マイ・ワンダー・スタジオ
エドガーと グース
月曜日, 8月 27, 2018

森の 仲間たち:エドガーと グース

 カメの グースと リスの エドガーは、大の 仲良しです。ある日、二ひきが 森で 遊んでいると、カモの トークと ウサギの ジェリーが やって来ました。

 「ぼくたちと、リレー競争を やらない?」と、ジェリーが 言いました。

 「ぼく、リレー競争は 好きだよ。」と、エドガー。

 「ジェリーと ぼくが チーム。そして、エドガーは グースと チームだよ。」と、トークが 言いました。

 「それじゃ 不公平だよ。だって、グースは すごく のろいんだもの。」と、エドガー。

 「だけど、君は 速いじゃ ないか。コースは、この 道の 終わりまで。向こう側で チームメイトに バトンタッチして、こっちに 先に もどって 来た チームが、勝ちだよ。」と、トークが 言いました。

 「よ~い・・・ドン!」 ジェリーが 大声で 言いました。

 トークと エドガーは、森の 道を 走り始めました。エドガーが グースの 待つ 地点に 着くと、カメの グースは レースの 後半を 走り始めました。が、じきに、ジェリーは グースに 追い付き、追いこして しまいました。

 「もっと 速く!」と、エドガーが さけびました。

 でも、カメの グースは のろのろです。ジェリーが ゴールインした 時には、まだ コースの 半分にも 達して いませんでした。

 やっとの ことで グースが ゴールインすると、エドガーが おこって 言いました。「君の せいで、負けちゃったじゃ ないか! せっかく、ぼくが よゆうの スタートを させて あげたのに、それでも 負けちゃうなんて! もう 1回 やろう。今度こそは、絶対に 勝てるように するから!」

 再び、トークと エドガーが 出発点に 並び、「用意、ドン!」の 号令で、走り始めました。エドガーは 勢いよく 走って 行き、グースが 待っている 地点に 着くと、グースを おんぶして、また 走り始めました。エドガーは カメを おんぶして 走った ことなど ないので、ドサッと 転んで しまいました。グースは、エドガーの 背中から 勢いよく 転げ落ちました。

 「助けて!」と、グースが さけびました。グースは あお向けに なって こうらで くるくると 回りながら、道を 転がって 行きました。グースは 手足と 頭を こうらの 中に 引っこめ、助けを 求め続けました。そして、木の えだに ぶつかると、すごい 勢いで はね返って 道を 転がり続け、ジェリーが 着く 前に、ゴールラインに すべりこんだのです。

 「勝ったぞ! ぼくたちが 勝ったんだ!」 エドガーが さけびました。

 グースは 手足と 頭を こうらから 出し、やっとの ことで 寝返りを しました。歩こうと すると、まだ 目が 回っています。

 エドガーは グースを 持ち上げ、ぼくたちが 勝ったんだよ、グースは ものすごく 速かったよ、と、興奮して 何度も 何度も 言いました。

 「下ろしてよ!」 グースは おこって 言いました。

 「だけど、ぼくたちが 勝ったんだよ!」 エドガーが また 言いました。

 「どうでも いいさ。くだらない 競争だったよ!」と、グース。

 「それに、公平じゃ なかったしね。だって、君は グースを おんぶしただろ。」と、トークも 言いました。「行こう、ジェリー。もう 楽しく ないよ。」

 「一体 どうしたんだい?」と、フクロウの タフトが たずねました。

 「ぼくたち、競争してたんだ。そして、ぼくたちが 勝ったんだ!」と、エドガー。

 エドガーは タフトに、競争の ことを くわしく 話しました。そして、グースが ゴールに 向かって すっ飛んで 行った 様子を 思い出して 笑いました。「すごく おかしかったんだ!」と、エドガー。

 「それで、今 君の 友だちは どうしてるんだい? だいじょうぶなのかね?」と、タフトが たずねました。

 エドガーは 口ごもりました。「そ、そうだね。だいじょうぶだと 思うけど。・・・グース?」

 けれども、グースは もう、川の 方に 行って しまって いました。そして、木の みきに 空いた 穴に かくれて いました。エドガーが よぶのを 聞くと、グースは 穴の さらに おくへと 引きこもりました。

 「グース?」 エドガーは また よびましたが、返事が ありません。

 「友だちを さがしに 行った ほうが 良さそうだね、エドガー。きずついて いるかも しれないよ。おこって いるかも しれないし。」と、タフトが 言いました。

 エドガーは 道の 上の 方も、下の 方も、川の 方も 見ました。他の 動物たちにも、グースを 見かけたか 聞きました。でも、どこにも 見つかりません。

 日が しずみ始め、エドガーは、友だちの ことが 心配に なりました。そして、グースに 対して 思いやりが なかった ことを 反省しました。たおれた 木が あったので、その 上に すわりこみました。とても 悲しい 気分でした。「グース。どこに いるんだい? ぼく、さびしいよ!」と、エドガーが ささやきました。

 木の みきの 中に かくれていた グースに、エドガーの 声が 聞こえました。(何か 言わないとなあ。)と、グースは 思いました。でも、まだ 腹が 立ちます。(エドガーは いい 友だちじゃ なかった。思いやりが なくて、ぼくは 悲しく なっちゃったよ。・・・だけど、もし ぼくが まちがった ことを したら、ゆるして ほしいって 思うだろうな。そうしたら、仲直りできるものね。)

 グースは、自分が やるべき ことを 知っていました。

 「エドガー?」 そう 言って、グースは 木の みきから にょきっと 頭を 出しました。

 「グース! そこら中を さがしたんだよ!」

 「分かってるよ。かくれてて、ごめんね。・・・ぼく、おこってたんだ。」

 「ぼくの せいだよ。競争の 間、君に 対して 思いやりが なかったもの。ひどい ケガを させちゃったかも しれないしね。君は ぼくの 一番の 友だちだし、悲しませたく ないよ。ぼくを ゆるして くれる?」と、エドガーが 言いました。

 「うん。それに 次は、何か 気に 入らない ことが あっても、いなく なったり しないから。ちゃんと 話し合って 解決するべきだったね。ぼくを さがしに 来てくれて、ありがとう。君が ぼくの 友だちで、うれしいよ!」

 「ぼくも、君が 一番の 友だちで うれしいよ!」と、エドガーも 言いました。

 二ひきの 友だちは、明日は いっしょに どんな 楽しい ことを しようかと 話しながら、仲良く 並んで 家に 帰ったのでした。

教訓:自分が 友だちに 望むような ことを、自分も して あげられる 友だちに なろう。

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タグ: 争いを収める, 友情, 森の仲間たち