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ジェイクおじいちゃんの お話シリーズ:恐竜たちのお話:ゆううつなベッドタイム
月曜日, 8月 29, 2022

ジェイクおじいちゃんの お話シリーズ:恐竜たちの お話:ゆううつな ベッドタイム

「あと 5分で、ベッドに 入る 時間だよ。」 トリスタンの 部屋の ドアから 顔を のぞかせて、ジェイクおじいちゃんが 言いました。

「もう、ねなくちゃ いけないの?」と、トリスタン。

「ねるのは、体のために いいんだよ。すくすく 成長して、元気で いられるようにね。」と、ジェイクおじいちゃんが 言いました。

「もう ちょっとだけ、本を 読んでても いい?」と、トリスタン。

「その 代わりに、お話を して あげようか? ウェスリーが ちゃんと 休まなかった 時に どう なったかっていう お話だよ。」

「いいね。」 そう 言って、トリスタンは 本を 片付けました。

* * *

「明日は、遠足で ハイキングに 行くよ。」と、ナギン先生が 言いました。

「やったあ!」 クラスの みんなが いっせいに 声を 上げました。

「みんな、今夜は 必ず よく 休んで おくように。出発は 朝早いし、山登りの ためには かなりの 体力が 必要だからね。」と、ナギン先生が 言いました。

下校中、ウェスリーは 友だちと ハイキングの ことを 話して いました。

「ぼく、今夜は ひとばん中、起きてるよ! そうすれば、真っ先に 出かける 準備が できるもの。」と、ウェスリーが 声を 上げて 言いました。

「変なの。だって、今夜 ちゃんと ねないと、明日は すごく つかれちゃうじゃ ない。」

「そんな こと ないよ。明日に なれば 分かるさ。」と、ウェスリーが 答えました。

その夜、恐竜たちが みんな ね静まった 後、ウェスリーは がんばって 起きて いました。読める限り 本を 読んで、家族が ねている 間も、巣穴の 中を 動き回りました。

おやつを 持って きて、ひとりごとのように お話を しました。空の 星を 数えたりも しました。でも、すぐに いくつまで 数えたか わすれて しまうので、何度も 数え直しました。

(ひとばんじゅう 起きて いられるんだって ことを、サッズと クリスピンに 教えて あげるんだ。ねなくても だいじょうぶさ。明日は みんなより、ずっと 元気いっぱいさ!) ウェスリーは そんな ことを 考えて いました。

太陽が 地平線から 顔を 出すと、ウェスリーは ベッドから 飛び起きて、すぐさま ハイキングに 行く 支度を 始めました。

「おはよう、ウェスリー。ずいぶん 早いのね。よく ねむれた?」と、お母さんが 言いました。

「ぼく、ねなかっ・・・いや、万事順調だよ。」と、ウェスリー。

「ナギン先生から 聞いた 話では、今日の 遠足は かなり 体力の いる ハイキングに なるそうね。ちゃんと 休めて よかったわ。」と、お母さん。

「ぼく、みんなより 先に 準備できてたよ。ひとばん中、起きてたからね!」 友だちに 会うと、ウェスリーは 自まんしました。

「きっと、つかれるわよ。」と、サッズ。

「そんな ことは ないさ!」と、ウェスリーは 答えました。

クラスの みんなが 集まると、ナギン先生は いくつか ルールを 決め、みんな、はぐれないようにと 注意しました。さあ、いよいよ 出発です。

最初、ウェスリーは 先頭を 切って 歩いて いましたが、時間が たつと、だんだん 後の ほうに なって きました。山道が どんどん けわしく なると、ウェスリーは たびたび あくびを し、息切れして きました。

「どうしたの? つかれちゃったの?」 ウェスリーが みんなから どんどん おくれて いくのを 見て、サッズが たずねました。

「いや、全然! 一番 最後を 歩いて いれば、木が もっと よく 見れるし、みんなが 見のがしていた ものも 見れるからね。」 ウェスリーは、そんな うそを つきました。

「わたし、夕べは ちゃんと ねて おいて、本当に よかったわ。おかげで、元気いっぱいに 歩けるもの。」と、サッズ。

ウェスリーは 返す 言葉も ありませんでした。一歩 歩くごとに、足は どんどん 重く なって きます。登っている 場所が 高く なれば なるほど、ウェスリーは だんだんと 寒く なって きました。持っていた セーターを 2枚とも 着ましたが、それでも 体が 温まりません。

「ウェスリーは どこだい?」 少し たつと、ナギン先生が たずねました。みんな、今 来た 道を ふり返りました。ウェスリーは どこにも 見当たりません。

「ウェスリーを 見つけないと。まい子に なって いないと いいが!」と、ナギン先生。

少し さがすと、ウェスリーが 大きな 木の 根元で うずくまって いるのを 見つけました。ウェスリーは、ブルブル ふるえて いました。つかれて、目は しょぼしょぼです。

