ジェイクおじいちゃんの お話シリーズ:恐竜たちの お話:サッズと 石けんと 貝がらと
今日は トリスタンの たん生日。お父さんと お母さんから、ポップアップテントの プレゼントを もらいました。トリスタンは、早く テントを 使いたくて たまりません。ジェイクおじいちゃんは トリスタンに、友だちの トロイと シャンタルと デリックを さそって、庭で キャンプしたら いいよ、と 言って くれました。トリスタンは、とても こうふんしました。
まもなく すると、トリスタンの 友だちが、余分の テントと、自分たちの 寝袋と 懐中電灯と おやつと 本を 持って、やって来ました。ジェイクおじいちゃんに 手伝って もらって、みんな 協力して テントを 張りました。
トロイは、シャンタルが 持ってきた 大きな 懐中電灯を 見て、自分のより ずっと いいなあと 思いました。それで、どのくらい 明るいのか、見て みたく なりました。
トロイは 何度か スイッチを 入れて みましたが、まだ 外が 明るいので、どのくらい 明るいのか、よく 分かりません。
(ふう~ん・・・。そうだ! 寝袋の 中なら、暗いかも。)と、トロイは 思いました。
トロイは シャンタルの 寝袋の 中に もぐりこんで、懐中電灯の スイッチを 何度も つけたり 消したり しました。
シャンタルは 外で 遊んで いましたが、テントの そばに 来ると、寝袋の 中で 明かりが ついたり 消えたり しています。「わたしの 寝袋の 中で、何 してるの? わたしの 懐中電灯を 使って いいって、だれが 言ったのよ?」 シャンタルは おこって トロイに 言いました。
「ただ、シャンタルの 懐中電灯が どのくらい 明るいか、見たかった だけだよ。」と、トロイが 答えました。
シャンタルが おこって 懐中電灯を つかむと、明かりは 消えかかって いました。電池が なくなって しまったのです!
シャンタルは わっと 泣き出して、トロイに 言いました。「今度は トロイの 電池を 貸してよ。」
シャンタルは トロイの 懐中電灯に 手を のばしましたが、トロイは さっと 懐中電灯を つかんで、にげて 行って しまいました。
シャンタルは ジェイクおじいちゃんの 所へ 行って、トロイの した ことを 話しました。
「電池が なくなって しまって、かわいそうに。トロイが した ことも、よく ないね。だけど、問題を 解決するのに、おこるよりも いい 方法が あるよ。正しい 方法で 問題を 解決するのは 大切な ことだからね。」と、ジェイクおじいちゃんが 言いました。
「サッズと ディクシーの お話を してあげよう。彼らにも、にたような ことが 起こって、どう なったかって いう お話だよ。」
ディクシーは、絵を かくのが 大好きです。特に、花や ちょうちょは 明るくて カラフルなので、お気に入りです! ディクシーは、紙だけでは なく、大きな 葉っぱや 木の 皮、オリジナルの ステンドグラスを 作るための とうめいな プラスチック版にも、絵を かきました。
ナギン先生は みんなに、自分たちが 作った 物を 教室に 持って 来るようにと 言いました。ディクシーは、お気に入りの 絵を 持って きました。サッズは、カラフルな 石けんを 持って きました。ウェスリーは、マッチ棒で 作った 家を 持って きました。子どもたちは 順番に、自分の 作品を 発表しました。
ディクシーは 下校する 時、サッズの 石けんを 見て、急に ある ことを 思いつきました。(石けんに 絵を かいて、お母さんに あげられるわ!)
だれも 見ていない 時に、ディクシーは サッズに だまって 石けんを 1個 取ってしまいました。
「ディクシー、わたしの 石けんを 取ったのね!」 次の日、ディクシーが 石けんに 絵を かいて いるのを 見て、サッズが 大声を 上げました。
ディクシーは、サッズが 遊びに 来た ことに 気付かなかったので、サッズが そばに 立って いるのを 見て、びっくりしました。それで、あわてて 石けんを かくそうと しました。
「石けんを 取ったのは、ディクシーだったのね! それに、石けんが めちゃくちゃだわ。」
「めちゃくちゃになんか、して ないわ。きれいな もようを かいてるだけよ。」
「返して ちょうだい。」と、サッズ。
ディクシーは 首を 横に ふりました。「一生けん命に きれいな 絵を かいたのよ。お母さんに プレゼントするの。」
サッズは おこって しまいました。ふと、ディクシーが 集めた 貝がらが 入っている ふくろが あるのに 気付き、ディクシーが 見ていない すきに、それを さっと 取って、ディクシーの 巣穴を 出ました。
(貝がらを かくして おかないと。)サッズは 貝がらの 入った ふくろを ポケットに つっこみ、急いで 家に 帰りました。
巣穴に 帰ると、サッズは 自分の 部屋に 行って、ディクシーの 貝がらを どこに かくそうかと 考えていました。すると、急に お母さんの 声が したので、あわてて ふくろを ベッドカバーの 下に かくしましたが、貝がらの せいで ベッドカバーが もり上がって います。お母さんが 部屋に 入って来る 直前に、サッズは その上に すわって しまいました。
その しゅんかん、サッズは、自分が ひどい まちがいを したことに 気が 付きました。
バリバリ! バリバリ!
