マイ・ワンダー・スタジオ
ブラッキー とマーサ
月曜日, 1月 13, 2014

ブラッキーと マーサ

 ある所に、マーサという 6才の 少女が いました。お父さんと お母さんは、心から マーサを 愛していました。そして 彼女のことを、「サンシャイン・ガール」と 呼んでいました。けれども、一つだけ、マーサには なかなか できない ことが ありました。それは、言いつけを ちゃんと 守るという ことです。

 ある日の ことです。マーサは、お母さんと いっしょに 散歩に 出かけました。すると、小さな かわいらしい 子犬が ワンワン ほえながら、いっしょに 遊びたがって、マーサの 方に 走ってきました。マーサは 子犬と、それは それは 楽しい 時間を 過ごしました。けれども、時は あっという間に 過ぎ、じきに 家に 帰る 時間に なりました。

 「お母さん。子犬を 家に 連れて帰っても いいでしょう?」 家に 向かって 帰りかけると、マーサが たずねました。

 「それは どうかしら。きっと、だれかが 飼っているに ちがいないわ。」と お母さんは 答えました。

 マーサは 子犬の 方を 見ました。大きな 茶色い 目は とても やさしそうで、生き生きと しています。そして、うれしそうに しっぽを ふっています。

 「見て!」 マーサは 大声で 言いました。「子犬が ついてくるわ!」

 子犬は 家まで ついて来てしまいました。

 「きっと、おなかが すいているのよ。何か 食べ物を あげても いい?」と マーサが たずねました。

 「そうね。だけど、明日には 飼い主を さがすのよ。見つかったら 返さなくちゃね。」

 お母さんが 小さな おわんに 食べ物を 入れると、マーサは それを 外に 持って行きました。子犬は あっという間に 食べ物を たいらげてしまいました。

 次の 日の 朝、子犬が まだ いるかなと 思って マーサが 外に 飛び出すと…いました、いました! マーサは うれしくて、わくわくしました。子犬は しっぽを ふりながら 飛びはね回りました。

 その日 しばらくして、マーサと お母さんは、近所を 回ったり、動物病院や ペットの 保護施設に 行って、子犬の 飼い主を さがしました。けれども、今までに この 子犬を 見かけたことの ある 人は いませんでした。

 「子犬の おうち、見つからないわねえ。」と お母さんが 言いました。

 「つまり、飼っても いいって こと?」

 「そうね。お父さんとも 話したんだけど、飼っても いいそうよ。」

 マーサは 大喜びです!

 「子犬の 名前は ブラッキーに するわ。」 マーサは お母さんと お父さんに 言いました。

 毎日 学校が 終わると、マーサは 子犬と 遊びました。お父さんや お母さんと いっしょに 散歩に 行く 時も、子犬は いっしょでした。

 少し 大きくなると、マーサは ブラッキーに しつけが 必要な ことに 気づきました。マーサが ブラッキーを よぶと、追いかけてくれるのでは ないかと 思って、にげてしまいます。「おすわり」と 言うと、マーサに 飛びついてくるのです。

 「お母さん。ブラッキーが、いうことを きいてくれないの。」 マーサが ぼやきました。

 「そうなの。ブラッキーを 飼うなら、しつけを しなくちゃ いけないわね。したい放題に させておく わけには いかないもの。そうでないと、だれも ブラッキーと 遊びたく なくなっちゃうし、最悪の 場合は、ブラッキーが ケガを するかも しれないものね。」

 「でも、どう しつけしたら いいか、わからないわ。」

 「近所の 人が 飼っている 犬は、とても おぎょうぎが いいの。どうやって しつけたら いいか、聞いてみましょう。」

 近所から 帰って来る とちゅう、マーサは 一人で ずっと 先に 走って行ってしまいました。お母さんが よんでも、マーサは ふり返りも せず、もっと 遠くに 走って行ってしまいました。家に 帰ると、お父さんが マーサに、お母さんの 言うことを ちゃんと きくことや、両親の 言いつけを 守ることについて 話しました。けれども マーサは、どうして 従わなくては いけないのか、わかりませんでした。

 マーサと お父さんと お母さんは、近所の 人が 教えてくれたように、ブラッキーを しつけました。やがて ブラッキーは、「おすわり」と 言われると ちゃんと すわり、人に 飛びついたり かみついたりする ことも なくなりました。けれども、好き勝手に どこかへ 走って行ってしまうという くせは、まだ 直っていませんでした。

 ブラッキーを 散歩に 連れて行く 時には、いつも リードに つないでいました。けれども、家に いる 時は、家や 庭から 飛び出してしまって、よんでも もどって来ない ことが たびたび ありました。近所からは、ブラッキーが よその ゴミ箱を あさったり、よその ペットを おどかしたりするという 苦情が 来始めました。それで お父さんは、庭に いる 時でも ブラッキーを つながなくては いけないと 言いました。

 ブラッキーは、つながれるのが 大きらいでした。ある日、ブラッキーが クンクン 言うので かわいそうに 思った マーサは、お父さんの 言いつけに そむいて、ブラッキーを はなしてしまいました。すると ブラッキーは、数分も たたない 内に 道路の かなたへと 消え去ってしまいました。その日、マーサは 一日中、ブラッキーが もどってきたかなあと 何度も 外を 見ましたが、夜に なっても 帰ってきませんでした。マーサは とても 心配に なりました。

 「ブラッキーが まだ もどって来ないの。何か あったのかしら?」と、マーサが 言いました。

 「わからないわ、マーサ。ブラッキーのために 祈りましょうね。」と お母さんは 答えました。

 その夜、マーサは とても 悲しい 気持ちで ベッドに つきました。

 次の 日の 朝早く、ブラッキーが もどって来たかなと 思って、マーサが お父さんと 外に 出てみると・・・ブラッキーは もどって来ていました!

 「ブラッキー、もどって来たのね!」 マーサは 思わず さけびました。かけ寄ってみると・・・何かが 変です。ブラッキーは、びっこを ひいています。

 「まぁ! ケガを したのね。」

 お母さんと お父さんと マーサは、ブラッキーを 動物病院へ 連れて行きました

 獣医さんの 診察結果は 良い ものでは ありませんでした。「あなたの 犬は、車に はねられたようですね。幸いな ことに、ケガは 軽くて 命に 別状は ありませんが、足が 治るのには しばらく かかりそうです。」

 マーサは、ブラッキーが ケガを したのは 自分の せいでも あると 分かっていました。お父さんの 言いつけを 守って ちゃんと つないでおいたなら、ブラッキーは ケガを しなくて すんだのですから。

 その夜、マーサは、たとえ むずかしい ことでも、両親の 言いつけを 守る ことは とても 大切だと 分かりました。ブラッキーが マーサの 指示に 従う ことを 学ばなければ ならなかったように、マーサも また、両親の 言いつけを 守る ことは かしこい ことで、彼女が 安全で 幸せで いる 助けに なると 分かったのです。ブラッキーも マーサも、その日、大切な 教訓を 学びました。そして、いつまでも 仲良しで いました。

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タグ: 子供のための物語, 従順