「だいじょうぶかい、ウェスリー?」と、ナギン先生が たずねました。

ウェスリーは 下くちびるを ブルブルさせて、あくびを しました。立とうと すると、足が よろけました。完全に つかれ切って いて、もう これ以上 歩けません。

「やれやれ。どうやら 引き返すしか ないようだ。」と、ナギン先生が 言いました。

「でも ナギン先生、まだ 山の いただきに 着いて いませんよ。」と、クリスピン。

「そうだね。だが、ウェスリーが これ以上 進めそうに ないんだ。今日は 引き返して、また 別の 日に 登り直す ことに しよう。」

それで、みんなは 残念そうに 山を 下りて 家に 帰りました。ウェスリーは つかれ切って 歩けなかったので、ナギン先生に おんぶして もらわなければ なりませんでした。

何日もの 間、ウェスリーは 体を こわして ねこんで いました。頭が いたくて ふらふらし、つかれて 寒気も していました。

ある夜、お母さんが ウェスリーの 様子を 見に やって来ると、ウェスリーが お母さんに 言いました。「クリスピンも サッズも、ぼくの こと、おこっているだろうなあ。」

「あら、どうして?」と、お母さん。

「だって、ぼく、遠足を 台無しに しちゃったんだもの。ぼく、ぼく・・・うそを 言ってたんだ。遠足の 前の 夜に よく ねたって 言って。本当は、ひとばん中 起きて いたんだ。そのほうが、次の日 もっと 遠足に 行く 準備が できて いるだろうって 思ったんだ。」

「まあ、そういう ことだったのね。つかれて 体を こわすのも、無理は ないわ。山登り するのに 必要な 体力も、体温を 保つ 力も なかったのね。」と、お母さん。

「本当に ごめんなさい。こんな ことに なるって 分かってたら、夜中 起きてなんか いないで、ちゃんと ねていたのに。」 ウェスリーは そう 言って、目を うるませました。

「きっと そうよね。でも、理由が 分からなくても、指示に 従わなければ いけない ことも あるものよ。」

ウェスリーは 元気に なると、また 学校に 通い始めました。そして ナギン先生に、クラスの みんなに 話したい ことが あると 言いました。

ウェスリーは みんなに 言いました。「ぼくの せいで、みんな、遠足の とちゅうで 引き返す ことに なって、本当に ごめんなさい。実は ぼく、遠足の 前の 夜は、ずっと 起きているって 決めたんだ。その ほうが、早く 準備が できると 思って。だけど、それは まちがいだった。結局 ぼくの 体調が 悪く なった せいで、だれも 山の いただきまで 登れなかったもの。本当の ことを 言わなくて、本当に ごめんなさい。」

「学んだ ことを みんなに 話して くれて ありがとう、ウェスリー。みんな、ゆるして あげるさ。これは、ここから みんなも 学べると 思うよ。」と、ナギン先生が 言いました。

2週間ほど すると、ナギン先生が、再度 山登りに 挑戦しようと 言いました。そして、みんなに よく ねておくようにと 念を おしました。

ウェスリーは 家に 帰ると、お父さんと お母さんに、いつもより 早く ねたいと 言いました。山登りのために 体調を 整えて 元気で いたかったのです。

次の日、ウェスリーは 元気いっぱいでした。全然 つかれも 感じませんでした。クラスの みんなは 山の いただきに 着き、帰りも 無事に 山を 下りたのでした。

* * *

「ぼくも、もし ハイキングに 行くなら、前の ばんに 必ず しっかり ねておくように するよ。」と、トリスタン。

「それは 感心だな。だけど、いつも しっかり ねておく ことも 大切だぞ。」と、おじいちゃんが 言いました。

「どうしてなの?」

「ねむっている 時に 体が 元気に なるからさ。ねむりは、次の 日のための エネルギーを 与えて くれるんだ。もし 十分 ねて いなかったら、体が 弱ってしまう。体が 弱ると、病気に かかりやすく なるんだ。」と、おじいちゃんが 言いました。

「ぼく、病気に なるのは いやだな。だから、ちゃんと 休んで ねないとね。」と、トリスタン。

「その 通りだね。」

* * *

教訓:健康で いる ためには、体を 正しく 世話する 必要が あるんだ。よく ねて、よく 食べるなら、病気に かかりにくく なるんだよ。

文:カチューシャ・ジュスティ 絵:アグネス・リメア 彩色:ダグ・カルダー デザイン:ロイ・エバンス
掲載:マイ・ワンダー・スタジオ Copyright Ⓒ 2008年、オーロラ・プロダクションAG、スイス、不許複製
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タグ: 眠り, 恐竜たちのお話, 健康と病気, 子供のための物語, 従順, 成長すること, ジェイクおじいちゃんのお話シリーズ