「クリスピンを 見かけなかった?」と、お母さんが たずねました。
サッズは、すぐに 首を 横に ふりました。
「じゃあ、もし 見かけたら、すぐに 宿題を 終わらせるようにって、言ってね。」
お母さんが 部屋を 出て行くと、サッズは そっと、ふくろの 中を 見て みました。いくつかの 貝がらが われています。(大変だわ! どうしよう? きっと、すごく おこるわね。でも・・・。ディクシーだって、だまって わたしの 石けんを 取ったのよ。貝がらが いくつか われたって、当然の むくいだわ。) サッズは、そんな ことを 考えて いました。
何時間か たって、サッズは、貝がらの ことを 考えれば 考えるほど、すまない 気持ちに なりました。(たぶん、ディクシーに 話した ほうが いいのかも。) そう 思いましたが、やっぱり だまっている ことに しました。
その夜、お母さんが サッズを ねかしつけるために 部屋に 来ました。サッズは とても 悲しい 気持ちでした。
「一体 どうしたの、サッズ?」と、お母さんが たずねました。
サッズは、ディクシーの 貝がらの 話を すると、すすり泣きました。「わたし、どうしたら いいか、分からないの。」
「正直に 言うに こした ことは ないわ。きっと、ディクシーは 悲しむと 思うけれど、話す ほうが いいわよ。ディクシーが あなたの 石けんを 取った ことで おこって いたからって、ディクシーの 貝がらを 取るべきじゃ なかったものね。おかげで、もっと ひどい ことに なって しまったんですもの。」と、お母さんが 言いました。
サッズは お母さんに ハグして 言いました。「明日、ディクシーに 貝がらの こと、ちゃんと 話すわ。」
「ディクシー、昨日 わたし、あなたが 見ていない 時に、あなたの 貝がらを 持ってきて しまったの。」と、サッズが 話し始めました。「あなたが わたしの 石けんを 取った ことで おこって、あなたを 同じ 目に あわせようと 思ったのよ。」
「わたしの 貝がらを 取ったの?」 ディクシーは おこって、サッズが 差し出した 貝がらの ふくろを つかみました。
「ええ。それで、うっかり いくつかの 貝がらを わって しまったの。本当に ごめんなさい。」
ディクシーは、ふくろの 中で いくつかの 貝がらが われて いるのを 見て、泣き始めました。「サッズったら。わたしの お気に入りのも われてるわ。」
「本当に ごめんね。」と、サッズ。
ディクシーは ちょっと 考えて 言いました。「あやまらなくちゃ いけないのは、わたしの ほうだわ。石けんを 取る 前に、ちゃんと あなたに たずねるべきだったもの。わたし、自分の したい ことしか 考えて いなかったわ。」
「いいのよ。石けんは あげるわ。もし ほしかったら、もう1個 あげても いいわよ。」と、サッズが 言いました。
「本当に ありがとう。ねえ、われた 貝がらを 使って、何か しましょう。箱の 周りに われた 貝がらを はり付けて、かざり付けるの。それを、わたしたちの 友情ボックスに するのよ。」
二人は ハグし合って、うれしそうに、友情ボックスを 作るのに 必要な ものを 集めに 行きました。
「シャンタルの 電池を むだに しちゃって、ごめんね。良かったら、ぼくの 懐中電灯を 使って いいよ。」と、トロイが シャンタルに 言いました。
「わたしも、おこっったり して、ごめんね。」と、シャンタル。
すると、ジェイクおじいちゃんが 言いました。「さっきよりも、ずっと いいじゃ ないか。ところで、シャンタルが 使える よぶんな 電池が あると 思うよ。」
「本当?」
「ああ。懐中電灯は、必要な 時だけ 使うようにね。そうすれば、電池が もっと 長持ちするからね。」
「ジェイクおじいちゃん、問題を 解決するのを 助けて くれて、ありがとう。」と、シャンタル。
「お話を してくれて、ありがとう。」と、トロイも 言いました。
教訓:自分の する ことが 他の 人を どんな 気持ちに させるか、考えて みよう。そして、自分に して ほしいと 思うように、周りの 人たちにも して あげよう。周りの 人たちに 喜んで もらえると、自分自身も、幸せに なる ものなんだ。
文:カチューシャ・ジュスティ 絵:アグネス・リメア 彩色:ダグ・カルダー デザイン:ロイ・エバンス掲載:マイ・ワンダー・スタジオ Copyright Ⓒ 2008年、オーロラ・プロダクションAG、スイス、不許複製