マイ・ワンダー・スタジオ
アヒルの 子と 丸太
月曜日, 3月 10, 2014

アヒルの 子と 丸太

 ある 静かな 池の ほとりの 小さな 巣の 中で、アヒルの お母さんが 卵を 温めていました。お母さんアヒルは、来る 日も 来る 日も、卵が かえるのを 待っています。そして、ついに その 日が やって来ました。かわいらしい、ふかふかの 黄色い アヒルの 子が、一つの 卵の 中から 飛び出してきました。続いて もう 一羽、また 一羽と、卵は かえりました。三羽の かわいらしい アヒルの 子を 見て、お母さんは 大喜びです!

 最初、アヒルの 子たちは よい 子で、お母さんの 言いつけも よく 聞き、なかよく 遊んでいました。ところが、しばらく たつと、三羽の アヒルの 子たちは、お母さんの 言いつけを 守る ことよりも、自分勝手な ことを したがるように なりました。そして、ケンカばかり するように なってしまいました。お母さんアヒルは、困ってしまいました。かわいい わが子たちが、今では みにくい 争い事ばかり しているなんて!

 ある 晴れた 日の ことです。お母さんアヒルと 子どもたちは、近くの 沼へ 行く ことに なりました。出かける 前に、お母さんアヒルは 子どもたちに、その 沼には 危険が あるけれど、ちゃんと お母さんの そばに ついているなら だいじょうぶだと、言って 聞かせました。

 水辺まで 来ると、アヒルの 子たちは こうふんを おさえきれませんでした。

 「見て、たくさんの 丸太が 水に ういているわ。乗っかって 遊んだら、きっと おもしろいわよ。」 いちばん 小さな アヒルの 子が 言いました。

 「丸太の 上になんか、乗れるもんですか。歩いてても つまずいてばかり いるのに。」 そばの 一羽が クスクス 笑いました。

 「あなただって、うまく 乗れるとは 思わないわ。」 もう 一羽が つぶやきました。

 「お母さん、丸太の ところに 行っても いい?」 一羽が たずねました。

 「まずは、沼の 向こう側まで 行ってみましょう。安全か どうか、確かめるのよ。ついてらっしゃい。」

 お母さんアヒルは 水の 中に 入り、できるだけ 丸太から はなれて 泳ぎました。一羽が お母さんの すぐ 後に 続きます。もう一羽は 後から のろのろ ついて 行きました。けれども、いちばん 小さな アヒルの 子は、一人で 池を 探検する ことに しました。

 (お母さんに ついて行くなんて、たいくつだわ。わたし、探検して来ようっと。) そう 考えたのです。

 そして、のろのろ ついて行く もう 一羽の アヒルの 子を よびました。そして 二羽は、丸太だと 思っていた ものに 向かって 泳いで行きました。ところが、そばまで 行くと、その 丸太が 動き始めたのです。

 「うわ、これ 何!?」 一羽が さけびました。

 「そんな 気の 小さな こと 言わないでよ。水の 流れで 丸太が 動いているだけじゃ ない。」 もう 一羽が 言いました。

 けれども、それは ちがっていました。アヒルの 子は、昼ねの じゃまを されて おこっている 意地悪そうな ワニと、顔と 顔とを つき合わせてしまったのです。

 「お母さん、お母さん! 助けて!」 二羽は 大声で 泣きさけびました。そして、無我夢中で 岸に 向かって 泳ぎ始めました。

 カプッ! ワニの じょうぶな あごが、大きな 音を たてました。

 ぎりぎりの ところで、二羽は 沼から 上がる ことが できました! ワニは、追いかけるのも めんどうだと、ゆっくり 向きを 変えて、沼の 中に もどって行きました。

 お母さんアヒルが まい子の 子どもたちを 見つけた 時、二羽は 体中、 ブルブル ふるえていました。

 「道草して ごめんなさい。自分は よく わかっているなんて、ぜったいに 思うべきじゃ なかったわ。」 いちばん 小さな 子が、べそを かきながら 言いました。

 「わたしも。」 もう 一羽も 言いました。

 「二羽とも 無事で、本当に よかったわ。言いつけを 守るのが どんなに 大切な ことか、分かってくれたかしら。あなたたちに 何か あったら、お母さんは とっても 悲しくなるもの。」

 「もう ぜったいに 勝手な ことを しないって、約束します。」 アヒルの 子たちは、声を そろえて 言いました。

 その 日からと いうもの、アヒルの 子たちは、お母さんの 言う ことを ちゃんと 聞き、従うように なりました。そして、大きく なるまで、とても 幸せな 日々を いっしょに くらしました。その 後は、自分の 子どもたちにも、従う ことの 大切さを 教えたのでした。

教訓:神様は、聞き従う ことを 祝福してくださいます。言いつけを きちんと 守るなら、神様は あなたを 危険から 守る ことが できます。ですから、ほかの 人に 対して やさしく し、言いつけは 守りましょう。正しい ことを していれば、とても 幸せな 時が 過ごせますよ。

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タグ: 子供のための物語, 従順