかけました。やがて、若木は 元気を 取りもどしました。

 (そうよね、がんばるのよ。) 若木は 心に 決めました。

 ふたたび 冬が やって来た 時には、若木は かなり 大きくなっていました。今度は、風や 雪や 霜も こわく ありません。夏の 間に 一生けん命 大きくなったので、一休みできる ことを、 返って うれしく 思いました。季節の うつりかわりが りえきを もたらしてくれる ことが 分かったからです。そのようにして、一年が たつごとに、小さな カシの木は 高さも まし、けいけんも ゆたかに なっていったのです。

 100年が すぎ、カシの木は、長く すばらしい 時を 生きてきました。たくさんの 子どもたちが えだに 登り、楽しく 遊びました。動物たちに 住みかや 食べ物を あたえ、まわりには 新しい 命を め生えさせ、それらの 若木や 植物を 風や 雨から 守ってきました。

カシの木は、神様の ご計画を 全うしたのでした。

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タグ: 子供のための物語, 成長すること