小さな 葉っぱの クリンクル
クリンクルは 悲しい 気持ちで いっぱいです。どうしてですかって? 木の えだには とても たくさんの 葉っぱが ついていて、だれも 小さな クリンクルに 気付いて くれないからです。だれが 木の えだを 見上げても、葉っぱは ものすごく たくさん あるので、クリンクルの ことなど 見えないでしょう。
クリンクルは、そういった 悲しい ことばかり 考えながら、えだに しがみついていました。その時です。あたたかい そよ風が ふいてきて、クリンクルの 周りを ぐるぐると 回りました。クリンクルは くすぐったく なって、思わず クスクスと 笑いました。クリンクルは そよ風が 好きに なりました。そよ風は、そのように やさしく ふいてきては、クリンクルを くすぐりました。
ある時、そよ風が ふいてきた 時に、クリンクルを よぶ 声が しました。
「クリンクル。君の ことは、ちゃんと 見ているよ。わたしは、わたしの 小さな 葉っぱの 1枚1枚を 知っていて、愛している。理由が あって、わたしは 君たちを つくったんだよ。1枚1枚の 葉っぱには、木のために 日光を きゅうしゅうすると いう 役目が あるんだ。それだけじゃ ない。君たちの 1枚1枚が、木を 美しく するために、必要と されているんだ。」
クリンクルは、その 言葉を 聞いて うれしく なりました。
というわけで、クリンクルは 来る 日も 来る 日も、日光を きゅうしゅうし、えだの 下で 遊んでいる 小さな 子どもたちに ほほえみかけました。そして、元気の ない 兄弟姉妹の 葉っぱたちを 元気づけました。
あたたかい 夏が すぎ去り、はだ寒い 季節が やって来ました。クリンクルは、自分の 色が 変わり始めたのに 気が 付きました。周りの 葉っぱたちも みんな、色が 変わり始めています。緑色だったのが、きれいな 黄色や オレンジ色や 赤い 色に 変わってきたのです。
日に 日に、クリンクルと 仲間の 葉っぱたちは、色が 少しずつ 変わっていきました。そよ風も、変わりました。前みたいに、クリンクルを くすぐったり して いっしょに 遊んでは くれません。そよ風は、あらあらしく ふきすさぶ、冷たい 風に なってしまったのです。
ある日の こと。クリンクルの 住んでいた 木の えだに、風が はげしく ふきつけました。それで、クリンクルと えだを つないで いた くきが おれてしまいました。クリンクルは、木の えだから まっさかさま。
すると、風が クリンクルを つかまえて 空中に 放り上げました。その後、クリンクルは また 落ち始めました。風は、クリンクルと いっしょに 遊んでいるかの ようです。クリンクルは、自分が どこに 行くのか 分からず、おっかな びっくりです。しばらく すると、クリンクルは 地上の 草の 上に ふんわりと 着地しました。
そこに 横たわった クリンクルは、空を 見上げて 思いました。(大変だ! ひとりぼっちで こんな 所に 来てしまったなんて。仲間の 葉っぱたちが こいしいなあ。どうしたら いいんだろう? みんなと はなれて、木からも はなれちゃったよ。みんなの いる 所に もどれたらなあ。)
すると とつぜん、聞き覚えの ある 子どもの 声が しました。クリンクルが 何度も 何度も ほほえみかけた 子どもたちの 一人です。その 子は、クリンクルの いた 木の えだの 下で 遊ぶのが 大好きでした。「まあ、見て。きれいな 落ち葉よ。これも 持って 帰ろうっと。」と、女の 子が 言いました。
(ぼくを、どこに 持ってくって?) そう 思っていると、女の 子は クリンクルを さっと 拾い上げて、ふくろの 中に 入れました。その ふくろの 中には、ほかの 葉っぱや 花や 草や クローバーも 入っていました。
「やあ。ぼく、クリンクル! 初めまして!」と、クリンクルは みんなに あいさつしました。
「こちらこそ。」と、みんなが いっせいに 言いました。そして、じこしょうかいを しました。
「ぼくたちが これから どこに 行くのか、知ってる?」と、クリンクルが たずねました。
すると、長い 草の 葉が 答えました。「ぼく、最初に 女の 子に 拾われたんだけどね。何か 特別な プロジェクトのために、ぼくたちが 必要なんだって 言ってた。」
「それって、何かしら?」と、クローバーが 言いました。
その 日の 午後、クリンクルと 新しい 友だちは、小さな えだや ぼうで 作られた 巣の 中に しかれました。
「わたしの ハムスターの フィガロが 病気なの。カゴの 底の 固い 所じゃ なくて、ねどこが 必要なのよ。だから、かわいくて い心地の いい 巣を 作ってあげようと 思って。」
ハムスターは、かわいそうに、とても つかれている 様子でした。でも、女の 子が 作ってあげた やわらかい 巣の 中で、まもなく いびきを かいて ね始めました。
クリンクルと 仲間たちは、新しい 友だちを 見守りながら、たがいに 顔を 見合わせて、ほほえみました。クリンクルは、心から うれしく 思いました。自分は ちっぽけな 葉っぱに すぎないけれど、この 女の 子を 喜ばせ、ペットの ハムスターを 心地よく させてあげると いう、役目を 果たしたのですから。
教訓:君は どんなに 小さくても、だれかの 助けに なれるんだよ。
終わり