マイ・ワンダー・スタジオ
つやつやの ブラックベリー
火曜日, 4月 21, 2015

つやつやの ブラックベリー

 ペネロープは、知りたがり屋で ぼうけん好きな、元気いっぱいの 女の子です。

 ある 晴れた あたたかい 朝、ペネロープは わくわくしながら 目を さましました。ずっと、この 時が やって来るのを 楽しみに していたのです。ついに、しゅうかくの 季節が やって来ました。木々は おいしそうな くだものを つけ、青々と しげった ベリーも みずみずしい 実を 一面に つけています。すべてが ステキでした! 今日から、みんなの 大好きな 仕事が 始まります。近くの 森から、くだものや ベリーを 集めてくるのです。

 ここ 数週間の 間、ペネロープは 友だちと いっしょに、この 季節に そなえ、せっせと 新しい カゴを 編んできました。毎年 秋が 近づくと、しゅうかくを 楽しみに しながら、このように カゴを 用意するのです。村の 少年たちは、男の 人たちの 狩りに ついて行きます。そして、ハチの 巣から はちみつを 集めてきます。少女たちも、食べ物さがしに 出かけます。そして、集めてきた 食べ物を、これから 何か月もの間 たくわえておけるように、お母さんたちが 調理したり 干したりして 保存食を 作るのを 手伝います。

 「みんな、いらっしゃい。川で 顔を 洗って、いそがしい 1日に そなえるのよ。」と、ペネロープの お母さんが 言いました。子どもたちは ベッドから はい出て、川の 土手に 走っていきました。毎朝の ことながら、子どもたちは 今朝は かくべつに 熱意が こもっています。朝食を 終えると、手早く 身の 周りの 雑用を すませました。早く 仕事を 始めたくて、うずうずしているのです。

 村の 広場には 石で できた 小さな 記念ひが 立っていて、石や 草木で 囲われています。ペネロープは そこで 友だちと 落ち合いました。みんな、苦心して 編んだばかりの カゴを 持ってきています。簡単に あいさつすると、くだものの 木や ベリーの しげみが たくさん ある 場所へ 向かいました。

 「わたしは、ここから 始めるわ。」と、一人が 言いました。

 「じゃあ、わたしは そこから。」 もう 一人も 言いました。みんな、別々の 木や しげみを 選んで、せっせと 実を つみ始めました。

 「キイチゴから 始めようっと。」 ペネロープは、見渡す限り ずっと 続いている キイチゴの しげみに 向かいながら、ひとり言を 言いました。

 食べられる くだものや ベリーも あるけれど、食べられない 実や ベリーも あることを、ペネロープは お母さんから 聞いていました。毒の ある 植物や ベリーや 実が あるのです。食べても おいしくないだけの ものも ありました。最初、ペネロープの お母さんは いつも 子どもたちと いっしょに 来て、取って いい ものと、取っては いけない ものを 教えてくれました。けれども、みんな 大きく なったので、お母さんは 子どもたちに 仕事を 任せたのでした。

 お母さんは、ほとんどの ベリー類は 食べられるけれど、黒くて つやつやした ベリーは 決して 食べては いけないと 言いました。ペネロープは ずっと、その ベリーは どんな 味が するんだろうと 思っていました。食べても 大した 害には ならないだろうと 思ったのです。

 ペネロープは、見つけられる限りの ベリーを 全部、つんでいきました。すると、お母さんが 取っては いけないと 言っていた、つやつやした ブラックベリーが ありました。(一つぶだけなら、食べても だいじょうぶよね? お母さんは きっと、気付かないわ。それに、すごく おいしそうなんだもの。毎年 見るたびに、食べたくなってしまうわ。もしかしたら、だれも 食べたこと ないんじゃ ないかしら? おいしい ベリーを 食べそこねているのかも。それに しても、おいしそうだわ・・・)

 ペネロープは、その ブラックベリーを 一つぶ 手に 取って、よく 見てみました。そして、口の 中へ 放りこんでしまいました。別に、悪い 味では ありません。ペネロープは、もう 一つぶ 食べてみる ことに しました。そして、次から 次へと、食べてしまいました。けれども、友だちには だれも その ことを 話さず、だまっていました。

 楽しく 長い 1日が 過ぎ、太陽が しずみ始めたので、子どもたちは 家へ 帰り始めました。けれども このころまでには、ペネロープは すごく 気分が 悪くなっていました。(やっぱり、あの ブラックベリーを 食べなきゃ よかった。気分 悪いなぁ。それに、どんどん ひどく なってくるわ。お母さんに、何て 言ったら いいんだろう?)

 ペネロープは 家に 着くなり、お母さんに 言いました。「お母さん。お母さんが 食べちゃ いけないって 言ってた、あの ブラックベリーを 食べちゃったの。それで、すごく 気持ち悪く なっちゃったの! 言いつけを 守らなくて、本当に ごめんなさい。」

 「まぁ、大変。ちゃんと 教えてくれて、うれしいわ。気分が 悪くて かわいそうに。あの ブラックベリーは、食べると おなかを こわすの。だから、食べちゃ いけないって 言ったのよ・・・。」 お母さんは 心配そうに 言いました。

 その後 何日も、ぺネロープの おなかは いたみました。お母さんが 家族のために おいしい ごちそうを 作ってくれましたが、食べれませんでした。ずっと 楽しみに していた しゅうかくの 始まりも、休まなければ なりませんでした。

 ペネロープは まもなく 元気に なりましたが、教訓を 学びました。

 次の 年に なって、また しゅうかくの 季節が やって来た 時、ペネロープは 妹たちが あの ブラックベリーの しげみに 近づかないように、自分に 起こった ことを 熱心に 話して 聞かせたのでした。

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タグ: 子供のための物語, 従順