マイ・ワンダー・スタジオ
農場の英雄たち
月曜日, 8月 15, 2022

農場の 英雄たち

 嵐は 1日中 ふきあれ、ますます はげしく なって いました。黒雲が 空を おおい、稲妻が ピカッと 光ったと 思ったら、その 直後に 雷が バリバリッと 鳴りひびきます。めんどりの ヘンリエッタと ひよこの ジェニーは にわとり小屋から、外で あれくるう 雨風の 様子を ながめて いました。

 「いやな 嵐ね!」と ヘンリエッタが 言いました。

 「暗いし、うるさいわ。」と、小さな ジェニーも 言いました。

 「頭の 上に じょうぶな 屋根が あって、よかったわ。農夫の ジョーンズさんが、嵐が 来る 前に 動物たちを みんな、納屋に 入れて くれた おかげね。」と、ヘンリエッタ。

 その時です。空に 稲妻が ピカッと 光ったと 思ったら、雷が ドーンと 鳴りひびきました。

 「まぶしくて すごい 音だったわ! だいじょうぶかしら?!」と、ジェニーが 声を 上げました。

 「嵐が 近付いている しるしね。さあ、中に 入って、嵐が 過ぎるのを 待ちましょう。」と、ヘンリエッタが 言いました。

 そこで 2羽が にわとり小屋の 中に 入ろうと すると、稲光と 共に、雷鳴が とどろきました。

 「大変! 雷が ジョーンズさんの 家に 落ちたわ!」と、め馬の ホリーが いななきました。

 「雷が 落ちると、どう なるの?」と、ジェニーが たずねました。

 「火事に なる ことも あるわ。ジョーンズさんの 家族、だいじょうぶかしら。」と、ヘンリエッタ。

 その時です。木造の 母屋の 向こう側から、小さな ほのおが 燃え上がって いるのが 見えました。

 「母屋が・・・火事だわ! どうしましょう!」と、め牛が さけびました。

 「わたしたちだけで 火を 消す ことは できないわ。」と、ブタが 言いました。

 「だけど、ジョーンズさんたちを 助けないと。」と、ホリー。

 すると、おんどりが 声を 上げました。「いい ことが ある! 助けを よぼう! みんなで、できる限り 大声を 上げるんだ。近所の 人たちが ぼくたちの 声を 聞き付けて、火を 消すのを 手伝いに 来て くれるかも しれない!」

 「それが いい。」と、動物たちが いっせいに 言いました。そこで みんな いっしょに、大声を 上げ始めました。

「ブー、ブー!」

「ヒヒーン、ヒヒーン!」

「コッケコッコー!」

「モー、モー!」

「ワン、ワン!」

 大きな 馬車馬の ジョージは、納屋の とびらを けり上げました。とびらが 開くと、大声で いななき、力いっぱい 後ろ足で 地面を けり上げ、農場を 走り回って、大さわぎ しました。

 となりの 家では、ブラウンさんが おくさんと キッチンに すわって いましたが、道の 向こうから 聞こえて くる さわぎに 気付いて、まどの 外を 見ると、おとなりの 馬が 地面を 後ろ足で けり上げ、いななきながら、あらあらしく 走り回って います。

 「一体、何事が 起きたんだ?」 そう 思った ジョーンズさんは、けむりが 上がって いる ことに 気が 付きました。

 「早く、シャーリー! 消防署に 電話してくれ。すぐに、消防車を よこして もらうんだ。ジョーンズさんとこの 家が 火事だ。」 おくさんに そう 言うと、ブラウンさんは 急いで トラックに 飛び乗り、ジョーンズさんの 家に かけ付けました。

 数分も すると、消防車の サイレンの 音が 聞こえて きました。2台の 消防車が 着くと、すぐさま 火を 消しに かかりました。ジョーンズさん一家は、ほのおに はばまれて、2階から にげられずに いたのです。

 消防士さんたちは、はしご車の はしごを 2階の まどに かけて、一家を まどから 安全な 場所に ひなんさせました。家は 一部 焼けて しまいましたが、家族の 命と 農場は 無事でした。

 「本当に、感謝しても しきれない くらいです!」 ジョーンズさんが ブラウンさんたちに 言いました。

 「ジョーンズさん。あなたがたの 命を 救ったのは、ご自身の 動物たちですよ。」 そう 言って、ブラウンさんは ジョージの 金色の たてがみを なでました。「動物たちが あんなに 大さわぎして いなかったら、すぐには 気が 付かなかったでしょうから。」

 「ヒヒーン!」 ジョーンズさんが 笑って ジョージの はなを なでると、ジョージが うれしそうに いななきました。

 「全く、その通りだ。農場は 無事だったし、わたしには 自まんできる すばらしい 動物たちが いる。」

 農場の 動物たちは みんな、うれしそうです。農場主の 家族、そして 農場を 守るのに 役立てた ことを、とても 喜んで いました。ひよこの ジェニーが お母さんの つばさの 下から 顔を 出すと、みんな、無事でした。いつもは ふきげんな 老犬の ハンターまで、うれしそうに しっぽを ふって います。

 「最初は、ジョーンズさんの 助けに なるような ことは 大して できないと 思ったけど、役に 立てる 方法が 見つかって、良かったわ。」と、ジェニーが 言いました。

 「母さんもよ! みんなで 力を 合わせるなら、助けを 必要と している だれかの 役に 立てるっていう ことね!」

ジャスミン・G・モールディング著の「Farmyard Heroes」の再話:デヴォン・T・ソマーズ 絵:マックス・ベルモント 彩色:アナ・フィールズ デザイン:ロイ・エバンス
出版:マイ・ワンダー・スタジオ Copyright © 2022年、ファミリーインターナショナル
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タグ: 子供のための物語, 勇気, チームワーク