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ジェイクおじいちゃんの お話シリーズ:積極思考建設会社:あきずに 最後まで やりぬこう
月曜日, 11月 21, 2022

ジェイクおじいちゃんの お話シリーズ:積極思考建設会社:あきずに 最後まで やりぬこう

 ある 暖かい 春の 日の こと。ジェイクおじいちゃんと トリスタンは、庭で 草取りを したり、花を 植えたり して いました。

 土曜日は、ジェイクおじいちゃんの 庭仕事の 日です。トリスタンは 学校が 休みなので、その 日は 球根や 種を 植える ことに しました。

 ところが、トリスタンは 球根を 3つ 植えただけで、しばふの 上に すわりこんで しまいました。「もう あきちゃった!」

 そばの 花だんに いた ジェイクおじいちゃんが 立ち上がって 言いました。「それは 残念だな。だが、チューリップの 球根は まだ 植え終えて いないぞ。」

 「分かってるよ。だけど、他の ことが したく なっちゃったんだ。」

 「じゃあ、球根を 植えながら、ある お話を して あげよう。」

 「うん!」

* * *

 積極思考建設会社が 最近 工事を している 現場の そばに、サーカスが 来て いました。大きな 黄色と 青の サーカステントを 中心に、周りには いくつもの 小さな テントが 立って いました。トラックや トレーラーや 動物の おりなども あります。サーカス団の 人たちは、ショーの 準備で 大いそがしです。

 近くの 工事現場では、コンクリートミキサー車が、兄弟の コンクリートポンプ車に こんな ことを 言って いました。「ただただ ミキサーを 回して いるだけなんて、たいくつに なっちゃったよ。何か ちがう ことが したいなあ・・・。もっと 面白い ことをね。」

 「ぼくもさ。ぼくが する ことと いったら、生コンを 目標に 向かって 飛ばすだけだからな。毎日毎日、そればっかりさ!」

 「じゃあ、何か ちがう ことを しようよ。サーカスを 見に 行くとかさ。」と、ミキサー車が 言いました。

 「そんな こと、できるかな?」と、ポンプ車。

 「あっちに 行っている 間も、ぼくは ミキサーを 回し続けられるし、君は 次の 仕事が 来るまで、待って なきゃ いけないだろ。」

 「それも そうだね。それに、ちょっとの 間だけだしね。行って みよう。」

 サーカス会場に 行くと、山高帽を かぶって 燕尾服を 着た サーカスの 舞台監督さんが 歩き回って いました。

 「やあ、君たち! サーカスを 見に 来たのかい?」と、監督の シェフィールドさんが 声を かけました。

 「はい。」と、重機兄弟は 答えました。

 「今日の 1回目の ショーは 今 終わったばかりなんだ。だけど、見て回って かまわないよ。」

 まもなく して、ミキサー車と ポンプ車は、現場を はなれてから、もう 1時間以上 たって いる ことに 気付きました。

 「いけない! 仕事に もどらないと。また 明日 来ようよ。今日 見れなかった 分が 見れるかも。」と、ポンプ車が 言いました。

 「賛成。」と、ミキサー車も 言いました。

 その 翌日から、2台の 重機兄弟は 毎日、短い 時間だけ、サーカス会場を 見に 行きました。

 「サーカスで 働きたいなあ。今 やってる 仕事よりは、ずっと 楽しいだろうなあ。」と、ポンプ車が 言いました。

 すると、トレイラーから 舞台監督の シェフィールドさんが 降りて きました。「やあ、君たち。ここ 数日の 間、よく 来てるね。サーカスで 何か やって みたいのかい?」 シェフィールドさんが クスクス 笑いながら 言いました。

 「そう できたら いいんですけどねえ。」 ミキサー車が ため息を つきながら 言いました。

 「こう いうのは どうかな。ポンプ君が 得意そうな ことだ。ミキサー君は それを 手伝ったら いい。」と、シェフィールドさんが 言いました。

 「それって 何ですか?」 わくわくしながら、ポンプ車が たずねました。

 「君の 長い 噴出口から 生コンを ふき出す 代わりに、シャボン玉溶液を タンクに 入れて、シャボン玉を ふき出すんだ。きっと、子どもたちが 大喜び するぞ! そのための 名前まで 考えたよ。『回転シャボン玉』だ。」

 「それは いいですねえ。君は どう 思う、ミキサー?」 ポンプ車は 熱心そうに 言った。

 「すごく いいと 思います。で、ぼくは どうやって 手伝ったら いいんですか?」と、ミキサー車。

 「君は、観客を 集めるのを 手伝って くれたら いい。君たちは、すばらしい チームに なるよ。どうだい?」と、シェフィールドさんが たずねました。

 「やらせて 下さい!」 2台の 重機兄弟は 声を 上げました。

 「良かったら、明日からでも 始めると いい。君たちが 来る ことを、スタッフに 伝えて おくよ。」と、シェフィールドさんが 言いました。

 翌朝、ポンプ車と ミキサー車は、練習のために 真っすぐ サーカス会場に 向かいました。新しい 仕事に わくわく していて、出かける ことを 現場監督さんに 伝える ことも して いませんでした。舞台監督の シェフィールドさんは シャボン玉溶液を ポンプ車の タンクに 入れて、後で もどって 来ると 言いました。

