ひとすじの 陽光
「ルーシー、午前中に 用事で 出かけるけど、いっしょに 行きたい? おばあちゃんの たん生パーティーのために、友だちの モリーに お花の 相談を したいの。その後、少し 買い物も するんだけど。」と、お母さんが 言いました。
「モリーさんの お花って、最高に きれいよね。今すぐ 用意するわ。」と、ルーシーが 答えました。
ルーシーと お母さんが モリーの フラワーショップに 着くと、モリーさんは 悲しそうです。
「どうか したの?」と、お母さんが たずねました。
「お母様の たん生パーティー用に 注文した ボタンの 花が アリだらけで、大部分 かれちゃってたのよ。全く ひどいわ。ほかに ボタンが ないか、あちこち 電話して さがして みたんだけど、まだ 見つからないのよ。ごめんなさいね。」と、モリーさんが 言いました。
「まあ! ボタンは、母の 大好きな 花なのよね。」と、お母さんが 言いました。
ルーシーは、何か できないかなあと 思いました。モリーさんに 気まずい 思いは させたく ないけれど、おばあちゃんにも たん生パーティーで 喜んで もらいたいし。その時、ルーシーは ある ことを 思い出しました。
「がっかり しないで ください、モリーさん。おばあちゃんは、ボタンは 大好きだけど、オリエンタル・リリーも お気に入りだって 言ってました。」
「そうだったわ、ルーシー! 昔、よく 庭で 育ててたもの。」 お母さんが こうふんして 言いました。
「そうなの? それなら、昨日 入ってきた 見事なのが あるわよ。ワックスフラワーと シダを 合わせれば、すてきな アレンジメントが できるわ。予定通り、夕方の 5時までに 用意できるわよ。」と、モリーさん。
「それは 助かるわ、モリー。テレンスに 取りに 来て もらうわね。ありがとう。」と、お母さんが 言いました。
「ルーシーの おかげよ。オリエンタル・リリーの ことを 思い出して くれて、本当に 助かったわ。」 モリーさんが ほほえんで 言いました。
「モリーさんの フラワーアレンジメント、とっても すてきです。おばあちゃんも きっと、喜んで くれます。」と、ルーシー。
「やさしいのね、ルーシー。ありがとう。」と、モリーさんも 言いました。
お店に 向かいながら、お母さんが 言いました。「助かったわ、ルーシー。やさしいのね。おかげで、モリーさんも 元気に なって くれたし。おばあちゃんも、この フラワーアレンジメントを 気に 入って くれると 思うわ。」
「モリーさんの 役に 立てて、良かった。みんなを 幸せに するの、楽しいわ。」と、ルーシーも 言いました。
店に 着くと、ルーシーは 店長の シモンズさんに 明るい 笑顔で あいさつしました。「おはようございます、シモンズさん。今日は、野菜と 果物が 生き生きと していますね。新しい 配置、すてきです。」
「おや、ありがとう、ルーシー。やさしいんだね。」と、シモンズさんが 言いました。
とちゅうで 顔見知りの 人に 会うたびに、ルーシーは あいさつを して、親切な 言葉を かけました。パン屋さんでも、カウンターに 行くと、「ジャックさん。お店の 中、すごく おいしそうな においです。わたし、町中で この お店が 大好きです。」と 言いました。
「おやまあ、ありがとう、ルーシー。お店を 気に 入って もらえて うれしいよ。今日は 何を おさがしかな?」
ルーシーの お母さんは、パンと お菓子を 注文しました。お店を 出ようと すると、ジャックさんが ルーシーに 紙袋を 渡して 言いました。「これは ルーシーに。苺タルト、大好きだったよね。やさしい 言葉を かけて くれて、ありがとう。おかげで、1日が 明るく なったよ。」
「うわあ、ありがとう ございます!」と、ルーシーは お礼を 言いました。
ルーシーと お母さんが 帰る 時には、ジャックさんは お店の 入り口まで 出てきて 手を ふって くれました。
お母さんが 言いました。「えらかったわ、ルーシー! 今日 会った 人たちに 親切で 思いやりが あったわね。モリーさんの 役にも 立てたし、シモンズさんにも やさしかったし、ジャックさんも お店を ほめられて とても うれしそうだったわ。
今日 会った 人たちに とって、あなたは ひとすじの 陽光みたいだったわ。」
「周りの 人たちに 喜んで もらえて、うれしいな。みんなが 幸せで ほほえんで いると、わたしも うれしく なっちゃうわ。」
あなたも、親切な 言葉を かけたり、ちょっとした お手伝いを して、だれかにとって ひとすじの 陽光のように なる ことが できます。あなたが 小さな 子供でも 関係ありません。あなたの ちょっとした 親切が、ちがいを もたらすのです。