 「どのくらい 大きな シャボン玉が 作れるかい?」と、ミキサー車が ポンプ車に 聞きました。

 ポンプ車は、大きな シャボン玉を 作ろうと、一生けん命に ふきました。けれども、今までは、水っぽい シャボン玉溶液とは ちがって、重い 生コンを ふき出すのに なれて いたので、シャボン玉は 何千もの 細かい あわに なって ふき出るばかりで、辺り一帯が あわだらけに なって しまいました。

 「今のは だめだね。もう1度 やって みるよ。」 ポンプ車は クスクス 笑いながら 言いました。

 そのころ 工事現場では、監督さんが、コンクリート兄弟を 見かけたか、みんなに たずねて いました。

 「今朝は 2台とも、現場に 来て いません。それに、ここ 数日間は、しばしば どこかに 出かけて います。」と、ドウザーが 答えました。

 「一体、何を たくらんで いるんだろう。」と、監督さんは ひとり言を 言いました。「この 建物の 土台を 作り始めるのに、今、彼らが 必要なんだ。みんな、彼らを 待っている。これは まずいな! ドウザー、もし 彼らを 見かけたら、すぐに 知らせてくれ。」

 「はい、分かりました。」

 (何か マズい ことに 巻きこまれて いなければ いいが。) そう 思いながら、監督さんは 自分の 監督用トレイラーに 向かいました。

 「ダッグス、あっちで 何が 起こって いるんだろう?」と、ミニショベルが 言いました。

 「どこの ことだい?」

 「サーカス会場の 方だよ。すごい あわだ。」

 「うわあ、ホントに あわだらけだ! いくつかの テントや トレイラーも、あわの 中に うまってるよ。」

 ポンプ車に とって、状況は ちっとも よく なっては いませんでした。どんなに 一生けん命に やっても、うまく いきません。ただただ、ものすごい 量の あわが 噴出口から ふき出てくるだけで、周りは 全部 あわだらけです。最初は ポンプ車も ミキサー車も 面白がって いましたが、やがて ミキサー車は ポンプ車に あいそを つかし、いらいら してきて 言いました。「もう いい加減に しろよ。ちゃんと やらないと。」

 「一生けん命 やってるよ。だけど、うまく いかないんだよ。」

 舞台監督の シェフィールドさんが 来て 言いました。「一体、何が 起こって いるんだ? ポンプ君! ミキサー君! わたしが やるようにと 言った ことと ちがうじゃ ないか!」

 「ごめんなさい、シェフィールドさん。ポンプ君が シャボン玉を 作るのに 苦労しているんです。」と、ミキサー車が すまなさそうに 言いました。

 シェフィールドさんは、それが おかしい ことだとは 思って いません。「ふむ、そういう ことか。悪いが、ポンプ君。君の ポンプの スイッチを 切らせて もらうよ。そこらじゅう、あわの 雨だ。みんな、めいわく している。君たちが 助けに なると 思った わたしの 考えが まちがって いたようだな。君たちは やっぱり、本来の 現場の 仕事の ほうが 合って いるようだ。残念だったな。」

 ポンプ車と ミキサー車は、がっかりして、工事現場に 向かいました。通った 後には、ポタポタと 落ちた あわの 道が できて いました。

 「一体、この あわは 何なんだい?」 2台が 工事現場に 着くと、ドウザーが たずねました。

 「聞かないで。その 話は したく ないんだ。」 ポンプ車は 悲しそうに 言いました。

 「ポンプ! ミキサー! そこに いたのか!」 監督さんです。「今日 ここに いなかったのには、いい 理由が あるんだろうな。」

 「あ~、まあ・・・」 ミキサーは 口を にごしました。

 ミキサー車と ポンプ車は サーカスの ことに ついて、説明しました。シェフィールドさんからの オファーや、彼らの 大失敗などを。

 「今日の 仕事を おろそかに してしまって、本当に すみませんでした。サーカスで 何かを するのは、工事現場で 働くよりも ずっと 楽しいと 思ったんです。でも、何も 思い通りに いきませんでした。」と、ポンプ車が 言いました。

 「分かったよ。でも、今日 君たちが いなかったから、明日の 朝は、早く 来て もらいたい。元通りの スケジュールに 間に 合わせるために、君たちの 仕事を 早く 始める 必要が あるからね。自分の 仕事を 最後まで 見とどける ことについて、良い 教訓を 学べた ことを 願うよ。」

 「はい、学びました。明日朝は、早く 来ます。約束します。」と、ポンプ車が 言いました。

* * *

 お話が 終わると、トリスタンが 言いました。「ぼく、チューリップの 球根、最後まで 植えるよ。終わるまで、ちゃんと 見とどける ことは 大切だからね。」

 「ここが 終わったら、他の ことが できるぞ。何を したいかは、お前が 決めたら いい。」と、ジェイクおじいちゃんが 言いました。

 「ありがとう。何か 楽しい ことを 考えるね。」と、トリスタンも 言いました。

教訓:仕事を 最後まで きちんと 終わらせるのは、大切な ことです。それが 自分の 好きな 仕事で なくても、最後まで 見とどけましょう。終わった 時は、満足した 気分に なれる ことでしょう。

文:カチューシャ・ジュスティ 絵:アグネス・リメア 彩色:ダグ・カルダー デザイン:ロイ・エバンス
掲載:マイ・ワンダー・スタジオ Copyright Ⓒ 2008年、オーロラ・プロダクションズAG、スイス、不許複製
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タグ: 勤勉さ, 責任, 積極思考建設会社, 子供のための物語, ジェイクおじいちゃんのお話シリーズ